本当は怖い動物の子育て の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
目からウロコの面白さ。 最近社会では子供の虐待や殺人が問題になっているけれど、動物の世界ではよくある話なのだそう。 パンダは大概2頭の子供を出産し、大きい方だけ育ててもう一匹は育児放棄するらしい。 今動物園で何頭も育っているのは、飼育員さんが、子供をすり替えて上手く親パンダをだましているらしい。 どうも母乳の量だ足りなくなるのを見越しての行動ではないかという。 継子殺しもよくある話。 動物の行動を人間にあてはめればなんとなく理解出来る所は多い。 もちろん動物と人間は違うけれど。 一番興味深かったのは中国、四川省と雲南省の境にある高地に住むモソ人の結婚形態の話。 モソ人は少し変わった母系の家族形態をとる。 男女は年頃になると「走婚」といって、男が女のもとに通う。 そのうちお披露目して公式カップルにはなるのだが、男が婿として同居はしないのだそう。 ここが普通の母系家族と異なるところ。 男はずっと実家に留まり、姉や妹の生んだ子供の世話をする。 同居家族は血縁だけで構成される。 例えば一人子供が居たとして、その子の同居家族は大おじさん、おばあさん、お母さん、おじさん、おばさん、いとこ達・・ということになる。 こうなると日本社会で問題となっている事は起きにくい。 女も男も舅、姑とは同居しないのでその手のもめ事はナシ。 女の生んだ子供は父親が誰でも一族には変わりないので、大事に育てられる。 よって虐待も起きにくい。 不倫も不倫ではないかも。 「なんだか最近こなくなったわねー、他所の女の所行ってるのかなー。」 という感じか。 男は妻子を養わなくてもいいので、経済力がなくても結婚は出来るが、ルックスや性格、才能でアピール出来ないとダメなので、それはそれで結構厳しいかも。(笑) ずっと二人で暮らしたくなったら家を出たりするのかな? もし上手くいかなくて別れても実家には帰りやすいだろうねぇ。 この結婚形態、案外いいかも。
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動物の子育ては残酷だと思った。人間も動物の一種だから虐待が起こるのもある意味自然なことなのかもしれない。
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動物は自分の遺伝子をよく残すために、いろんなことをする。育たなさそうな子は見捨てるし、新しくつがいになるためには、前の配偶者の子を殺すことも珍しくない。如何に自分の親族に手厚く、そうでない場合は冷たく見捨てる(とか、食べちゃうとか)、そういう話が、鳥だったり虫だったり魚だったりと...
動物は自分の遺伝子をよく残すために、いろんなことをする。育たなさそうな子は見捨てるし、新しくつがいになるためには、前の配偶者の子を殺すことも珍しくない。如何に自分の親族に手厚く、そうでない場合は冷たく見捨てる(とか、食べちゃうとか)、そういう話が、鳥だったり虫だったり魚だったりと、ずいぶん続く。鳥の第一ヘルパーは親族だが、第二ヘルパーは後釜を狙う他人、など。動物の行動として興味深く面白い話ばかり。しかし、後半に待ち構えているはずの、人間の虐待のことを考えてちょっと気が重い。 だがその前に、まずは「よく遺伝子を残す」ためのいくつかの人間の子殺しを含めた営みが紹介される。このステップを踏むと、虐待の解釈は難しくなくなるが…。 あまりないと想像したいが、多感なヒトの雄や雌がが、この本を読んでソノ気になってしまったら、と思うとなんとも暗い気分になる。僕だって、その自然から外れたからこそ今まで生き延びているのだろう。この本、なんでこんなタイトルなんだろ…?
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読んでいて驚きの発見が連続して起きた本である。 愛くるしい仕草を見せて私達を和ませてくれる動物たちは、私達の想像を遥かに越えた子育てをしている。そして後半にかけては動物たちの子育てと、現代社会で暮らす我々の意外な共通点を見出し、論じている。 冒頭でまず驚いたのは、「もし種...
読んでいて驚きの発見が連続して起きた本である。 愛くるしい仕草を見せて私達を和ませてくれる動物たちは、私達の想像を遥かに越えた子育てをしている。そして後半にかけては動物たちの子育てと、現代社会で暮らす我々の意外な共通点を見出し、論じている。 冒頭でまず驚いたのは、「もし種や集団のために尽くす個体がいるとしたら、自分の遺伝子を残していくという事が疎かになり、結果的に自分の遺伝子を残すことを優先する個体に負けてしまう。彼らはいかに効率よく遺伝子のコピーを残すかを極めているため」という点である。 その他にも、タガメは自身の遺伝子を残すために60回近くも交尾して献身的に卵に水をかけるも、他のメスに卵を壊されたらそのメスと交尾してしまう(より強い遺伝子を残すため)、タツノオトシゴのオスは自分の身体に「子宮」を作り出産する、タスマニアデビルは交尾の前にメスを巣穴に二週間近く閉じ込めてしまう(他のオスを近づけないため)、チンパンジーはその時の状況によって集団の子供を共食いすることがある、オオジュリンは自分の子ではなさそうなヒナがいる時はエサを与えるのをサボるなど、動物たちの遺伝子をめぐる壮絶なやりとりが書かれている。 そして、その動物たちの行動は、私達人間においても子殺し(子どもが男に撮って自分の子か否か・子供の質・生育環境)という先住民にみられる行動や、今日問題になっている児童虐待(連れ子・障害児の子育て疲れ・末っ子への比較的酷い虐待・貧困家庭)へも強い関係を持っているのではないかと問いかけているのが本書の真の狙いである。 本書の最後のページを若干省略して引用する。 「人間も動物の一種である以上、遺伝子の論理の下、手探りの苦労を重ねながらどう振舞うべきかと懸命になっている。そんな毎日の中、子につらく当たり、手を上げてしまいたくなるような状況に直面することは誰にでもありえます。まず一呼吸おいてみましょう。それは本能の喪失などではありません。動物として自然なこと、恥ずかしいことではないと確認するのです。人間は他の動物とは違うと思い込み、自分を追い詰めるような事だけはしてはいけないのです」 動物の生態について学ぼうと手に取った本であったが、生態だけでなく、動物を通じて複雑化した人間社会についても学ばされた。いい本である。 自分用キーワード 種の保存・種の繁栄(40年前に否定されている) シジュウカラ(繁殖シーズンに二回繁殖するが、二回目の方がヒナの死亡率が高い。餌不足で全滅することを割けるために、あえてエサを取れないヒナを作っている) デヴィッド・ラック(鳥類学者) ジャイアントパンダ(双子の内、第二子は不測の事態のためのスペア。最初から死んでしまうようになっている) ツイン・スワッピング法(パンダの双子を両者ともに母親に育てさせるために、すりかえる方法) 着床遅延(ツキノワグマなどに見られる、受精卵が胚盤胞の状態になったまま細胞分裂を止め、子宮の中を漂う現象。食料の無い冬ごもりの時に出産することを避けるため、より多くの免疫の型を持った子を殖やす為の知恵) ハヌマンラングール(群れのリーダーが交代すると、そのリーダーは乳飲み子を殺して新たに自分の遺伝子を残そうとする) ブルース効果(新たなオスの登場によってメスの妊娠が中断、流産、吸収されてしまうこと) ジリス(授乳中のリスは動物性タンパク質の為に他のリスの子を食べることがある) 交尾排卵(ラッコやネコに見られる、交尾の刺激によって排卵が起きるという現象。オスが周囲にいない状態で排卵するのを避けている) ショート・ヴィジットの効果(兵士や漁師の妻にみられる、排卵後から月経までの妊娠しにくい時期であっても妊娠すること。チャンスをものにするために交尾排卵が起きているとされる。似たような例に、停電中やクリスマスといった大きな心の揺れが訪れる時は排卵が起きやすくなるとのこと) アヨレオ族(南米に住む先住民。正式な結婚を果たすまでにできた子供を、父親から援助が得られない・障害を持っている・きょうだいとの年齢が近いといった「育てられない」と判断した時に殺してしまう) 人間関係地域ファイル(HRAF) ヤノマミ(ブラジル付近に住む好戦的な部族。彼らも子殺しの風習がある) マーガレット・ミード(学問における問題を引き起こした人物。自分が望む情報、データを得るための質問を相手に見抜かれ、教えられた嘘の情報を基に『サモアの思春期』を出版した) ステップファミリー 福田史夫(霊長類学者。「子供を持った男女は、子どもが小学生以下の場合は決して再婚すべきではない」と、虐待事件について述べている) モソ(中国に住む集団。子育てをするのは全て血縁者であり、虐待のない集団とされる)
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非常に面白かった。現在生き残っているのは、遺伝子を残せた結果であるということから、より多くの自分の遺伝子を残す、そのためのいろいろな方法を動物がとっている。パンダから始まりさまざまな動物の例でどのようなことをしているかが説明されている。そのことから、さらに先住民の例などから人が本...
非常に面白かった。現在生き残っているのは、遺伝子を残せた結果であるということから、より多くの自分の遺伝子を残す、そのためのいろいろな方法を動物がとっている。パンダから始まりさまざまな動物の例でどのようなことをしているかが説明されている。そのことから、さらに先住民の例などから人が本能的に取る行動の説明にもつながっている。非常に面白い。これは読む価値があった。
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知らなかった動物の生態、より良い遺伝子を確率高く残すため我が子殺し、兄弟殺しは動物ではよくあること、 人間の虐待も動物の本能、より良い自分の遺伝子を残すための本能が残っているから起きるのではという
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動物の子育て、先住民の子育て、現代人の子育て…と様々な角度からみる子育て。 人間として当たり前と思ってた考え方もあっさりと覆された気分です。何が正しいとか間違っているとかそういう問題ではなく、生きているものはみな根元としては一緒。だけど、今私が法律の存在するもとで生きてる以上感じ...
動物の子育て、先住民の子育て、現代人の子育て…と様々な角度からみる子育て。 人間として当たり前と思ってた考え方もあっさりと覆された気分です。何が正しいとか間違っているとかそういう問題ではなく、生きているものはみな根元としては一緒。だけど、今私が法律の存在するもとで生きてる以上感じなくてはならない感情とかは大事にしたいなって思いました。
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本当に怖かった。無責任な人間の母親を責める常套句に動物でさえ・・・というものがあるが、その常識が一変するような事実にページをめくるたび驚かされた。美しい幻想は木端微塵に砕かれた感は強い。ただ、皆、一生懸命に生き抜こうと努力していることは痛いほどに伝わってきた。
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久しぶりのレビュー。動物に見られる「子殺し」のメカニズムと、人間の児童虐待の関係について簡潔に述べられている。 生物に共通の「子孫繁栄」という目標を達成するためには、あえて子を殺すことも理に叶う場合がある。それは動物にとって、よくあるプログラムであるそうだ。そうすると「では人間...
久しぶりのレビュー。動物に見られる「子殺し」のメカニズムと、人間の児童虐待の関係について簡潔に述べられている。 生物に共通の「子孫繁栄」という目標を達成するためには、あえて子を殺すことも理に叶う場合がある。それは動物にとって、よくあるプログラムであるそうだ。そうすると「では人間は?」と考えてしまうのは避けられない心理だろう。今でも「子殺し」が社会的に認められている先住民族の例を挙げながら、人間にも潜在しているプログラムが現代社会において「虐待」として表見していると本書は指摘する。それは非常にショッキングである。 なぜ動物はあえて「子殺し」を行うのか。続きはこの本で。
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「ダーウィンが来た!」的な動物おもしろ知識本かと思ったら大間違い。 自分の子を“よく”残すという遺伝子レベルの話から、後半は人間の児童虐待の話へ。 どうしても感情論で考えられがちですが、生物学や文化人類学の観点から考えると、また違った見え方をします。 「母親スイッチ」なんてない、...
「ダーウィンが来た!」的な動物おもしろ知識本かと思ったら大間違い。 自分の子を“よく”残すという遺伝子レベルの話から、後半は人間の児童虐待の話へ。 どうしても感情論で考えられがちですが、生物学や文化人類学の観点から考えると、また違った見え方をします。 「母親スイッチ」なんてない、という指摘は、救われるお母さんも多いのではないでしょうか。 ただ研究結果をまとめただけではなく、最後にちょっと突飛な虐待解決策を提案しているのも面白いです。
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