クオリティ国家という戦略これが日本の生きる道 の商品レビュー
ざっくり内容 クオリティ国家とは、人口規模が300万人〜1000万人、一人あたりのGDPが400万円以上で、開放経済で、法人税・所得税・相続税等を低く抑え、ハブ拠点の開発を巧みにすることで、各国からのヒト・モノ・カネを呼び込んでおり、規制緩和がされており、多言語が話せて、教育が...
ざっくり内容 クオリティ国家とは、人口規模が300万人〜1000万人、一人あたりのGDPが400万円以上で、開放経済で、法人税・所得税・相続税等を低く抑え、ハブ拠点の開発を巧みにすることで、各国からのヒト・モノ・カネを呼び込んでおり、規制緩和がされており、多言語が話せて、教育がしっかりしている国。人口・労働力のクオリティが高く、高コストな人件費をそれ以上の付加価値・生産性の高さでカバーする。自国の市場規模が狭いことから最初から世界市場をベースにビジネスを考える。国は企業救済等しないため、弱肉強食に生き残った競争力のある企業が存在する。一方でセーフティーネットは整っており、失業者は就労訓練をして成長産業に送られる。大学には本当に勉強する人のみ行き、多数は若くから職人として職能を磨き、一生食っていける手に食をつける。 日本は、輸入加工貿易で発展した。しかし、コモディティ化した製品を加工貿易していては途上国に勝てない。残された道は、高付加価値で他国に真似できないような製品による加工貿易立国をするか、クオリティ国家を目指すかである。 日本でのクオリティ国家実現の鍵は、オーガナイズスモール、つまり道州制の導入である。 ざっくり感想 クオリティ国家のコンセプトの鍵は、開放経済ということなんだと思う。それを実現するために国家(道州)ができることといえば、まず都市の将来像を示すことだと考えられる。将来像を示すことで、投資を呼び込み、ヒト・モノ・カネを呼びこむ体制を作る。そして、規制緩和と税制改革(所得税、相続税を下げて人を呼び込み、法人税を下げて企業を呼びこむ)とハブ拠点の開発により企業を呼びこむ。呼び込まれた企業は、世界市場相手に戦う。国は補助金等で企業を直接的には支援せず、セーフティーネットの拡充や教育の充実という方向性でクオリティ国家に呼び込まれた企業をバックアップする。そういう流れで、世界市場で戦える企業を呼びこむことがまず大事なのだと思う。 ハイクオリティの人材が集まると、もちろんイノベーションが加速するというメリットも有るのだけれど、ブルーカラー層に対しても、雇用が創出されたり、生産性が向上したりという影響が及ぼされる。その辺りがうまくまわって、国全体の生産性が高まり、富が集まってくるんじゃないかと思う。 そして、この変化に対応していけるように、教育が重要になってくる。特に語学力と専門性の重要性の認識である。しかも、単に英語が出来るだけでなく、地域によって九州なら韓国語・中国語、北海道ならロシア語など、多様な語学を習得して隣国のヒト・モノ・カネを活用できる土台を作らねばならない。 このような国家像をイメージしつつ、現実として何ができるのか。まずは目の前の仕事をその国家像にアジャストしていくことから始めるべきなのかなと思う。
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自分用キーワード 日米貿易摩擦(現地製造、韓国への半導体技術提供) トリガープライス制度 アルセロール・ミタル 市場秩序維持協定(日本製カラーテレビ、結果的に韓国に市場を明け渡す) 東芝機械ココム違反事件 PBR(price book-value ratio) クオリティ国家 ボ...
自分用キーワード 日米貿易摩擦(現地製造、韓国への半導体技術提供) トリガープライス制度 アルセロール・ミタル 市場秩序維持協定(日本製カラーテレビ、結果的に韓国に市場を明け渡す) 東芝機械ココム違反事件 PBR(price book-value ratio) クオリティ国家 ボーディングスクール クォーツ時計 クオーツモジュール クオーツショック BBT総合研究所 デジタル革命のジレンマ シェンゲン協定 IT2000(シンガポール) 万国郵便条約 ソブリン・ウエルス・ファンド 法人税引き下げによる誘致 海外資産(売上)比率 メディコンバレー シスタ・サイエンスパーク FCFA(両岸経済協力枠組み協定) オーガナイズスモール(『エクセレントカンパニー』内の考え方)
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中国が自国通貨の中国元を不当に操作して競争力を維持していると主張しているが、そもそも中国と競合するようなものを作っていることがおかしいのではないか。P72
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すごく勉強になった。道州制こそ、日本をよくする方法の一つ一つ。 そのためには、人のクオリティが、上がらないとだめだが。。。
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統治機構の枠組みの再編という大きな枠組みの転換を主張されている。 これを読んで自分が考えたのは空港のこと。 具体的な地方が出てくる中で空港に関する記述もあった。 「日本的に」考えると、無駄な空港というのが出てくるのかもしれない。でもクオリティ国家(=道州制)的に考えると、無駄では...
統治機構の枠組みの再編という大きな枠組みの転換を主張されている。 これを読んで自分が考えたのは空港のこと。 具体的な地方が出てくる中で空港に関する記述もあった。 「日本的に」考えると、無駄な空港というのが出てくるのかもしれない。でもクオリティ国家(=道州制)的に考えると、無駄ではないかもしれない。 どこぞの有名な方もおっしゃっていたけど、こんな知見は非常に平凡な人間である自分が普段の生活圏のどこを回っても手に入れられない。 本が投資効率が高いとはこのことでしょうね。 同時に、自分が如何にモノを知らないかというのを思い知らされる。無知の知ですね。
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これから読む。シンガポールみたいに強権とは行かないだろうけど、これしか無いんだろうな。coolジャパン(笑)は間違いではないんだけど、文化面ではきゃりーぱみゅぱみゅみたいのが自然発生するのが一番かなあ スマートシティってそう言えばどうなっているんだろう?
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最近の大前さんの著作は昔のような勢いがなくなってきたなぁと思っていましたが、この本は違いました。 「民主主義は啓蒙された人間でなければ維持できない。啓蒙されていない人間が投票すると衆愚政治になる。」 という言葉は、現在の日本を的確に表していると思う。 韓国とフィンランドの教育方針に現れているように クオリティ国家として進むためには、教育の位置づけは 非常に重要だと思う。 僕も常々、日本の教育がビジネスに直結していないこと を問題と感じていた。本書を読んでクオリティ国家を 目指すべき日本にとっては、世界で通用するリーダー を輩出する教育が重要なのだと改めて感じた。
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中途半端な国となってしまった日本。今のままでは、どんどん追い抜かれるのは目に見えている。日本の政治家たちは自分たちの利益しか考えていない。大前氏に総理大臣になっていただき舵取りをお願いしたい。
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大前節炸裂といった本。 今回の本は、スイス、シンガポール、その他の国を事例に挙げて、これからの日本は戦略国家にならなくてはならないと言っている。 しかしながら、提言内容としては既刊本とそれほど変わらないというか、ぶれてはいない。だから、大前氏の本を読んだことがある人であれば、...
大前節炸裂といった本。 今回の本は、スイス、シンガポール、その他の国を事例に挙げて、これからの日本は戦略国家にならなくてはならないと言っている。 しかしながら、提言内容としては既刊本とそれほど変わらないというか、ぶれてはいない。だから、大前氏の本を読んだことがある人であれば、それぞれの国について読んで見たければ読む意味があるが、結論だけ読みたい人には不向きだと思う。 しかし、橋下氏には少し裏切られた感があったんだと気が付いたのが面白かった。
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今、世界で繁栄している国は2つしかない。ボリューム国家(安い人件費を強みにしているBRICSの様な工業国)とクオリティ国家。 スイス、シンガポール、フィンランド、スウェーデンなど。日本も地方分権で各地方がクオリティ国家を目指すべき。 クオリティ国家に重要なのはスウォッチの様なブラ...
今、世界で繁栄している国は2つしかない。ボリューム国家(安い人件費を強みにしているBRICSの様な工業国)とクオリティ国家。 スイス、シンガポール、フィンランド、スウェーデンなど。日本も地方分権で各地方がクオリティ国家を目指すべき。 クオリティ国家に重要なのはスウォッチの様なブランド戦略。保有している16のブランドを4つの価格帯にわけて販売している。 ブランドを維持するには1人のプロデューサーがいれば良い。セイコーはそれを組織でやろうとしている。時計の職人はたくさんいるがブランドマネージメントの職人がいない。日本では1人の天才プロデューサーに任せることが難しい。みんなで力を合わせるというのが染色体としてあるから。 スイスが強い理由。 ①国家が企業を助けないから ②大学進学率が3割と低く残りは職人。職人技。 ③移民が3割でこの人たちが生み出す活力が大きい。 国民皆兵で徴兵制があり緊張感がある。 シンガポールは移民先進国で繁栄に必要な人材を輸入することで成長の原動力にしている。タイム、など日本向けの英字誌はシンガポールから送られてきている。長髪とチューインガムが禁止されている理由は世界からお客さんを迎えるホテルの従業員なので許されないという理由から。
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