いい子は家で の商品レビュー
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いい子は家で 青木淳悟 ・いい子は家で 俺と似たような感じの主人公。ニートで、俺と違うところは女がいるところ、よく外に出るところ、シティサイクルなところ。 兄、女ともだち、父、母。彼らとの日常のなかで、突然異常な世界にスライドする。変化とかではない。にゅるっとスライドする。で、いつのまにか戻っている。『コンビニ人間』と同じような、日常と異常の境目のない切り替わりを感じた。(コンビニ人間のほうがリアルで、こちらはファンタジーよりだったけど。) 主人公の妄想かほんとうの異常か、そのどちらであるかは分からないけど、おかしなことが起こって、解決しないで過ぎていく。おかしなことすら、日常のようにすぎていく。ミステリーならオチがあって解決してスッキリするけど、それを期待していたけど、異常が異常のまま過ぎ去って、終わった。どこかゴールがあって、それに向かって進むのではなく、線が線のままあるというか、ただ、そこにあるだけ、という感じがした。 人生とはこういうものなのかもしれない。伏線があって、回収されて、なにかが明かされて、オチがあって。そんなよくできた物語のように人生を捉えてしまいがちだが、実際は違う。日々が過ぎていって、たまにおかしいこと、面白いこと、うれしいこと、悲しいことがあって、その連続でしかなくて、80年もすれば突然終わる。この小説の最後、「ただ母は返事をせずにじっと壁を見つめている。」のように、突然終わる。人生とはそんなものなのかもしれない。そんなことを思わせてくれる小説だった。 シュルレアリスムってやつなのか?
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表題作では、現代家族の歪さをマジックリアリズムで描いている。その手法は効果的であると思ったが、テーマ自体は良くあるもの以上の感想を抱けなかった。 ただし、文章力、表現力は特筆すべきものがある。これ以降の作品も読んでみたいと思う作家だった
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日常的な事象をミクロに描くなど、実験的なこだわりは分かるものの、それだけで読ませるまでには至っておらず、もう一度読みたいと思わせる強度はない。だったら、ピンチョンやルーセルを読んでいる方がいい。
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家族を決して理想化させないリアリティーある描写のはずなのにとても怖かった。血が繋がっていようとも、家族は自分とは違う“他人”なのだと思う。滑稽なのだけど底の知れない不気味さがあって読んでいる間ずっと不穏な気持ちになった。面白かった!
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どうしてこの本を読んでいるんだろう・・・ 途中からそう思ってしまうのです あまりにも共感する部分が少ないのかも 時間がたって、また読んだら変わるかな でも、もう一度読む気にはなかなかなれそうもない
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著者の作品を読むのは二冊目だ。 前回も感じた、現代劇なのに突如訪れるファンタジー感は健在だった。 もうそれはとにかくとつぜん襲いくるから、読者を選ぶ作家だなあという印象。 彼女の家に近づく謎の人間じゃない生き物とか、 父親の耳の穴からはじまり全身をうめつくす黒いものとか。。 ...
著者の作品を読むのは二冊目だ。 前回も感じた、現代劇なのに突如訪れるファンタジー感は健在だった。 もうそれはとにかくとつぜん襲いくるから、読者を選ぶ作家だなあという印象。 彼女の家に近づく謎の人間じゃない生き物とか、 父親の耳の穴からはじまり全身をうめつくす黒いものとか。。 あまり書くとネタバレになりますのでこのへんで。 楽しんで読めたかと問われれば 私にはちと難解な世界でしたと言わざるを得ない。
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「不気味」という評価が、なんとも的を射て妙。 そこにあるのはさらりとした日常ではなく、だらだらと曇ったような、肌にはりつくじっとりとした湿った空気のような、日当たりの悪い昼でも薄暗い家のような、そんな雰囲気。 誰がどうとか、劇的なことが起こるわけでもない。 だらしない日々を、主観...
「不気味」という評価が、なんとも的を射て妙。 そこにあるのはさらりとした日常ではなく、だらだらと曇ったような、肌にはりつくじっとりとした湿った空気のような、日当たりの悪い昼でも薄暗い家のような、そんな雰囲気。 誰がどうとか、劇的なことが起こるわけでもない。 だらしない日々を、主観で語る。 その主観を客観視されることの恥ずかしさ。 「市街地の家」の父の寒々しさに味があります (いい子は家で/ふるさと以外の事は知らない/市街地の街/飛翔-はばたき-)
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詳細に見つめられた日常生活からにじみ出る不条理の数々。とっつきにくい感じはするが気になる作家になった。
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