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小説フランス革命(10) の商品レビュー

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2013/05/17

マラーの暗殺から一気に恐怖政治へ転回  1793年7月13日、ジャン=ポール・マラーはジロンド支持者のシャルロット・コルデーに暗殺されるが、この予期せぬ凶行を契機にして無風状態にあった国民公会のジャコバン党、というよりはロベスピエールを長とする公安委員会が、血が血を呼ぶ粛清の嵐...

マラーの暗殺から一気に恐怖政治へ転回  1793年7月13日、ジャン=ポール・マラーはジロンド支持者のシャルロット・コルデーに暗殺されるが、この予期せぬ凶行を契機にして無風状態にあった国民公会のジャコバン党、というよりはロベスピエールを長とする公安委員会が、血が血を呼ぶ粛清の嵐を巻き起こす。 超過激派の若き革命家サン・ジュストに激しく突き上げられた日和見主義者のロベスピエールは、心乱れながらも恐怖政治を断行、元フランス王妃マリー・アントワネット、ジロンド党の議員たちやその強力な後ろ盾であったロラン夫人などを次々にギロチンの血祭りに上げてゆく。 「おお自由よ、そなたの名のもとにいかに多くの罪が犯されたことか」という彼女の遺言はあまりにも有名だが、革命の大義という美名の元に革命を肯定する多くの自由の徒も次々に殺されてゆき、それが「自由・平等・博愛」を標榜した大革命の自己崩壊という結果をもたらすのである。 しかし熱烈なカトリック教国とみえたフランスが、急速に基督教と教会から離脱して無宗教へとひた走り、「理性」の祭壇の前にぬかずくようになった時、いいしれぬ恐怖に慄いたのが他ならぬこの独裁者であったとは、まことに興味深い事実である。 キリスト教の代わりに天皇教という目に見えぬ宗教が依然として猛威をふるい、天皇元首制なる虚妄の擬制を信奉する古式豊かな人々が羽ぶりをきかせている我らが変態帝国でこそ、このような「理性教」の存在理由があるというべきだろう。 天皇を元首に祭り上げるその前によくご本人にお伺いしてご覧よ 蝶人

Posted byブクログ

2013/04/25

表紙はエベールとロラン夫人~激昂派を掌握したエベールはジロンド派の十二委員会を廃止し,新聞の売り上げをサン・キュロットの日当に拠出して動員し,国民公会を包囲し,ジロンド派の追放を決議させた。この暴挙にロベスピエールの周りを固めるルバやサン・ジュストはデムーランでさえ,マキシミリア...

表紙はエベールとロラン夫人~激昂派を掌握したエベールはジロンド派の十二委員会を廃止し,新聞の売り上げをサン・キュロットの日当に拠出して動員し,国民公会を包囲し,ジロンド派の追放を決議させた。この暴挙にロベスピエールの周りを固めるルバやサン・ジュストはデムーランでさえ,マキシミリアンに近づけさせない。ダントンは再婚して覇気が失われた様だ。マラがノルマンディー出身の元修道女に暗殺され,ノルマンディーが逃亡したジロンド派の根城であることから,暗殺はジロンド派の仕業と判断され,パリに拘束されていたジロンド派は裁判で有罪となり,断頭台に露と消えていった。絵ベールはマリー・アントワネットの裁判の証人に志願し,マリーも処刑される。ダントンは休暇と称して故郷のシャンパーニュに帰り,ロベスピエールはコンドリエ派に推されて公安委員会の委員となり,恐怖政治を強いられる。コンドリエ派は更に根回しを続けて,宣誓派聖職者に聖職放棄を宣言させ,キリスト教色の強いグレゴリウス暦を廃し,革命暦を制定し,キリスト教廃止を推し進める。これにはデムーランだけでなくロベスピエールも反対し,ロベスピエールがクローツの入れ知恵でやり込められる中,シャンパーニュからダントンがパリに戻る。デムーランはエベールに対抗すべき新聞『コンドリエ街の古株』を刊行する。地方では諸国の攻撃に軍の補給が間に合わず,アルザスに派遣されたサン・ジュストは不正を働く役人を排除し,ストラスブールのブルジョワを名指し課税し,ドイツ色を一掃するためにフランス語学校の設立を画策する~「フートル」(糞ったれ)はエベールの口癖。いいね。興が乗ってきた感じがするよ。マラの絵を描こうとするダヴィッドが死体を浴槽に戻し,垂れ下がった醜い舌を切り落とし,脱臼した腕を別の死体で補おうとする執念に感心する。それにしてもp303の革命暦・霧月だけにブリュメールというルビが振られていないのが納得いかない。伏線かな?と注意深く読んでいったが,謎は次巻『徳の政治』に持ち越しか?

Posted byブクログ

2013/04/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

いよいよ登場人物が減っていく第10巻目。 新しい視点としてサン・ジュストが加わるが、本巻ではロベスピエール視点がないのはちょっと不満です。 また、マラの死があっさり描かれているために、それをきっかけのジロンド派の滅亡への勢いに乗りきれませんでした。 ただ、前々巻のルイ十六世視点に続いてロラン夫人視点の自らの死への章は、あの名言の出し方といい圧巻でした。 ロベスピエール視点は旧友たちの死にとってあるようにも思え、哀しくて寂しいながらも次巻が待ち遠しいです。

Posted byブクログ