関東の聖地と神社 の商品レビュー
日本の聖地というと、関西や九州に集中しているようなイメージがありますが、関東にも堂々たる聖地はいろいろとあるものです。 そもそも江戸の町は、陰陽説や五行説をもとに四方を護られてきた場所。土地を司るエネルギーに満ちた神社が紹介されています。 著者は陰陽説、五行説を基本思想とする万象...
日本の聖地というと、関西や九州に集中しているようなイメージがありますが、関東にも堂々たる聖地はいろいろとあるものです。 そもそも江戸の町は、陰陽説や五行説をもとに四方を護られてきた場所。土地を司るエネルギーに満ちた神社が紹介されています。 著者は陰陽説、五行説を基本思想とする万象学の宗家。その見地から書き表した文章になっています。 この本は、タイトルよりも表紙写真の迫力のある美しさに引かれて手にとりました。 表紙ははじめ、厳島神社かと思いましたが、関東ということならば、箱根神社でしょう。 いつも芦ノ湖畔から遠目で見たことしかありませんが、接近すればこんなにも神々しいものなんだなあと見とれます。 本文では、鹿島神宮・香取神宮、そして富士山をめぐる神社がまず紹介されます。 それらの間に東京が位置するのは偶然ではなく、細かい計算による結果です。 鹿島神宮の神殿は北面して建っており、本殿が南面している出雲大社と逆の配置だと知りました。 鹿島の神は剣の神、常陸の地は日の太刀からと言われます。 逆に出雲は日沈みの地と言われるそうで、比べてみると、二社には相関性があるように思われてきます。 鹿島神宮の鹿島宮司によると、東日本大震災後、鹿島の海岸に諏訪神の御札が流れ着き、神社関係者は驚いたそうです。 かつて国譲りの際に鹿島神と諏訪神が争ったという因縁は、今なお大きいから。 それは、被災した陸前高田市の諏訪神社のものだったとのこと。 諏訪神社側も、鹿島からの連絡に驚いたことでしょう。 不幸にも諏訪神社は津波で流されてしまいましたが、その御札は鹿島から無事に元の場所へと戻りました。 このエピソードに、神代の代の因縁を超えて現代の国災を乗り越える、あらたなつながりが感じられました。 箱根は、温泉が有名で、今ではすっかり観光地化、保養地化していますが、この本を読むと厳かな気持ちで箱根神社に参拝したくなります。 箱根が栄えた本質を忘れていたことに気づきました。 三嶋大社には三島暦があり、仮名版暦として日本最古のものだとのこと。 かつては入手困難なものだったのが、今ではボランティアにより量販が可能となっているらしく、参拝の折には入手しようと記憶に刻みました。 ほかに、富士山を崇拝する静岡・山梨の計8社の浅間神社が紹介されています。 それら以外はすべて参拝済みのところばかり。 単なる簡潔な紹介ではなく、成り立ちや歴史を踏まえて細かく解説されているため、理解も深まり、すぐにでも訪れたい気持ちになります。 また、掲載されているビジュアル写真はどれも美しく、聖地の神々しさが伝わってくるものばかり。効果的です。 巻末には東京都内のおすすめ神社も紹介されており、今度散策がてら参拝しようと思いました。
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