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金融緩和の罠 の商品レビュー

3.6

13件のお客様レビュー

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2019/03/27

対談集。 藻谷浩介;「デフレの正体」著者。 河野龍太郎;BNPパリバ証券経済調査本部長。 小野善康;大阪大学社会経済研究所教授。 はじめに 第1章 ミクロの現場を無視したリフレ政策 藻谷浩介×萱野稔人 第2章 積極緩和の長期化がもたらす副作用 河野龍太郎×萱野稔人 第3章 お金...

対談集。 藻谷浩介;「デフレの正体」著者。 河野龍太郎;BNPパリバ証券経済調査本部長。 小野善康;大阪大学社会経済研究所教授。 はじめに 第1章 ミクロの現場を無視したリフレ政策 藻谷浩介×萱野稔人 第2章 積極緩和の長期化がもたらす副作用 河野龍太郎×萱野稔人 第3章 お金への欲望に金融緩和は勝てない 小野善康×萱野稔人

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2021/08/08

哲学者の萱野稔人氏が金融緩和策に批判的な三人の専門家(藻谷浩介氏、河野龍太郎氏、小野善康氏)と対話形式でのインタビュー内容を文字に起こしたものである。 3人の中でも小野氏の内容が興味深かった。 小野氏の論理展開の大前提は、「お金が究極の欲望の対象になる」ということ。成熟社会では、...

哲学者の萱野稔人氏が金融緩和策に批判的な三人の専門家(藻谷浩介氏、河野龍太郎氏、小野善康氏)と対話形式でのインタビュー内容を文字に起こしたものである。 3人の中でも小野氏の内容が興味深かった。 小野氏の論理展開の大前提は、「お金が究極の欲望の対象になる」ということ。成熟社会では、モノがあふれていて、モノへの欲求がお金への欲求より低くなってしまったとする。 「成熟社会になってもまだまだ人びとにはほしいモノがある」との反論に対しては、 「もっているお金をつぎ込んで、ほしいモノを次々に買うのかと聞いてみると、大概の場合、返ってくる答えはこうです。『いや、お金がもったいないから買わない』  この言葉こそが、お金への欲求がモノへの欲求を上回ってしまったことをあらわしています。お金がもったいない、お金を保有していたい。こうしたお金の保有願望こそ、成熟社会での経済を分析するときにひじょうに重要な要素なのです。」 「さらに問題なのは、お金を保有したいと思っている人たちにとっては、物価下落、デフレは歓迎すべきことだということ」 「民間企業で雇われなかった…失業者に対して、政府が雇用を提供する。失業者が減れば、当然、賃金が下がらなくなってきます。賃金が下がらなくなれば、モノの価格の値下げができなくなる。そうすればデフレは止まってくるんです。」 日本には特にあてはまる事象であるように感じた。

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2018/01/22

2013年刊行の少し古い本。三人の著名エコノミストがアベノミクスの掲げる金融緩和を真っ向から否定し、その危険性を解く。 自分の理解できる範囲で、何で金融緩和が意味がないかという理由は2点)。 1.日本は人口オーナス期(現役世代が減少して高齢化社会)に入っていて、人口が減っていくと...

2013年刊行の少し古い本。三人の著名エコノミストがアベノミクスの掲げる金融緩和を真っ向から否定し、その危険性を解く。 自分の理解できる範囲で、何で金融緩和が意味がないかという理由は2点)。 1.日本は人口オーナス期(現役世代が減少して高齢化社会)に入っていて、人口が減っていくところに需要は生じないというもの。需要のないところにお金をジャブジャブ注ぎ込んでもその効果は? 2.人は豊かになっていくとモノではなくお金の所有願望が強くなっていくというもの。ものが溢れている日本にお金をジャブジャブ注ぎ込んでも実際にお金がモノに変わるのか? 2番目については思いあたる節もあり目から鱗。ミニマミスト思考とか無駄を省こうとか、モノが減っていく方向への世の中の流れを感じる今日この頃。その中に企業が投資をしてモノを作っても消費されず過剰在庫に苦しむだけだろう。

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2017/09/17
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2013年刊。  反リフレ派の論客3名と萱野との対談形式のリフレ批判書だが、論の目新しさは多くない(もとより内容がオカシイわけではない)。  具体的には、 ① 人口の実数減、特に生産人口の実数減が、需要の合計総額を減らす。 ② これを助長したのが、労働配分率の低下に代表される生産人口帯の可処分所得減と、これに伴う総計としての需要減。 ③ 供給増加は需要を生み出さない。あるいは総体としての需要「額」の増大につながらない。 ④ 金融緩和は ⑴ 既に打ち続けた手で有効性に疑問 ⑵ これに伴う円安は資源高を招き、内需拡大に必要な国内資産の流出。 ⑶ 金融緩和で増大した貨幣は、金融セクターを通じ国債購入にしか行かない。家計・企業など市中に流れなければ需要喚起につながらない。 とのこと。  個人的に目を引く点、あるいは上手い言い回しは以下のとおり。 ① 生産人口減は需要低迷・減少の未来像を映し出し、企業の設備投資を減退・縮退させる。  そもそも設備投資は企業の「消費」であるところ、家計に加え企業も消費を減少させる。 ② デフレは貨幣価値のバブル現象である(逆に言えば、物の価値の異常な上昇は俗に言われている「バブル経済」のこと)。 ③ 成熟社会は物への欲求≪貨幣への欲求。貨幣を増やしても需要増にはならない。 ◆著者萱野は津田塾大学国際関係学科准教授。  同藻谷は㈱日本総合研究所調査部主席研究員。  同河野はBNPバリパ証券経済調査本部長・チーフエコノミスト。  同小野は大阪大学社会経済研究所教授。

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2015/03/16
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金融緩和に懐疑的なインタビュアーが、意見を同じくする3人の専門家との対談を通じて、アベノミクスの金融緩和を批判的に記したビジネス書。結局『罠』とは、政府債務の増大とその後訪れるであろう国債価格の暴落、通貨信用の毀損(円の暴落)と、従来の反リフレ派の主張と変わらないところ。 3人の専門家の意見に納得する部分も多かったが、同時に100%同意できるわけでもなく、納得できない部分も多々あります。とはいっても、全般的にわかりやすく、楽しく読ませていただいた。

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2015/01/16
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河野龍太郎さんのインタビューを新聞で読んで、この方の本を読んでみたいと思い、この本に辿り着く。 この本は、萱野稔人(津田塾大教授)が、安倍政権で推し進める金融緩和に反対意見を主張する3名、藻谷浩介氏(日本総研主席研究員)・河野龍太郎(BNPパリバ経済調査本部長)・小野喜康(阪大教授)とそれぞれ対談した内容がまとめられている。 感想。とっても面白い。読んで良かった。 備忘録。 ①藻谷氏の見解 ・リフレ論は「供給されたお金は必ず消費される」という前提に立っている。それは現実と乖離している。 ・バブル崩壊以降の日本の景気低迷は、貨幣供給量不足が引き起こしたのではなく、モノの需要不足によるものだ。だってバブル崩壊後日本の生産年齢人口が減っているんだもの(15年で7%減少)。 ・人口オーナス→モノの供給過剰→モノの値崩れ、これが不況の原因だ。 ②河野氏 ・物価上昇→金利上昇→日銀は物価安定か金融システム安定のどちらかを選ぶ必要あり。たぶん金融システムの安定(国債買い支え)を選ぶ=金融緩和→円安→また物価上昇→また金利上昇・・・ ・労働力と設備(資本)は独立していない。労働力が増加すれば設備も増える。労働力が減れば消費が減るから投資に躊躇し設備が減る。いずれも労働力(人口動態)から始まる) ③小野氏 ・小野理論:成熟社会では欲望の対象がモノではなく、お金が究極の欲望対象になる→セイの法則が成立しない→モノが余る→雇用不安→不況

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2014/10/26

[ 内容 ] アベノミクスでにわかに注目をあびる金融緩和政策。 しかし、「日銀が大量にマネーを供給すれば、景気が回復する」というのは机上の空論だ。 「失われた二〇年」をもたらした本当の理由を覆い隠し、かりそめのバブルを引き起こすだけではないか。 しかも副作用の大きさは計り知れない...

[ 内容 ] アベノミクスでにわかに注目をあびる金融緩和政策。 しかし、「日銀が大量にマネーを供給すれば、景気が回復する」というのは机上の空論だ。 「失われた二〇年」をもたらした本当の理由を覆い隠し、かりそめのバブルを引き起こすだけではないか。 しかも副作用の大きさは計り知れない。 国債の信用喪失に始まる金融危機、制御困難なインフレなど、さまざまなリスクを第一線のエコノミスト・経済学者らが、哲学者と徹底的に討論。 金融緩和の落とし穴を見極め、真の日本経済再生への道筋を描き出す。 [ 目次 ] 第1章 ミクロの現場を無視したリフレ政策(現実から乖離したリフレ政策;働いてお金を稼ぐ世代が減りはじめた;人口オーナスが値崩れを引き起こす ほか) 第2章 積極緩和の長期化がもたらす副作用(金融緩和反対で日銀人事案否決;需要としての設備投資;設備投資と人口動態 ほか) 第3章 お金への欲望に金融緩和は勝てない(金融緩和が効かない明白な証拠;「成熟社会」に入った日本;長期不況をはじめて説明できた小野理論 ほか) [ 問題提起 ] [ 結論 ] [ コメント ] [ 読了した日 ]

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2014/01/08

■生産年齢人口の総人口に占める割合のピークは、日本は1990年頃、アメリカ、アイルランド、スペインは2005年頃、中国は2015年頃。 ■中央銀行ファイナンスによる追加財政、すなわちマネタイゼーション戦略は、当初は高めの実質成長率、低いインフレ率、やや高めの名目成長率、低い長期金...

■生産年齢人口の総人口に占める割合のピークは、日本は1990年頃、アメリカ、アイルランド、スペインは2005年頃、中国は2015年頃。 ■中央銀行ファイナンスによる追加財政、すなわちマネタイゼーション戦略は、当初は高めの実質成長率、低いインフレ率、やや高めの名目成長率、低い長期金利、リスク資産価格の上昇が観測され、バブル的な様相が強まる。しかし、その後は、低い実質成長率、高いインフレ率、高めの名目成長率、リスク資産価格の下落が訪れる。 ■人は、お金そのものが欲しい。純粋に、今お金があるからあれもこれもと実感できて嬉しい。 ■完全失業者は300万人前後。彼らを100万人雇うためには消費税を数パーセント上げるくらいで十分。1パーセントの増税でだいたい60万人から70万人を雇うことができる。 ■生産性が上がって輸出が増えたら経常収支が改善して円高になるが、同時に、国内の需要不足で輸入が減っても経常収支は改善するので円高になる。

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2013/09/19

マクロ経済学の骨格を外すような話をするので、学者を始め、各方面から揚げ足取り的な批判をされている各論者たち。しかし、三者に共通する、過度な金融緩和は、現在の日本において、根本的な解決策になることはないという点はとてもしっくりくる。生産世代の減少、将来への不安、社会の成熟化による物...

マクロ経済学の骨格を外すような話をするので、学者を始め、各方面から揚げ足取り的な批判をされている各論者たち。しかし、三者に共通する、過度な金融緩和は、現在の日本において、根本的な解決策になることはないという点はとてもしっくりくる。生産世代の減少、将来への不安、社会の成熟化による物的需要の減少、に対応した構造改革を含めた施策が必要だ。これらの問題の解決が無いままの金融緩和は、国の信用を損ね財政破綻に陥る危険性がある。アベノミクスでいうと「第3の矢」である成長戦略がめっちゃ大事という事かな。とても面白かった。

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2013/06/30

要するに、リフレ政策では景気回復は出来ないと主張する三人の本。三者ともその理由はそれぞれに違う。リフレ派の主張の本は理路整然としていて納得する部分も多かったが、本書は…。 藻谷氏は現在はデフレですらなく、単に値崩れしているだけと主張。 三者の中では、小野氏の主張には理解出来る。み...

要するに、リフレ政策では景気回復は出来ないと主張する三人の本。三者ともその理由はそれぞれに違う。リフレ派の主張の本は理路整然としていて納得する部分も多かったが、本書は…。 藻谷氏は現在はデフレですらなく、単に値崩れしているだけと主張。 三者の中では、小野氏の主張には理解出来る。みんなの欲しいものが無いから物が売れない理論には疑問だが。

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