韓国 葛藤の先進国 の商品レビュー
”<一言> <読書メモ> <きっかけ> 2013/7/11 ボスからお借りした5冊のうちの1冊。”
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2013年刊。著者は日本経済新聞ソウル支局長。 某新聞、あるいはその関係社新書とは一味違う冷静な筆致が売りか。 また、格差広がる韓国国内問題や、教科書・慰安婦・靖国・竹島の問題を叙述する日韓関係本なら他にもあるかもしれないが、韓朝、米韓や韓中関係という外交に加え、韓国内の政治的力関係、憲法裁判所や最高裁判所の政府への影響など、一寸広い範囲な問題を叙述している。 備忘録。 ① 韓国政府を政治的に縛る憲法裁判所。でないと民意の無視・独裁政権とのレッテルを貼られる。 ② 嘗ての韓国独裁政権を支えたのが米国と日本の自民党という認識。 現代の韓国中堅層による韓国軍事独裁政権への反発が、現代の反米・反日感を底辺で規定するという視座。 ③ 日韓議員の関係性の希薄化と、海外取引先としての日本の立場の低下(40%から10数%へ割合が低下)が韓国内での日本重視指向の変容に。 ④ 韓国世論での韓朝関係の緊迫化は核・ミサイルではなく、銃撃戦により生じる。 また、韓国の富裕化が戦争回避の国民心性へと。一方で、無条件・無限定の北支援は平和を齎さないとの冷静な目も。 なお、本書の刊行が、韓国側李明博政権から、あるいは日本側野田民主党政権から後継政権への移行期にあたっていた点には注意をすること。
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日経記者だけに、事実に基づいた冷静な分析で好感が持てる。大統領選の実態など、初めて知ることも多かった。 特にキャッチアップ経営が転機を迎えているというのは納得。ほんと、これからどうするんだろう。普段付き合いのある韓国企業も欧米日のモノマネばっかり。東アジアの文化としてモノマネ=先...
日経記者だけに、事実に基づいた冷静な分析で好感が持てる。大統領選の実態など、初めて知ることも多かった。 特にキャッチアップ経営が転機を迎えているというのは納得。ほんと、これからどうするんだろう。普段付き合いのある韓国企業も欧米日のモノマネばっかり。東アジアの文化としてモノマネ=先人に学ぶという肯定的な意識が働き、自分たちで新しい世界を切り開いていくのは日本を含めて絶望的と思う。 政治的にも反日一辺倒ではそろそろ限界だろう。先進国への道は遠そうだ。
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まだ途中までしか読んでないが、この本のおかげで、なぜセウォル号の事故がパク政権批判にまで繋がるのか、その背景が見えてくる。 高い自殺率、急速な高齢化社会、広大する格差社会、疲弊する競争社会、韓国の抱えている問題が分かる一冊。 この手の本は1年も経つと古びてくるものだが、まだまだ韓...
まだ途中までしか読んでないが、この本のおかげで、なぜセウォル号の事故がパク政権批判にまで繋がるのか、その背景が見えてくる。 高い自殺率、急速な高齢化社会、広大する格差社会、疲弊する競争社会、韓国の抱えている問題が分かる一冊。 この手の本は1年も経つと古びてくるものだが、まだまだ韓国は葛藤の先進国なわけだと思える。
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面白かった。良くまとまっていると言うか、色んな問題点を的確に捉えているように思える。 去年出たばかりなのだが、この後にもう、靖国参拝があったんだよな。 難しくなるばかり。
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ほぼ同時期に発売された『韓国のグローバル人材育成力 超競争社会の真実』(http://booklog.jp/users/hirokimitsuda/archives/1/4062881942)が社会や教育の視点から捉えている一方で、本書は政治・経済の視点で捉えている。 竹島・慰...
ほぼ同時期に発売された『韓国のグローバル人材育成力 超競争社会の真実』(http://booklog.jp/users/hirokimitsuda/archives/1/4062881942)が社会や教育の視点から捉えている一方で、本書は政治・経済の視点で捉えている。 竹島・慰安婦問題など過去の出来事で日本と対立する面が多い一方で、「いま・ここ」の外交問題では、北朝鮮問題や、アメリカと中国との板ばさみなど、日本と共通する点も多いことが良く分かる。また、少子化、高齢化、、受験競争、ICT、輸出による経済戦略などの問題や課題も日本と共通するか、日本を追い越す勢いがある。 しかし「あとがき」によると、それでも韓国人は自国を「先進国」と自称することにためらいがあるという。 「がむしゃらにやってきた。自身も芽生えた。ただ、このままでいいとは思えない」という筆者のコメントは、的を射ているのかもしれない(実際のところは韓国人に訊かないとわからないが)。
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韓国といえばサムスンやLG電子などグローバルに活躍する企業が思い浮かべられるが、韓国の平均的な人たちの事情はあまり知られていないように思う。 国内における格差(日本以上に大きそう・・・)、実質停年年齢の低下(50代半ばでリタイア)、高齢化社会(定年が早いから)。この背景にある韓国...
韓国といえばサムスンやLG電子などグローバルに活躍する企業が思い浮かべられるが、韓国の平均的な人たちの事情はあまり知られていないように思う。 国内における格差(日本以上に大きそう・・・)、実質停年年齢の低下(50代半ばでリタイア)、高齢化社会(定年が早いから)。この背景にある韓国の事情を紹介しており、現在日韓関係が国民感情として悪くなっているかを理解するには良い本である。
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1年ほど前まで、日本では韓国経済礼賛論が幅を利かせていた。例えば、韓国では、アジア通貨危機の際に産業ごとに企業統合を進め、自動車ならヒュンダイ、電機ならサムスンと各産業につき1~2社に集約して世界的プレーヤーとなったのに対し、日本では、自動車でも電機でも企業数が多すぎ、国内消耗戦...
1年ほど前まで、日本では韓国経済礼賛論が幅を利かせていた。例えば、韓国では、アジア通貨危機の際に産業ごとに企業統合を進め、自動車ならヒュンダイ、電機ならサムスンと各産業につき1~2社に集約して世界的プレーヤーとなったのに対し、日本では、自動車でも電機でも企業数が多すぎ、国内消耗戦をしているので世界との勝負に負けているので、日本企業も韓国を見習って統合すべきだと。 しかし、最近の円安で日本企業も輸出競争力を取り戻し、株価も好調となってみると、あの礼賛論は何だったのか、結局、ウォン安・円高に基づく韓国企業の国際競争力のかさ上げが(それだけとは言わないが)好調の原因だったのではないかと思えてくる。 日経新聞の記事も、韓国称揚ばかりだったのが、財閥問題や格差社会など韓国が抱える問題点を報じるようになっている気がする。本書がこの時期に出版されたのも、そのような流れと機を一にしているのではないだろうか。韓国の問題点を冷静に見られるくらい、日本が長期の不況から立ち直りつつあるということなのかもしれない。 本書は、旬の本だ。逆に言うと、賞味期限がとても短い。出版された2013年3月から時間が経つほど、急速に内容が色あせてしまうだろう。というのも、本書は、「韓国の今」を新聞記事の語法で書いたものだからだ。もちろん、後になっても「あの時の韓国の実情やそれについての受け留め方」の記録としての価値が失われることはないだろうが、本書を読むなら、早い方がよいだろう。
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「なぜこの国はいつも不満なのか」というサブタイトルをオビに書き込み、財閥企業独り勝ち、脆弱なウォン経済、拡大する格差、世代間の確執~。課題先進国韓国の本音に迫る。 筆者は五つの章立てをして分析している。 第一章 天国と地獄 救われない超競争社会 第二章 脆弱と野望 輸出立国...
「なぜこの国はいつも不満なのか」というサブタイトルをオビに書き込み、財閥企業独り勝ち、脆弱なウォン経済、拡大する格差、世代間の確執~。課題先進国韓国の本音に迫る。 筆者は五つの章立てをして分析している。 第一章 天国と地獄 救われない超競争社会 第二章 脆弱と野望 輸出立国の明暗 第三章 過去と未来 日韓関係波高し 第四章 本音と建前 北朝鮮問題の行方 第五章 権力と蹉跌 大統領の宿命 の五つだ。さすがに日経の記者だけあって経済問題には鋭い考察を入れている。 まず第一章で語られているのは財閥企業の独り勝ち状態のこと。韓国にはSKY(スカイ)という、ソウル、高麗(コリョ)、延世(ヨンセ)の有名大学御三家の頭文字をとった言葉があるそうだ。トップ企業10社の幹部はこのSKY出身者が6割を占めるという。勢い有名大学への門が狭くなり激しい競争となる。しかし現実にはサムスンなど財閥企業独り勝ち状態で ¶中小企業(製造業)の社員の年収は大企業のおよそ半分 ¶非正規職の76%が勤続年数3年未満 ¶非正規職の国民年金加入率は約41%で正規職の半分 など、各種統計が示す格差は歴然としている。財閥が潤うかわりに、それ以外の国民が就職や子育て、老後に著しい不安を抱えているという構図だ。 第二章では「韓国型成長モデル」の限界についての話だ。輸出立国を支えるいわば「国策」とも言える訳だが「ウォン安を志向し、安い電力料金や低い法人税率、自由貿易協定(FTA)ネットワークを使って財閥を中心とする大企業が輸出で稼ぐやり方だ。しかしもうけているのは財閥だけで、最近では財閥の隆盛がかつてほど国内を潤さなくなっているそうだ。しかも産業構造は中小企業が企業数で99%を占め、雇用の88%を担っているという。この不均衡を是正できるのか。 そして第三章で日韓関係を語っている。竹島や従軍慰安婦問題はいまさら言うまでもないだろう。今回の問題は李明博大統領が突然竹島に上陸し、前代未聞のパフォーマンスを演じたところから始まる。韓国の司法制度には最高裁の上に憲法裁判所というのがあるそうだ。これが韓国政府が日本政府に対して補償を求めないのは不作為にあたるという決定をしたため、韓国政府は何らかの動きをしなければならなくなった。そのことがイ・ミョンバクを焦らせたらしい。 それでもお互いに日韓関係を悪化させた原因ははっきりしているのだという。 第1に、かつては機能した日韓の政治のパイプが目詰まりを起こしている。 第2に、グローバル化の進展で日韓双方がお互いの重要性を認識しにくくなっている。 第3に、韓国内で進んだ民主化が日本との「歴史の清算」を求める空気を醸成している。 の3点に集約されるそうだ。 それでは彼らは我が国にいったいどうして欲しいと言っているのか。歴史問題を法的に謝罪しろということらしい。自分たちの国内問題(憲法裁判所の決定)が変わってきたので今度はそれを我が国に要求しているわけだ。しかしこの件では日本は当初から法的に解決済みの姿勢を崩していない。 我が国も首相が代わるたびに何度も何度も謝罪してきているが、彼らに言わせると首相が代わるたびに発言が違うというのだ。当たり前な気もするが、韓国側も大統領が交代するたびに歴史問題を持ち出し、日本に謝罪要求のパフォーマンスをするのが恒例になっている。関係改善しようとする気持ちはあるのだろうか。もしかしたら常に日本より上の立場に立ちたいという欲望があるのではないか。 多数の死者を出して韓国が民主化した光州事件からは僅か26年しか経っていない。これまで我が国は韓国に対しては「大人の対応」をしてきたと思うが、ここはグッとこらえて、今一度大人の対応をして、一気に清算してしまうというのはどうだろうか。このままではいつまで経っても次々に新しい問題を歴史問題だと言って、振りかざしたコブシを降ろしてくれそうにもないと私は感じた。
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葛藤に直面する韓国の現在について、競争社会・経済・日韓関係・北朝鮮・大統領を切り口にリポートしている。意思決定のスピード、リーダーシップの強烈さと成果は脅威とすべきかもしれないが、その裏にある格差やひずみによってマイナスインパクトが生じるのではないか。そんなある種の怖さも感じる。...
葛藤に直面する韓国の現在について、競争社会・経済・日韓関係・北朝鮮・大統領を切り口にリポートしている。意思決定のスピード、リーダーシップの強烈さと成果は脅威とすべきかもしれないが、その裏にある格差やひずみによってマイナスインパクトが生じるのではないか。そんなある種の怖さも感じる。著者は日経新聞のソウル支局長。大半が書き下ろしとのことだが、文体がいかにも新聞記事っぽい。
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