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日本文化の論点 の商品レビュー

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33件のお客様レビュー

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2013/03/10

提示する処方箋がことごとくぬるいのは宇野らしいけど、状況の整理と問題の提起については抜群にうまくて、そこはやはり参考になる。 たとえば日本のアニメやマンガを輸出しようというクールジャパンな議論のイケてなさを宇野はちゃんと指摘する。オタク文化が花開いたのは個々のコンテンツのおかげて...

提示する処方箋がことごとくぬるいのは宇野らしいけど、状況の整理と問題の提起については抜群にうまくて、そこはやはり参考になる。 たとえば日本のアニメやマンガを輸出しようというクールジャパンな議論のイケてなさを宇野はちゃんと指摘する。オタク文化が花開いたのは個々のコンテンツのおかげてはないしそこに価値を還元できないという当たり前が、ことクールジャパンだ、海外で売り込みだって話になるとその辺がすっぽり抜け落ちておかしな議論になる。日本のマンガ・アニメは優れているのだから適切な出版と流通の体制があればいけるはず、なんていう安易な発想で議論が進められて、それでコンテンツ立国知財立国と言ってるわけだから議論が行き詰まるのも当然。その当然がなぜか語られない不思議っちゃ不思議な状況でしっかり論点出しできるのはやはり宇野のすごいところだと思う。

Posted byブクログ

2013/03/07

昨年の大河『平清盛』を論じるネット界隈で偶然宇野氏を知り、現代のサブカルチャーを批評する人たちの動きに興味を持つようになった最近。先日はETV特集にも出演した宇野氏が考えていることが、新書本らしく端的にわかりやすくまとめられたというのが本書のようである。 論点3〔音楽消費とコンテ...

昨年の大河『平清盛』を論じるネット界隈で偶然宇野氏を知り、現代のサブカルチャーを批評する人たちの動きに興味を持つようになった最近。先日はETV特集にも出演した宇野氏が考えていることが、新書本らしく端的にわかりやすくまとめられたというのが本書のようである。 論点3〔音楽消費とコンテンツの「価値」〕、論点5〔ファンタジーの作用する場所〕は、とりわけ興味深く読み進めた。そして論点6〔日本文化最大の論点〕(内容はとある国民的アイドルグループについて)をクライマックスにもってくるような強かさこそが、彼の批評家としての活動の原動力なのだろうか、と感じた。 情報社会で立ちまわる宇野氏が、あえて先日のようにETV特集というテレビメディアに出演したり、書籍(新書本というタイプの)という形で社会へはたらきかけたりすることの意図をさぐるのも興味深い。

Posted byブクログ

2013/03/06

宇野さんの活動を追っていたり連載を読んでいるとこれは前に言ってた事や書いてた事をわかりやすく、普段読まない人に手に取ってもらおうとしているのがよくわかる。 だから新書でということなのだろう。 『リトル・ピープルの時代』から『PLANETS』vol.8からそしてその先へ向かうための...

宇野さんの活動を追っていたり連載を読んでいるとこれは前に言ってた事や書いてた事をわかりやすく、普段読まない人に手に取ってもらおうとしているのがよくわかる。 だから新書でということなのだろう。 『リトル・ピープルの時代』から『PLANETS』vol.8からそしてその先へ向かうための過程にあるものたちが書かれている。 宇野さんがEテレに出たりとかそういう活動が普段届かない層に向けて昼の世界を夜の世界に導くためのものだと思うがどんどん仕掛けていく決意というかある種の本気の遊びなのだろう。 またAKBの話かよという人もいるのかもしれない。僕はAKBに関して詳しくはないが宇野さんや濱野さんが語る事で興味はあるし確かにアークテクスチャやデータベース、二次創作など様々な現代的なものが内包された文化としてそれはある。どこに向かうのかはやはり気になる。 平清盛や新劇場版エヴァなんかの話も読みたいがそれは文化批評で補完されるだろうからそちらを楽しみにする。

Posted byブクログ