命もいらず名もいらず(下) の商品レビュー
江戸の町、民を守る為、命を賭して西郷隆盛を説き伏せ、勝海舟との会談を成立させた江戸城無血開城陰の立役者、山岡鉄舟の生涯を描いた筆者渾身の作品。禅、剣、書をこよなく愛し、勝海舟、西郷隆盛、近藤勇、清水次郎長、徳川慶喜そして明治天皇等時代のオールキャストに愛された所以を紐解く作品。「...
江戸の町、民を守る為、命を賭して西郷隆盛を説き伏せ、勝海舟との会談を成立させた江戸城無血開城陰の立役者、山岡鉄舟の生涯を描いた筆者渾身の作品。禅、剣、書をこよなく愛し、勝海舟、西郷隆盛、近藤勇、清水次郎長、徳川慶喜そして明治天皇等時代のオールキャストに愛された所以を紐解く作品。「利休にたずねよ」で得た静なる心の動きを丁寧に書き込む筆致力を本作品にて完全に開花させた感がある。明日をも知れぬ時代、人生の岐路の数々を不動心にて切り抜ける様をとくと御覧あれ〜。心静かにジックリ読み解く人生の指南書です。
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明治編の後半はグダグダ感が… 前半部分は読み応えがある。 西郷隆盛とのやりとりは、 学ぶことが多い。
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山岡鉄舟の生涯を著した歴史小説の明治版。 明治維新の旧幕臣の苦難等、余り知られていない史実にも触れることができ興味深い。 静岡がお茶の大産地になった背景に旧幕臣の糧を作るための奔走があった。 明治天皇の教育係としての興味深いエピソードも幾つか採り上げられている。 禅や剣の達人で...
山岡鉄舟の生涯を著した歴史小説の明治版。 明治維新の旧幕臣の苦難等、余り知られていない史実にも触れることができ興味深い。 静岡がお茶の大産地になった背景に旧幕臣の糧を作るための奔走があった。 明治天皇の教育係としての興味深いエピソードも幾つか採り上げられている。 禅や剣の達人でもあり、精神的権化のような人物の数々の逸話に興味が尽きない。 現代社会では現れ得ない胆力の据わった人物のイメージがまさに山岡鉄舟なのかもしれない。 以下引用~ ・精神満腹。 なにはなくとも、おれはその伝で行こうと決めた。 懸命に生きていさえすれば、負けて、這いつくばり、なんの誉れがなくてもかまわない。負けることが悪いのではない。全力を尽くさなかったことが悪いのだ。 だから、つねに全身全霊でことに当たる。そうすれば、満ち足りる。日々、満ち足りた精神で生きていく。 ・あの人の眼中には敵味方の区別がないようだ。あんな命も金も名もいらぬ人は敵も味方も始末に困るものです。しかし、この始末に困る人でなければ、ともに天下の大事を語ることができませぬな。 (西郷隆盛談)
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上巻のレビューでも書きましたがストーリーを楽しむというより徹舟という人物を知る上で良い本だと思います。 下巻ではより一層小説っぽさがなくなり、徹舟の逸話や彼の禅・剣・書の道の紹介という傾向が強く感じられました。私は下巻のほうが楽しめました。
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上巻は剣・禅・書を究めんとしつつ、がむしゃらに生きる鉄舟の若かりし頃を丁寧に描いていたのですが少し退屈でした。ただ、下巻に入り鉄舟が維新史の大きなうねりに飲み込まれ出すと俄然、面白くなってきました。上巻がしっかりとした土台になっています。 命も名も金も惜しい我が身とはそれこそ宇宙...
上巻は剣・禅・書を究めんとしつつ、がむしゃらに生きる鉄舟の若かりし頃を丁寧に描いていたのですが少し退屈でした。ただ、下巻に入り鉄舟が維新史の大きなうねりに飲み込まれ出すと俄然、面白くなってきました。上巻がしっかりとした土台になっています。 命も名も金も惜しい我が身とはそれこそ宇宙の端と端ぐらいにかけ離れた生き方だなぁと痛感しましたが、元気ももらえた様な気がします。 明日から頑張らねば。 あ、木村屋のあんパンが食いたくなります。
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読了。山岡鉄舟、こんなにも激しい男がいるなんて。「修行する身であるならばいかなる時も緊張していなければならない、風呂に長く浸かる事さえ筋肉が緩むからと我慢する」 必読の一冊です!!
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この男只者ではない。凄すぎる。 江戸無血開城は幕臣勝海舟と薩摩藩西郷隆盛の功績のように語られる場合が多いが、その素地は山岡鉄舟。 これほどまでストイックな明治男がいたことに驚き感動し、山岡鉄舟のような生き方を現代の世の中でできるものなら・・・。
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とにかく人間としてのスケールの大きさに驚く。何をやっても正直でまっすぐで一生懸命。 それは、侍だからだという。侍とは、職業ではなく生き方なのだ。そう考えると、大政奉還後の絶対恭順も、明治天皇への忠誠も納得がいく。 山岡鉄舟の名が世に出てくるのは、清河八郎と知り合い、新徴組を率いて...
とにかく人間としてのスケールの大きさに驚く。何をやっても正直でまっすぐで一生懸命。 それは、侍だからだという。侍とは、職業ではなく生き方なのだ。そう考えると、大政奉還後の絶対恭順も、明治天皇への忠誠も納得がいく。 山岡鉄舟の名が世に出てくるのは、清河八郎と知り合い、新徴組を率いていたあたりからだが、本書ではそれ以前の若き日の姿も丹念に描く。そこにこそ、後に大業を成した人物の土台があるから。 さまざまなエピソードの中には信じがたいものもあるが、「いや、この人なら」と思わせるところが、もう虜になっている証しだと思う。
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※このレビューにはネタバレを含みます
西郷隆盛との駿府における江戸総攻撃中止の談判で有名となった山岡鉄舟一代記。 撃剣と禅と書に生き、多くの人間に慕われた豪傑で、ただひたすらに真っ直ぐで聡明。 幕末では将軍徳川慶喜に仕え、明治に入っては宮内庁に務め、天皇の指南役・護衛役を務めるのだが、両者に対してもただ真っ直ぐに意見を言う、葉隠の武士道であるがごとく。 真っ直ぐであるからこそ色事にも真剣に、そして真っ直ぐであるからこそ西郷隆盛に、 「命もいらず名もいらず、官位も金もいらぬ人は始末に困るもの也。此の始末に困る人ならでは、艱難を共にして国家の大業は成し得られぬ也。」 と言わしめる。 死の間際まで道場に立つ鉄舟、最後に「山岡鉄舟の死は、そのまま、日本の侍の死であった。」と締めるのだが、まさにラストサムライだったのだろう。 なんとも気持ちの良い、清々しい人物伝であり傑作であった。
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