少年十字軍 の商品レビュー
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きれいな装丁と挿絵に魅かれて、予備知識なく読み始めたが、次々に登場する多くの人物たちと思惑などが絡み合って覚えるのが困難だったこともあり、かなり苦戦した。途中、起こる出来事も、それは夢なのか、幻想なのか、事実(物語上の)なのかが明確にされないことも没入感を途切れさせてしまい、誰にも感情移入できることもなく、手こずらされた。 最後も、神が助けてくれないからと悪魔に祈ったエティエンヌが甦ってしまって、不思議な人生を歩んで記憶をなくしていたガブリエルが故郷に子どもたちを連れ帰って、そこでみんなで生きていけるんだろうな、ということで良いのだろうか。 何とか最後まで読了したが、キリスト教と十字軍に懐疑的なこともあるかもしれないが、そもそも、この物語で作者が何が描きたかったのかが、最後までわからなかった。
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3:★3.5。「海賊女王」に引き続き、皆川作品を。(作品世界の)時勢を反映した虚無感、神や奇跡を求める人心に応えるかのごとく現れたエティエンヌ。彼の見せる「奇跡」のあれこれは決して奇跡などではないと仄めかされつつ、それでも止まらない・帰れない巡礼の歩みが、どうにも悲しかったです。...
3:★3.5。「海賊女王」に引き続き、皆川作品を。(作品世界の)時勢を反映した虚無感、神や奇跡を求める人心に応えるかのごとく現れたエティエンヌ。彼の見せる「奇跡」のあれこれは決して奇跡などではないと仄めかされつつ、それでも止まらない・帰れない巡礼の歩みが、どうにも悲しかったです。 騙され、利用された挙句のささやかな復活とガブリエルの決断こそが、いちばんの奇跡だったのかも。
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実際の少年十字軍の悲惨を、皆川博子女史の筆はこうも残酷でありながら美しい物語に仕上げてしまう・・・。 レイモンの見栄から始まった虚言がどんどん自分を浸食していく様とか、堕落した聖職者達とか、ならずものと通じてる貴族とか・・・人間の邪悪さや汚濁をこれでもかこれでもかいやまだだ・・・...
実際の少年十字軍の悲惨を、皆川博子女史の筆はこうも残酷でありながら美しい物語に仕上げてしまう・・・。 レイモンの見栄から始まった虚言がどんどん自分を浸食していく様とか、堕落した聖職者達とか、ならずものと通じてる貴族とか・・・人間の邪悪さや汚濁をこれでもかこれでもかいやまだだ・・・ってぐらい書き上げていながらもその腐臭をさせない圧倒的筆力・・・これが・・・皆川博子・・・。 奇跡はない、だが圧倒的な虚無は間違いなく存在するのだ・・・。圧倒的耽美、無惨、そして死。 翻弄される民衆は、少年たちはエルサレムへ辿り着くのか・・・?? 『少年十字軍』、圧巻です。 ルーが・・・ルーの萌えがすごい・・・。 森で暮らしていた自然児だった狼少年が年上の少女に素直になれないながらも気に掛けてるのが・・・こりゃあ萌えだ・・・。 ドミニクには懐いてるのとかも・・・自分と同じく素直じゃない兄ちゃんには親近感覚えてる少年・・・。 ジャコブとドミニクっていうかドミニクのジャコブへの気持ち・・・あれは・・・もう言い逃れできねえよ・・・。 そういう目で読んでしまったことを許してほしい・・・いやだってあれは・・・なあ・・・???普通ただの同僚のために命を捨てられる???違うでしょ???
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時代が時代なので理不尽で不条理だらけの世界と社会の中で、少年たちは信仰や理想の為ではなく、生きるために遠征を続けなければならない現実に次々と打ちのめされていく。 人と違う者は異常とされ、力を持つ者は周りから縋り付かれる。けれどその力も畏怖に変われば途端に排除されることに。 最後まで大人たちの都合に振り回される子どもたちに心を寄り添わせながら読んでいくのは苦しく切ない。 しかしながら最後は光が差し込む終わり。 解放された視野と心を持つルーの爽やかさと、命しか持っていなかったガブリエルがアイデンティティを取り戻したことがそれを支えている。
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皆川さんの本だもの、さぞや文字がみっちりと。。。 と思っていたら、あらら? もしかしたら児童書? 天啓を受けた少年を中心にしてエルサレムを目指す物語。 偽物の愚かさ、宗教家のあくどさが前面に出ていて 善悪のはっきりしたわかりやすい物語だった。 途中、「怒りの葡萄」のように、とり...
皆川さんの本だもの、さぞや文字がみっちりと。。。 と思っていたら、あらら? もしかしたら児童書? 天啓を受けた少年を中心にしてエルサレムを目指す物語。 偽物の愚かさ、宗教家のあくどさが前面に出ていて 善悪のはっきりしたわかりやすい物語だった。 途中、「怒りの葡萄」のように、とりつかれたように目的地に向かう人たちの様子が、もう少しやんわりと描いていたように思う。 歴史的な下敷きの知識があまりなかったのが残念だったかも。 野生児の「ルー」の型破りさ 記憶喪失者の「ガブリエル」が見る不思議な風景 ここがもっと見たかったかもしれない。 あとがきにあった古屋兎丸さんの本 息子が持っていたかも。。読んでみようっと。
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「アルモニカ・デュアボリカ」ですっかりはまった皆川さん。あの時のようなエグさや暗さがあまりなくて、文体も何だか読みやすかった。でも、パンチが。。「アルモニカ~」がすごーーく良かったもんなぁ。
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ガブリエルに命を受けたエティエンヌが子供を引き連れてエルサレムを目指す。 ただし、エティエンヌ自身には強靭な行動がない。 そもそも話のはじめから説教士(そのじつ修道士フルク)に引っ張られているのだ。 そこに多くの青年たち、大人たちが絡んでくる。 その中にいる、ガブリエルという記憶喪失者が、いつも思うのだが皆川博子の小説の素敵なところ。 三人称の小説内に「わたし」が紛れ込む。さらに「わたし」は悪魔サルガタナスが見えるのだ。 そのおかげで筋に精彩が備わり、なおかつ深みが増す。 素晴らしい。
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第四次十字軍失敗のあと、突然子供たちがエルサレムを目指した…という史実が素材のお話。皆川さんなので、もっと濃密でエグいまでの美しさを期待してたんだけど結構あっさりと。そして文章量もあっさりと。で、あとがきを読んだら児童劇団の脚本として応募した時のものが元になっているとのことで、そ...
第四次十字軍失敗のあと、突然子供たちがエルサレムを目指した…という史実が素材のお話。皆川さんなので、もっと濃密でエグいまでの美しさを期待してたんだけど結構あっさりと。そして文章量もあっさりと。で、あとがきを読んだら児童劇団の脚本として応募した時のものが元になっているとのことで、そりゃああっさりさせるよね…で納得しました。
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古屋さんの「インノサン…」を読んでいたので覚悟はできていたけど、あちらに比べれば大分救いのある展開でよかった。 信じればそこには神も奇跡も存在する。 無知と盲信、無垢と信仰。 神はあるのか。 みたいな。まあ結局、何にも求めなければいいのだなー。何もしない神に意味があるのかは知らん...
古屋さんの「インノサン…」を読んでいたので覚悟はできていたけど、あちらに比べれば大分救いのある展開でよかった。 信じればそこには神も奇跡も存在する。 無知と盲信、無垢と信仰。 神はあるのか。 みたいな。まあ結局、何にも求めなければいいのだなー。何もしない神に意味があるのかは知らん。
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