緋文字 の商品レビュー
罪の象徴の緋文字が、やがてはその元々の目的が薄まっていく。 不倫の罪を裁かれ、緋文字を生涯付けることを余儀なくされたヘスター・プリン。彼女は誰が相手かを決して口外することなく、人々の冷たい視線も受け入れて、毅然と生きていく。不倫によって生まれた娘パールを育てながら。 よほどの理...
罪の象徴の緋文字が、やがてはその元々の目的が薄まっていく。 不倫の罪を裁かれ、緋文字を生涯付けることを余儀なくされたヘスター・プリン。彼女は誰が相手かを決して口外することなく、人々の冷たい視線も受け入れて、毅然と生きていく。不倫によって生まれた娘パールを育てながら。 よほどの理由があったにせよ、自分が犯した罪は罪として受け入れる。でも、それに押しつぶされないで、黙々と、毅然と生きていく。それはいいのだが、もう少し、ヘスターと牧師のことを掘り下げて書いて欲しかったと思う。
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みなさんは海外の作品を読むときに翻訳家というものをどの程度意識されているでしょうか え?★5付けといてまた関係ない話し始めるの?と思ったみなさん 安心してください この素晴らしい名作は光文社の他に多彩な出版社から刊行されていて それぞれに素晴らしいレビューが存在しています そっ...
みなさんは海外の作品を読むときに翻訳家というものをどの程度意識されているでしょうか え?★5付けといてまた関係ない話し始めるの?と思ったみなさん 安心してください この素晴らしい名作は光文社の他に多彩な出版社から刊行されていて それぞれに素晴らしいレビューが存在しています そっち読めばいーじゃん!(清々しい開き直り) というわけで話し進めますね 翻訳家さんです 翻訳家さんにもっと注目して読書生活を送ってみませんか?という新生活の提案です かくいうワタクシも、そこまで翻訳家さんを気にしていたわけではないんですが 今回のように気が付くと小川高義さん祭りになっていたりしてあれこれはどういうことかと思いつつ(今回もヘミングウェイの小川高義さん訳をよんですぐにホーソーンを読んでるんですが全く意図してませんでした) データ好きのワタクシはちまちまと翻訳家さんのタグ付け作業を営みつつ振り返ってみたのです ※せっかくデータ取ったので2023年5月27日現在の既読翻訳家さんベスト5〜〜 1位 池田真紀子さん 25冊 全体のベスト5にも顔を出す翻訳家さん ジェフリー・ディーヴァーを中心にいろいろなミステリーやSFなど本当に長く活躍している方です 2位 安田均さん 15冊 ドラゴンランスシリーズの翻訳家で、今なお日本ファンタジー界の中心で活躍を続けるレジェンドです 3位 成川裕子さん 10冊 大好きなミネット・ウォルターズは全てこの方 4位 柳沢由美子さん 9冊 北欧ミステリ、刑事ヴァランダーシリーズとエーレンデュル捜査官シリーズを手掛ける 方やスウェーデン方やアイスランドです 言語違うはずなんですがどうなってるんでしょう? 5位 山田蘭さん 7冊 アンソニー・ホロヴィッツを手掛ける 5位 三角和代さん 7冊 カーソン・ライダーシリーズはこの方 まぁ、シリーズで読んでる作品を扱ってる方が上位に来ちゃうんで順位づけはあまり意味がないかもしれませんが圧倒的に女性が多いですね なにか理由があるんでしょうか? そして調べてる過程で、今回の小川高義さんもそうなんですが、何故か同じ翻訳家さんの作品を続けて読むということがけっこうありました 原作は全然違う人なのにです これまたどういうことか あまり同じ人の作品は続けて読みたくないけど、深層心理で似たような作品を求めている? とにかくなにか翻訳家さん個人に惹かれるものがあるのかもしれません もちろん原作というモノはしっかりとあるんですが日本語で読む以上、そこに翻訳家さんの色が出ないわけがないですもんね そしてみなさんにお勧めしたいのが、翻訳家さんで検索をかけることです 面白い!と思った海外の作品の翻訳家さんの別の翻訳作品から思いもよらないあなただけ傑作を見つけ出すことができるかもしれませんよ! 余談ですがアンソニー・ホロヴィッツの『絹の家』(コナン・ドイル財団が認定したホームズの新作という位置づけ)を訳した駒月雅子さんはもともと本家ホームズシリーズの訳者さんだったりって知れたりしました
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有名な米文学ですが、私は「ひもじ」作者は「ホーソン」だと思い込んでいた。ダメですね。生半可な知識は。書かれたのは19世紀半ばですが、舞台は17世紀です。日本は江戸時代です。アメリカがまだ新天地だったころでしょう。主要人物は若く美しい主人公へスター・プリンと、男二人。そしてへスター...
有名な米文学ですが、私は「ひもじ」作者は「ホーソン」だと思い込んでいた。ダメですね。生半可な知識は。書かれたのは19世紀半ばですが、舞台は17世紀です。日本は江戸時代です。アメリカがまだ新天地だったころでしょう。主要人物は若く美しい主人公へスター・プリンと、男二人。そしてへスターの生んだ幼い娘。古い話です。信仰というものが命と同じくらいの重さであるということがわかります。へスターは不倫の罪で、忌み嫌われ後ろ指をさされながら生きていきますが、強靭で優しく魅力的です。人間の力を教えてくれます。
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いつか読もうと思ってここ数年過ごしていた#緋文字 も、ようやく読了。十重二十重と包まれているような文章で、裾を踏んづけながら歩くよう。不倫という罪(姦通罪)が、17世紀のアメリカにおいてどういうものだったのか。その罪の重さで、心身共にに病むって大袈裟…と思ってしまうしまう、現代に...
いつか読もうと思ってここ数年過ごしていた#緋文字 も、ようやく読了。十重二十重と包まれているような文章で、裾を踏んづけながら歩くよう。不倫という罪(姦通罪)が、17世紀のアメリカにおいてどういうものだったのか。その罪の重さで、心身共にに病むって大袈裟…と思ってしまうしまう、現代に生きる私…。主題みたいなものより、17世紀アメリカの空気を感じることが面白かった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
数年前にも違う訳者さんの本を読んだのですが再読。やはり良いです。 清教徒の多い、宗教と法律がほぼ等しい土地で不義の子を産んだヘスター。ヘスターが名を明かさなかった、相手の牧師、ディムズデール。そしてヘスターの本来の夫であるチリングワース医師。三人を中心に描く、罪と贖罪の物語。 罪を犯し、それを悔やみ、苦しみ、許し、自己を追い詰め、人を憎む、それぞれの心の動きが丁寧に書かれています。 罪を犯し、恥辱の印を身にまといながらも、愛情深く高潔に生きるヘスターも、罪を犯した妻のヘスターではなく罪を隠し生きるディムズデールを追い詰めんとするチリングワースも良いですが、ディムズデール牧師と、彼の罪に押しつぶされそうな心の内を描く章が特に好きです。
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緋文字という言葉はときどき耳にしたことがあり、「スカーレットレター」というとなんだかロマンチックだし、とずっと引っかかっていた言葉だった。図書館でたまたま見つけて読むことにした。 ホーソーンの作品には序文が寄せられることが多いそうで、「税関」を読むことで、緋文字本編を読む際に、...
緋文字という言葉はときどき耳にしたことがあり、「スカーレットレター」というとなんだかロマンチックだし、とずっと引っかかっていた言葉だった。図書館でたまたま見つけて読むことにした。 ホーソーンの作品には序文が寄せられることが多いそうで、「税関」を読むことで、緋文字本編を読む際に、実際にあった出来事を覗き見しているような、物語への没入感が強まったと感じる。 物語そのものとしては、パールの父親が誰なのか?があまりにあっさりしていて、もう少しミステリーものの要素やドラマティックな要素があるかと思っていたので、「なーんだ最初から登場してる牧師なのか」と拍子抜けしてしまった。 パールとヘスターのその後も、愛情を胸に幸せに暮らしました、という感じで、もっと波瀾万丈な物語を期待していたので物足りなく感じてしまった。 ヘスターと牧師がどんなふうに親密になったか、へスターと結ばれる際の牧師の心境はどうだったかの描写も読みたかったけれど、この作品は筆者があえて書かなかった部分(牧師の緋文字の様子など)があるし、そこは想像に任されているのかな。 キリスト教の教えに関して知見が足りていないこともあり、全体的にふうんと思って読んでしまった。 ピューリタンの教えの厳しさは意外なものがあった。いまのアメリカの(都市部の)イメージとはやはり結び付かなくて、どんな経緯でこの厳格さは薄まって行ったのだろう? そして1800年代当時で、既に失われた技術と評されたヘスターの緋文字の刺繍はどんなものだったのかなあ。 光文社の古典新訳文庫は初めて手に取る。 なんとなく「古典の表紙でよく見るあのイラストね」というイメージだけ持っていて、古典は読みにくいだろうし、と避けていたものの、とっても読みやすかった! 今回緋文字を読んだことで光文社の古典新訳文庫が「いま、息をしている言葉で、もう一度古典を」という意図のもと発刊されていると知り、もっと早く読めばよかったと思った。他の古典も読もうと思う。
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胸が締め付けられる。 出てくる登場人物の誰もが、少しの悪と、沢山の苦しみと愛を持ち合わせていた。 それにしても、悔恨が心身にもたらす影響力の強さよ。 アメリカ(特に田舎)には、素朴さや真面目さが感じられるけれど、それはピューリタンの流れを汲む歴史が脈絡と受け継がれているのだろ...
胸が締め付けられる。 出てくる登場人物の誰もが、少しの悪と、沢山の苦しみと愛を持ち合わせていた。 それにしても、悔恨が心身にもたらす影響力の強さよ。 アメリカ(特に田舎)には、素朴さや真面目さが感じられるけれど、それはピューリタンの流れを汲む歴史が脈絡と受け継がれているのだろうと思った。 ヨーロッパの小説と違い、ヘスターが強い女として描かれているのが印象的だった。 時に牧師や医者に対し、強い意志やその壮絶で孤独、しかし思考が自由に解き放たれた女として、力強く、優しい言葉を発する。 ヨーロッパの小説だと、彼女はもっと弱々しい存在として描かれたんじゃないかな。 最後のラストは薄々感づくのに、その場面に遭遇したくて、はやる気持ちを抑えながらページをめくった。 19世紀の小説だけど、とても読みやすいのは、小川高義さんの訳によるところも大きいと思う。 名著だった。
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CL 2021.12.10-2021.12.18 新訳でとても読みやすくなっている。 7年も自分だけ罪を隠して、隠しておけなくなったら死んでしまうディムズデール牧師は情けない男ではないか。 ヘスター・プリンはその間もずっと幼い子どもを抱えて世間から拒絶され、差別され、たったひとり...
CL 2021.12.10-2021.12.18 新訳でとても読みやすくなっている。 7年も自分だけ罪を隠して、隠しておけなくなったら死んでしまうディムズデール牧師は情けない男ではないか。 ヘスター・プリンはその間もずっと幼い子どもを抱えて世間から拒絶され、差別され、たったひとりで敢然と生きてきたというのに。 我が子パールへの責任もかけらも果たさず、ただただ己の都合、思いだけで、ひとり逝ってしまうとは。 たとえこれが1600年頃のアメリカの話だとしても、男の情けなさに怒れてくる。 現代的な基準では語れないのは承知の上で、それでも素直な感想は上記のとうり。
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最初の税関はなかなか読み進められなかったが本編は講談のような語りで読みやすい。ただし税関の内容は、今の仕事がしっくりこないと思う現代人にも共感できるものがあり親しみを感じる。割と早い段階で事実が暗示され、何も語らず世間と対峙するヒロインに対し、世間体や周囲の期待に押しつぶされ罪を...
最初の税関はなかなか読み進められなかったが本編は講談のような語りで読みやすい。ただし税関の内容は、今の仕事がしっくりこないと思う現代人にも共感できるものがあり親しみを感じる。割と早い段階で事実が暗示され、何も語らず世間と対峙するヒロインに対し、世間体や周囲の期待に押しつぶされ罪を隠している男の良心の呵責が哀れで可笑しくすらある。
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最後まで読み、「辛い」と声が出た。結局、牧師と神との間で交わされる神聖な対話や関係の前では、子供を産んだヘスターは無力だ。森での美しいヘスターも歯が立たない。牧師は、「ヘスターの苦しみを痛いほど知っていた(だからこそ辛かった!)、他人に罪人であることを隠して苦しんだ!、死ぬ前に罪...
最後まで読み、「辛い」と声が出た。結局、牧師と神との間で交わされる神聖な対話や関係の前では、子供を産んだヘスターは無力だ。森での美しいヘスターも歯が立たない。牧師は、「ヘスターの苦しみを痛いほど知っていた(だからこそ辛かった!)、他人に罪人であることを隠して苦しんだ!、死ぬ前に罪について告白するのだ!(その直前に壮大な説教をして大衆を心酔させている)、ヘスターに自分達は永遠に結ばれないと彼女を戒める!」という論理を展開していく。牧師は、神の采配で、迷いから救われたという。宗教的には勝利したのだろう。でも、ヘスターは。。。神との誓いを優先して、美しい信仰心を讃えて先に死ぬ牧師。残されたヘスターは、複雑な思いを抱えながら生きていくようだ。妊娠、出産、子育て全てをたった一人でやり遂げたヘスター。彼女には、牧師のような自己陶酔的な宗教的正義の境地には至れなかった。観念的な世界だけで完結できない日常がある。そのかわり、ヘスターには、パールがいる。女性らしい美しさを、隠し否定して生きなくてはならなかったヘスターだが、娘には美しい衣装を着せて育てた。「成熟した未来に、神聖な愛が人を幸福にするものだということを、うまくいった実例として、証明できる人」が、パールであればよいな、と思う。最後に、、、上記に書いたような、こんな単純な話ではない小説だと思いました。一気に短時間で速読したので、大切なポイントがごっそり抜けてる気もします。パールや緋文字の意味など、気になりながらも、深く分析することなく、読み終えました。後日、改めてじっくり読みたいと思う作品となりました。
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