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日本文化の論点 の商品レビュー

3.2

33件のお客様レビュー

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2014/02/03

新書ということもあって、宇野常寛入門書といった趣。基本的には広くサブカルを扱ってはいるが、最近の宇野さんの興味柄か、やはりAKBについての紙幅が多い。「<夜の世界>の知恵が少しでも<昼の世界>を変えていくための力になってくれればいい、いやそうならなければならない」というあとがきの...

新書ということもあって、宇野常寛入門書といった趣。基本的には広くサブカルを扱ってはいるが、最近の宇野さんの興味柄か、やはりAKBについての紙幅が多い。「<夜の世界>の知恵が少しでも<昼の世界>を変えていくための力になってくれればいい、いやそうならなければならない」というあとがきの一文には、昨今の宇野さんの積極的な活動における信念が窺える。

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2013/08/15

クールジャパンという飴と非実在青年というムチによって<昼の世界>は<夜の世界>に介入してくる。が、政治は大衆と無視できない。だからネット選挙という形式によって<昼の世界>が<夜の世界>に扉を開いたかに思われたが、結局何も変わらなかった。体よくガス抜きされただけ。 日本人の区分とし...

クールジャパンという飴と非実在青年というムチによって<昼の世界>は<夜の世界>に介入してくる。が、政治は大衆と無視できない。だからネット選挙という形式によって<昼の世界>が<夜の世界>に扉を開いたかに思われたが、結局何も変わらなかった。体よくガス抜きされただけ。 日本人の区分としては、都市と地方の地域論、現役と老人の世代論等々ある。リベラル勢力の結集・強化には賛同する。が<夜の世界>を都市のホワイトカラーに限定してしまって、その想像力だけで<昼の世界>と戦えるのか?で、郊外のブルーワーカーにどうやって広げていくのか?地方や老人はどうするんだ?こにもリベラルはいるんじゃないか?それともこれらとは対立するのか? <昼の世界>より<夜の世界>の世界の方が楽しいし、政治には文学や哲学が必要に思う。が、<昼の世界>で忙しいと<夜の世界>まで関心がまわらない。また<夜の世界>には女子供向けという軽蔑対象になる属性がある。AKBがその最たるものだろう。それを日本文化の最大の論点にしてしまって本当にいいのか? 本書の最大の収穫はAKBの「じゃんけん」の意味がよくわかった事。政治にも「じゃんけん」があってもいいのでは?と本気で思う。というか、もう日本変革するには「じゃんけん」しか残ってないような。

Posted byブクログ

2013/08/13

読みやすくておもしろかった。どこか入試で出さないかな。現代文の教材に使いたい。文化論の入門として生徒の入りやすい話題を取り上げられる。

Posted byブクログ

2013/08/07

●標準家庭という概念の無効性 P9 ●情報技術の生むあらたな「中間のもの」P18 ●「地理」の死んだ街・東京 P43 七年間住んでつくづく思うのですが、僕はこの東京という街はとても「変な街」だと思っています。たとえば僕は自宅のある高田馬場から距離的には数キロと離れていないはずの護...

●標準家庭という概念の無効性 P9 ●情報技術の生むあらたな「中間のもの」P18 ●「地理」の死んだ街・東京 P43 七年間住んでつくづく思うのですが、僕はこの東京という街はとても「変な街」だと思っています。たとえば僕は自宅のある高田馬場から距離的には数キロと離れていないはずの護国寺や目白台といった地区のことをとても遠くに感じている。感覚的には九段下や渋谷よりも遠くにあるくらいです。これはどういうことかというと、単純に鉄道のアクセスの問題です。電車の乗り換えの関係で、本来近い場所が遠い場所として機能しているし、その逆のケースも多い。これはおそらく、この街が極度の鉄道依存の街であるために起こっている現象です。 ●コミックマーケット、ニコニコ超会議の開催場所について P50 ●「虚構の時代」の終わりと東日本大震災 P103

Posted byブクログ

2013/07/30

宇野常寛『日本文化の論点』読了。AKB48、ニコニコ動画などガラパゴス日本で生まれた想像力に停滞する我が国の新しい可能性を見る。体制内変革を信じることが出来ないという宇野さんの主張に共感。“仕組み”ごと変えるという思想は橋下的な潮流でもあり、これは時代の要請なのだ。

Posted byブクログ

2013/07/13

今後日本を牽引するのは〈夜の世界〉の文化、つまりマンガ、ゲーム、アイドルといったバカにされがちだったサブカルチャーであり、しかもコンテンツではなくそれらを構築している仕組み(ニコニコ動画やコミケやAKB48のシステム)であるという考えには大変興味深い。それによってアジアの若者が文...

今後日本を牽引するのは〈夜の世界〉の文化、つまりマンガ、ゲーム、アイドルといったバカにされがちだったサブカルチャーであり、しかもコンテンツではなくそれらを構築している仕組み(ニコニコ動画やコミケやAKB48のシステム)であるという考えには大変興味深い。それによってアジアの若者が文化的につながっていければ楽しいと思った。 AKB48がソーシャルメディアと現場とファンのコミットメントによっていかに成功し得たかを熱く論じている。というか、途中からいちファンによるAKB48賛歌になっていくあたりは確信犯的(笑)。

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2013/10/08

 読了。うーん、夜の世界による昼の世界への滲出。末尾の平清盛と鎌倉王権の対比がわかりやすいか。いわく、体制改革者で理想主義者である清盛よりも、誰にもわからないところでひっそりと別のことを始めた鎌倉殿がいつの間にか天下を握る、そちらに憧れる、とのこと。  この感覚自体はわからないで...

 読了。うーん、夜の世界による昼の世界への滲出。末尾の平清盛と鎌倉王権の対比がわかりやすいか。いわく、体制改革者で理想主義者である清盛よりも、誰にもわからないところでひっそりと別のことを始めた鎌倉殿がいつの間にか天下を握る、そちらに憧れる、とのこと。  この感覚自体はわからないでもない。また、日本文化の売りはハードでも、ソフト・コンテンツですらなく、コミュニケーションという動的なプロセスそのものにある、という話もなんとなく納得はできる。お茶の空間でもどこに芸術性があるか、と言われるとプロセスにあると思われるから。日本人の言う「色気」の”イロ”を現代的に置き換えた、と読めば、いっぱしの文化論には感じられる。  ただ、ならば、なぜAKBなのか。そりゃヲタだから、といえばそれまでかもしれないが。私はあのようになんでもそのままぶち込んでしまうものが文化の代表者ではありえないと思う。モーニング娘。だって、一定のオーディションや脱退といった新陳代謝を加えて、文化の代表性を失わない、抽象化の儀式を行ってきた。AKBがじゃんけんしたり投票したりする行為に、そうした代表性はあるだろうか?  基準の決定をプロデューサー個人から民主化した、と言えるのかもしれないが、それはどうだろうか。コミュニケーションというプロセスの神聖化のために出した例だったのかもしれないが、私には日本文化の行き詰まり、コミュニケーションツールの暴走過程にしか見えないのだが。  一番読むべきところは「おじいさんのランプ」について語った章。宇野さんの高齢世代の価値観への批判や若者の弁護は非常に論理的で惹かれるものがあるが、その根底におじいさんのランプがあったのはとてもうれしかった。私もこの話が大好きで、しかもこのおじいさんのような老人に増えてほしいと思っている人間なので、我が意を得たりの感。  文章も、口語体の非常に抒情的評論として秀逸の一品に見える。どこかの大学で入試に出てもおかしくないくらい。 石破・宇野対談を読んでみて、宇野さんは面白いんじゃないかと思って買ってみた。僕はAKBの意義がちっとも見いだせていない元モーヲタなので章立て的にどうなのかなあ?とも思ったのだが。

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2013/05/22

AKBがいかに新しい文化の形なのかを分かりやすく示している。頭のいい人とはこのような人をいうのだろう。

Posted byブクログ

2013/05/03

著者がAKBのファンであることを隠しつつ、第1~5章の答えは第6章の論点であるAKBに解決の糸口があるとしている。本書を読む人は宇野常寛を知っているはずだから、無意味にAKBを後出しにする形式に感じる。他の媒体でも同じ内容を散々述べているから、なんでわざわざ。 物や場所だけにと...

著者がAKBのファンであることを隠しつつ、第1~5章の答えは第6章の論点であるAKBに解決の糸口があるとしている。本書を読む人は宇野常寛を知っているはずだから、無意味にAKBを後出しにする形式に感じる。他の媒体でも同じ内容を散々述べているから、なんでわざわざ。 物や場所だけにとらわれるのではなく、文化を楽しむ空間や土壌が重要なのである、というのはもっともで賛同できる。 もちろんAKBをたいへん重視している。 「J1やJ2の優勝チームがほとんど気にされない一方で、前田敦子や大島優子のどちらが選挙に勝ったかは、この話題が注目されること自体が気に食わない人も含めてみんなが気にしている。」 それはあなたの周りにAKBを好きな人が多く、Jリーグに興味がある人が少ないだけ。自分の気になることは注目されていると感じ、興味がないことは話題になっていても気にならない。著者がもう少しAKBを客観視できれば(ふつうは難しい)より説得力が出てくると思うのだが。

Posted byブクログ

2013/04/06

AKB48が最大の論点かは、かなり疑問が残るものの味わい深いエッセイと評論の中間を狙った文体、論点の切り出し方は、秀逸。構造改革+リベラルを志向する政治運動が必要だという現状分析も素晴らしい。ただファンだからこそAKB48を最大の論点として取り上げるエビデンスが欲しかった。また、...

AKB48が最大の論点かは、かなり疑問が残るものの味わい深いエッセイと評論の中間を狙った文体、論点の切り出し方は、秀逸。構造改革+リベラルを志向する政治運動が必要だという現状分析も素晴らしい。ただファンだからこそAKB48を最大の論点として取り上げるエビデンスが欲しかった。また、夜の世界をどう昼の世界を改革するのかについて改めて論考を待ちたい。

Posted byブクログ