女中譚 の商品レビュー
【小さいおうち】のタキさんの自分史より、オスミさんの昔語りの方が面白かった。 元ネタの3作品(【女中の手紙/林芙美子】【たまの話/吉屋信子】【女中のはなし/永井荷風】)は、先に読むより後から読む方が楽しめそう。
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トリビュート作品集なんですね。。小さいお打ち合わせが何というか、古き良き時代のお話という感じだったから読んでビックリしちゃいました。だって何かスミさん凄い。でもこれくらいじゃなきゃ務まらないんでしょうね女中は。 元のお話を読んで見たくなりました。
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「小さいおうち」といろんな意味で対になる作品なのでしょうか。陽と陰みたいな。ただ、この時代の女中という立場が、社会にも目を向けられるポジションにあったことや、陽であれ陰であれ自立した女性として描いているところには共通するものが感じられました。 『本歌取り』面白いですね~。元の作品...
「小さいおうち」といろんな意味で対になる作品なのでしょうか。陽と陰みたいな。ただ、この時代の女中という立場が、社会にも目を向けられるポジションにあったことや、陽であれ陰であれ自立した女性として描いているところには共通するものが感じられました。 『本歌取り』面白いですね~。元の作品が読みたくなります。 ちょっと重たくて、疲れているときは読み進むのがキツかったです。(疲れた時に読んだので評価が低めになってしまいました)
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再読 昭和の日本文学と秋葉原のあの通り魔事件を絡める意外性。話の中でさらに別の文学作品ともリンクする。 その巧みなところが少々不気味。 あの事件のすぐお隣で、最期を迎えるすみ。りほっちにその死は伝わったのだろうか。
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『小さいおうち』の姉妹小説という事で興味を持って読んだ。 小さいおうちの奥様とタキちゃんは、ちょっとほっこりする女の友情物語みたいだったけれど、あまりに雰囲気が違うので驚いた。 山形から上京して、長らく同じおうちに奉公した純朴なタキちゃんとは違い、ヒロインの“すみ”は、何というか...
『小さいおうち』の姉妹小説という事で興味を持って読んだ。 小さいおうちの奥様とタキちゃんは、ちょっとほっこりする女の友情物語みたいだったけれど、あまりに雰囲気が違うので驚いた。 山形から上京して、長らく同じおうちに奉公した純朴なタキちゃんとは違い、ヒロインの“すみ”は、何というか、踊り子で、ヒモを飼って、お股ゆるくて…しかし強靭な精神の持ち主である。 『ヒモの手紙』『すみの話』『文士のはなし』 の、3編からなるが、それぞれ、林芙美子、吉屋信子、永井荷風の作品のトリビュートである。 その作品中に描かれる女中たちを、一人の物語として再構築したものだった。 それが更に、秋葉のメイド喫茶に出入りするばあさん“すみ”の、昔がたりという形で描かれる。 一編目は、ちょっと驚きと戸迷いが勝ったが、だんだん、引き込まれて行った。 昭和の歴史を絡ませるのも、小さいおうちと同じである。 解説から、更に情報をもらった。 中島京子さんの昭和語り(戦後生まれなのに)、もう少しいろいろ読んでみたい。
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林芙美子「女中の手紙」、吉屋信子「たまの話」、永井荷風「女中のはなし」を下敷きにした連作。浅田次郎の天切り松シリーズの影響でこういう話は好きだし、語り手であるすみさんは女性のずるさをしっかり描かれつつも三作通して肝の据わった気性にブレがなく面白いキャラクター。各話の設定も面白いの...
林芙美子「女中の手紙」、吉屋信子「たまの話」、永井荷風「女中のはなし」を下敷きにした連作。浅田次郎の天切り松シリーズの影響でこういう話は好きだし、語り手であるすみさんは女性のずるさをしっかり描かれつつも三作通して肝の据わった気性にブレがなく面白いキャラクター。各話の設定も面白いので割と早く読み終わって楽しかった。 でもなんだか物足りなさが残るのは何故だろうか?少し考えてもいいかも? 吉屋信子を読んでみたくなった。 永井先生は天切り松でもこの作品でも、物語の余韻を残すのに一役買っていると思う。 失われたものへの郷愁、っていうとき永井荷風のイメージが浮かぶ。が、実際に荷風の作品を読む気にはならない。
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秋葉原のメイド喫茶に通う、90歳を過ぎた老婆のひとり語りで構成された小説です。彼女は戦前、戦中、戦後を、女中をしたり、カフェの女給をしたり、浅草の劇場でバックダンサーとして踊ったりしながら、強かに生きた女性でした。本書は、そんな彼女の遠い思い出話を綴ったものです。 最初に読んだ中...
秋葉原のメイド喫茶に通う、90歳を過ぎた老婆のひとり語りで構成された小説です。彼女は戦前、戦中、戦後を、女中をしたり、カフェの女給をしたり、浅草の劇場でバックダンサーとして踊ったりしながら、強かに生きた女性でした。本書は、そんな彼女の遠い思い出話を綴ったものです。 最初に読んだ中島京子さんの作品は〝FUTON〟でした。タイトルからもわかるように、これは田山花袋の〝蒲団〟を妻の視点から描き直したものでした。〝FUTON〟を読んだ時もずいぶん驚かされましたが、この〝女中譚〟も林芙美子、吉屋信子、永井荷風の小説を下敷きに書かれたものだそうです。物語の終盤には、永井荷風自身が登場したりなんかして、当時の雰囲気を壊すことなく、現代的な視点でまったく違った作品を生み出すという手法に感心することしきりでした。 いつの世も、強かさの裏には哀しい物語がつきものなのですねぇ。
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作者、中島京子さんの「小さなおうち」が同じように女中の話でとても素敵な雰囲気だったので、そんな感じかな~と想像して読み始めてびっくり!! 180℃違う雰囲気でした。 90歳以上のおばあさんが、秋葉原のメイド喫茶で働く女の子の友だち(?!)に自分の若い頃の話を語るという設定です。 ...
作者、中島京子さんの「小さなおうち」が同じように女中の話でとても素敵な雰囲気だったので、そんな感じかな~と想像して読み始めてびっくり!! 180℃違う雰囲気でした。 90歳以上のおばあさんが、秋葉原のメイド喫茶で働く女の子の友だち(?!)に自分の若い頃の話を語るという設定です。 そしておばあさん「すみさん」は若い頃、女中として働いていたのですが…。 その話があまりに必死に生きていて、そしてそんな必死な中でもひそかな楽しみを見つけたり、悪巧みしたりして、なんだか落ち着いた気持ちでは読めませんでしたね~。 この人、次はどんな悪知恵を働かせてしまうんだろうとドキドキ! すみさんが女中として働いていた時代の表の雰囲気と裏の雰囲気が上手に表現されているように感じました。 本作、もとに女中を題材にした他者の作品があるそうです。 それをトリビュートした作品らしいです。 元の作品を読んだいないのが残念です。
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林芙美子、吉屋信子、永井荷風の女中が描かれた作品を下敷きにした小説。元女中で今や老婆となっている主人公が昔をふり返って語るというスタイルだけど、主人公の語り口とかたくましい生き方とか林芙美子っぽいなあと思った。 下敷きとなっている作品を読んでなくともおもしろく読めたけど、永井荷風...
林芙美子、吉屋信子、永井荷風の女中が描かれた作品を下敷きにした小説。元女中で今や老婆となっている主人公が昔をふり返って語るというスタイルだけど、主人公の語り口とかたくましい生き方とか林芙美子っぽいなあと思った。 下敷きとなっている作品を読んでなくともおもしろく読めたけど、永井荷風の「女中のはなし」を下敷きにした「文士のはなし」がいちばんおもしろかったかな。永井荷風を読んでみたくなった。 そして解説がすばらしい、というか、解説がなければおもしろさが半分くらいしかわからなかったかも。 短い作品を読んだときにわたしはいつも言ってる気がしなくもないけど、もっと長かったらよかったのに、とか思った。主人公が今、秋葉原のメイドカフェに通っているという凝った設定にわざわざするんだったら、もっとその現代を舞台に話が広がっていたらよかったのに、と。あと、昭和初期から日本が戦争へ進んでいく時代背景ももっとたっぷりわかりやすく描かれていたらよかったのに、とも。(ハイ、わたしは行間を読んで考えるより、説明たっぷりのくどい話を読むのがわたしは好きです。)
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