カウントダウン・メルトダウン(上) の商品レビュー
件の原発事故に関するドキュメンタリー。色々なことを考えたがせっかくなので忘れぬためにも記述。一つは、今回の事故は防ぎ得ただろうということ。そもそも政府と事業者による運用上のリスク管理が全くできていなかった。正直信じ難い。原発反対運動に揚げ足を取られないようにそうなってしまったよう...
件の原発事故に関するドキュメンタリー。色々なことを考えたがせっかくなので忘れぬためにも記述。一つは、今回の事故は防ぎ得ただろうということ。そもそも政府と事業者による運用上のリスク管理が全くできていなかった。正直信じ難い。原発反対運動に揚げ足を取られないようにそうなってしまったようだが。 残念だと思う。そしてそういう状況を招きつつそれを追求できなかった反対運動家にも責任の一端があると思う。二つ目に、官僚及び東電各マネジメントの責任回避行動が酷い。これは上記件の原因の一つでもあると思う。しかし残念ながら「あるある」なケースが多く、日本人、特にエリート層の行動原理そのものとも思えた。彼ら当事者が悪いと言うのではなく、日本人全員が反省しマインド・チェンジしなくてはならないと思う。分かりやすく言うと、東電が悪い悪い言われているが、日本人(私)が愚かなんだと認識しろということだ。三つ目、これまで菅首相が多く批判され、この本でも悪く書かれていた。確かにマネージャーとしての資質の問題はあったと思うしもっと上手くやれる人はいるだろうと思う。が、総じて、当時感じていたよりは管首相含め(民主党の)政治家は的確に機能していたと思った。四つ目に、当時、事故当日から数日にかけて私が得ていた状況認識、ネットから得られていたものにすぎなかったけれど、それが意外にもかなり適切だったということに驚いた。そして日が経つにつれ段々情報が得られなくなっていたようだということがわかった。当初ダダ漏れ、だんだん情報がコントロールされていく過程があったんだと思う(評価は別として)。最後、この本について言うと、筆者の取材力はすばらしいが、一般向けの本にしよう思ったが故か、構成がテーマ仕立てかつ叙情的な記述であり事実を時系列に把握しずらい。まあ報告書じゃなく一般書なので仕方ないといえば仕方ない。
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3.11の東日本大震災による福島原発の事故に対する政府、東電、自衛隊、消防庁、警察、などの対応を臨場感ある筆で詳述している。テレビ、新聞でしか分からなかったその当時の現場の緊迫した様子が分かる。誰が総理だったからということは、後からなら何とでも言えるが、そのときには誰でも必死で対...
3.11の東日本大震災による福島原発の事故に対する政府、東電、自衛隊、消防庁、警察、などの対応を臨場感ある筆で詳述している。テレビ、新聞でしか分からなかったその当時の現場の緊迫した様子が分かる。誰が総理だったからということは、後からなら何とでも言えるが、そのときには誰でも必死で対処したことがわかる。しかし、部下をうまく使うのも上に立つ人の能力だろう。怒りと叱責だけでは人は能率よく動かない。
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- ネタバレ
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2012年刊。 著者は元朝日新聞主筆で、福島原発事故独立検証委員会主宰。 あの福島原発事故を巡る事故現場、東電本部、官邸、そして経産省や保安院他、事故直後の関係者の模様をビビッドに叙述する上下巻中の上巻。 著者は「同盟漂流」「ザ・ペニンシュラ・クエスチョン」など外交の裏側を鋭いメスで切り開いてきた調査報道の雄である。 現場とのホットライン、情報の集約。そして危機的状況を想定した事前の行動計画(時に過剰なほどの危機想定は可のはず)。これらにつき、計画は皆無だが、組織策定の法規範の整備は不完全ながらも存在した。 そんな中、上巻で窺える点は、 ➀ 東電本部の危機意識の欠如。 ➁ 東電本部に入っていた生情報を官邸と経産省に上げなかった怠慢(故意か否かはどうでもいい)。大体常時電話を繋ぐくらいはできたはず。 一方で、ここまで情報が上がってこなければ、政府も誰も正しい判断はできなさそうだ。 また一度怒鳴られたくらいで腰砕けになる保安院職員、我関せずの対応の経産省職員も流石にどうかと…。 官僚出身の官邸政務官の「官邸危機管理で露わになった官の劣化」「事務(行政)…が死んで」「原発事故に関し…こんな情報がありますと上げてきた者も皆無」。との述懐が物語る。 他方、政府と東電の対策統合本部の言い出しっぺが、東電からの情報遮断に業を煮やした菅直人の点は意外とも(経産官僚や秘書官の誰も、また内閣官房の枝野や福山も想起できず)。 その他印象的なのは色々あるが、中でも「(福島原発の)複数炉がやられた場合」の避難指示の距離を訪ねた際、東電社長の「余裕を見て30キロでしょうか」という他人事の如き発言を受け、さらに菅の「六基全部やられたら(現実の可能性があった)どうなんだ?」との質問に対して、東電側が誰も答えず(未想定か被害規模の甚大さに応答不可能だったか?)。というもの。 未曽有の危機に対する感覚欠如というか、解決への執念というものが東電幹部に感じられなかった(統合対策本部ができてからも情報開示に消極的であったことと相俟って)としかいいにくい様が見て取れる。 先に読破した「あんぽん孫正義伝」中の、3.11への様々な対応に触発されて積読の本シリーズを紐解くが、正月早々何とはなく暗然とした心持ち、「なんだかなぁ」という心持ちになった次第。 まぁ下巻も紐解くつもりだが…。
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元朝日新聞記者による福島原発事故のレポート 東日本が人間が住めなくない土地になるのでは・・・・・と危惧されるまでギリギリ追い詰められた状態だったが、神のご加護(風が太平洋側に吹いていた等)と各員の頑張りにより事故は収束する。 事故の収束にあたった作業員の方らは将来間違いなく被曝の...
元朝日新聞記者による福島原発事故のレポート 東日本が人間が住めなくない土地になるのでは・・・・・と危惧されるまでギリギリ追い詰められた状態だったが、神のご加護(風が太平洋側に吹いていた等)と各員の頑張りにより事故は収束する。 事故の収束にあたった作業員の方らは将来間違いなく被曝の影響が出るだろう。(実際出ているらしい) 当時の民主党政権の菅直人首相の動きから、リーダーとは・・・につき考えさせられた。 個人的意見だが、長期的には原子力発電所は全て廃止すべきだと思うね。
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東日本大震災に伴う東京電力福島第一原発事故。本書は震災 直後からの原発危機の20日間を綿密に追い、上下巻にまとめ たノンフィクションである。 東日本大震災及び、福島第一原発事故に関連する出版物は 何冊か読んで来た。本書の著者は原発事故の民間事故調査 委員会をプロデュースひた人物...
東日本大震災に伴う東京電力福島第一原発事故。本書は震災 直後からの原発危機の20日間を綿密に追い、上下巻にまとめ たノンフィクションである。 東日本大震災及び、福島第一原発事故に関連する出版物は 何冊か読んで来た。本書の著者は原発事故の民間事故調査 委員会をプロデュースひた人物だけあって、これまで読んだ 作品よりも内容が濃く、臨場感に溢れている。 大震災、津波、そして原発事故の複合災害。未曽有の危機に 直面した政府が民主党政権だったまずは日本の最大の不幸だ。 否、自民党だったらうまく対処できたというつもりはない。多分、 どの政党が政権にいてもあたふたしただろうとは思う。 思うのだが、やっぱり酷い菅政権なのだ。外国人献金問題で 追いつめられていた首相は、東日本大震災への対応で自身 の起死回生を狙ったのか? 官邸でも、視察に行った第一原発でも、乗り込んだ東電本店でも 怒鳴り散らしてばかり。危機管理の最高指揮官、最高責任者。 それがイライラしっぱなし。枝葉末節にこだわり、対局が見えない 指揮官なんて指揮官じゃない。 官邸もどうしようもないが、東電本店も救いようがない。当時の 清水社長はお飾りだし、実権を握っていた勝俣会長にしても 重大事故の責任感がないんじゃないか。 「黙って聞け。質問するな。耐えろ」 ある自衛官が部下に語った危機の際の心構え。菅直人という 人はこれがすべて出来ない人だったんだな。 私は原発事故対応時の菅直人、海江田万里を「人殺し」呼ばわり しているんだが、実はもうひとりいたのが本書を読んで分かった。 細野豪志である。 もう自衛隊にしか頼れない。そんな時、現場での作業でのネックに なるのが被曝量。それを無制限に引き上げ、志願制にしようと していた。 自衛隊員なら死んでもいいのか。どあほう。北澤防衛相及び統合 幕僚長が必死に抵抗してくれたのが幸いである。 ダメすぎる政府にあって、北澤さんはいい働きをしてたな。さて、 下巻も楽しみ。
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[戦場にて]戦後日本が直面した最大の危機とも言える福島原子力発電所事故。政府や東電、そしてホワイトハウスや在日米軍などの関係者を幅広く取材する中で浮かび上がってきた、当時の事故対応の真実を記す渾身の一冊です。著者は『通貨烈々』、『同盟漂流』などで知られる評論家・船橋洋一。2013...
[戦場にて]戦後日本が直面した最大の危機とも言える福島原子力発電所事故。政府や東電、そしてホワイトハウスや在日米軍などの関係者を幅広く取材する中で浮かび上がってきた、当時の事故対応の真実を記す渾身の一冊です。著者は『通貨烈々』、『同盟漂流』などで知られる評論家・船橋洋一。2013年の大宅壮一ノンフィクション賞受賞作。 必読の作品かと。水素爆発やベント、注水やSPEEDIなど、テーマごとに各章が組み立てられているのですが、どこを取ってもその記述内容(言い換えれば当時の状況)に様々な意味で畏怖の念を覚えました。福島原発事故に関しては様々な書物が刊行されていますが、それらの中でも特にその質及び正確性の観点から本書の右に出るものは数少ないのではないでしょうか。終章における著者のメッセージはとんでもなく心に突き刺さるものがありました。 また、在日米国大使館や米軍、ホワイトハウスなどの内幕を克明に描いたのは、その分野を得意とする船橋氏ならではないかと思います。予期せぬ形で試されることになった日米同盟が、原発事故という未知に対してどのように取り組んでいったのかなど、本当に読んでいて考えさせられることばかりでした。事象そのものが巨大すぎることを承知しつつも、この事故については勉強をしてもしすぎることはないと感じます。 〜「有事のときのアメリカ、それはない。そのことを思い知った。いざというとき、アメリカは逃げる。軍属の安全をタテに逃げるだろう。日本の安全、アメリカが最後の頼り、それもない、それらはすべてフィクションだった」「アメリカがホコ、日本がタテ、といった役割分担、それは現実には起こらない。日本がホコにならない限り、アメリカは日本を助けに来ない」……(中略)……「同盟はそれが生み出す好感情がいかほどのものであっても、同盟自体には絶対の美徳はないからである」〜 繰り返し熟読玩味したい☆5つ ※本レビューは上下巻をとおしてのものです。
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カウントダウンの続きである。なんとかギリギリのところで核燃料を格納容器内にとどめたのだが、それに掛かりきりになっていたため疎かになっていた、放射能汚染水の処理に腐心することになる。高濃度汚染水が太平洋にダダ漏れになっており、想像を絶する量の放射能海洋汚染を生じさせることとなった。...
カウントダウンの続きである。なんとかギリギリのところで核燃料を格納容器内にとどめたのだが、それに掛かりきりになっていたため疎かになっていた、放射能汚染水の処理に腐心することになる。高濃度汚染水が太平洋にダダ漏れになっており、想像を絶する量の放射能海洋汚染を生じさせることとなった。それを止める為に当初行われた対応は、現場の人間がこんな方法では絶対止められないと感じていたが、本社の上からの命令なので仕方なく実施した、給水ポリマーとおが屑と古新聞を注入することであった。しかもなお深刻な海洋汚染が継続している中、夜になったから帰りますという東電の対応に民主党細野剛志の命令で夜中水ガラスを投入することで、ようやく止める事ができた。まるで他人事である東電の事故対応に恐れ入る他はない。そして今福島の収拾を無視して再稼動が進む。
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【『民間事故調』でも語られなかった福島第一原発事故、真実の物語】「もうだめか」米軍横須賀基地から空母が離脱。首都に被害が及ぶことを想定、首相談話が準備された。日米要人300名余に徹底取材。
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上下とともに、一気に読んだ 自衛隊法施行規則第三十九条 事に臨んでは危険を顧みず、身を持って責務の完遂に務め、もって国民の負託にこたえることを誓います 危機管理では一番危険な状態に置かれている人をいかに早く見つけるかの勝負になる
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内容(「BOOK」データベースより) 「民間事故調」の調査を指揮した著者が被災地、官邸、米軍、ホワイトハウスと立体的な取材を継続。浮かびあがらせた「戦後最大の危機」の実相。
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