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移行期的混乱 の商品レビュー

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14件のお客様レビュー

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2019/09/07

☆☆☆2019年9月☆☆☆ 「成長」から「定常」へ 「人口増」から「人口減」へ 社会の価値観が変わっていく「移行期」に我々は生きている。 「問題なのは、成長戦略がないことではない、成長しなくてもやっていけるための戦略がないことが問題なのだ」 という記述に賛成したい。 平川氏...

☆☆☆2019年9月☆☆☆ 「成長」から「定常」へ 「人口増」から「人口減」へ 社会の価値観が変わっていく「移行期」に我々は生きている。 「問題なのは、成長戦略がないことではない、成長しなくてもやっていけるための戦略がないことが問題なのだ」 という記述に賛成したい。 平川氏は、コンビニ、週休2日制が大きく日本人の価値観や労働観を変えたといろいろな著作で語っているが、的を射ているだろう。 僕が思うに、これからの日本はお金だけを頼りにするのではなく、人と人とのつながりや、金銭価値でははかれない自然といったものを大事にしていくのが良いのではないかと思う。

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2019/05/31

人口減少時代に入った日本について著者は、こうした変化が有史以来の出来事だと述べています。そのような事態に対処するためには有史以来のことばが必要であるにもかかわらず、これまで人口減少について語られてきたことばは、「経済成長」という神話が通用した、たかだか数十年のスパンで考えられたも...

人口減少時代に入った日本について著者は、こうした変化が有史以来の出来事だと述べています。そのような事態に対処するためには有史以来のことばが必要であるにもかかわらず、これまで人口減少について語られてきたことばは、「経済成長」という神話が通用した、たかだか数十年のスパンで考えられたものにすぎないといいます。 こうした立場に立ちつつ、著者はわかりやすい処方箋を求める読者の性急さをしりぞけて、まずはこのような時代の変化と向きあい、そうした大きな変化を正しく見据えることからはじめるべきだと主張します。著者は、少子化は問題ではなくむしろ問題の解決なのだと述べるとともに、その解決へと移行する期間の混乱にどのように対応すればよいのか、という観点から、日本社会の行く末を考える必要があると論じています。 『反戦略的ビジネスのすすめ』『株式会社という病』と三部作をなす本をめざして執筆が開始された本と書かれていますが、本書だけでも著者の主張を理解する妨げにはならないと思います。なお、巻末には、哲学者の鷲田清一との対談と、内田樹、高橋源一郎の二人の解説が付されています。

Posted byブクログ

2019/03/14

2010年9月に発刊。 著者の平川克美は内田樹とともに翻訳会社で働いていたことがあり、解説は内田樹が書いている。 何の本かは忘れたが、何かに本書が紹介されていたため購入した。 著者の主張は主に次の2点である。 ①日本人の価値観(主に労働観)の変化に伴って、経済成長が鈍化している ...

2010年9月に発刊。 著者の平川克美は内田樹とともに翻訳会社で働いていたことがあり、解説は内田樹が書いている。 何の本かは忘れたが、何かに本書が紹介されていたため購入した。 著者の主張は主に次の2点である。 ①日本人の価値観(主に労働観)の変化に伴って、経済成長が鈍化している ②都市化し成熟社会を迎えた結果として、少子高齢化・人口減少社会に突入している この2つの観点から、成熟社会の結果として日本は衰退していくが、その衰退がおさまるまでは移行期的な混乱が起きる。 しかし、それは必然であろうから、それを予想して受け止める準備をしておくべきである。 以上が本書の骨子であるが、①、②ともに全く新しい視点という訳ではない。にも関わらず本書が勉強になるのは、学者ではなく一人の庶民として本書を書き上げている点であろう。学者が理論を振りかざすような上から目線の書き方ではなく、時代の波にのまれながらも何とか切り抜けてきたような水平的な目線の物言いに共感するのだ。 平川克美は、早稲田大学理工学部機械工学科を卒業している。直感的に時代を洞察しながらも、なるべく理論的に裏づけようとしているところも良い。

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2018/10/15

百年単位の時間軸で時代の転換期を読み解く◆「義」のために働いた日本人―六〇年安保と高度経済成長の時代 1956‐1973◆消費の時代の幕開け―一億総中流幻想の時代 1974‐1990◆金銭一元的な価値観への収斂―グローバリズムの跋扈 1991‐2008◆移行期的混乱―経済合理性の...

百年単位の時間軸で時代の転換期を読み解く◆「義」のために働いた日本人―六〇年安保と高度経済成長の時代 1956‐1973◆消費の時代の幕開け―一億総中流幻想の時代 1974‐1990◆金銭一元的な価値観への収斂―グローバリズムの跋扈 1991‐2008◆移行期的混乱―経済合理性の及ばない時代へ◆未来を語るときの方法について◆「右肩下がり時代」の労働哲学 著者:平川克美(1950-、東京) 解説:内田樹(1950-、大田区)、高橋源一郎(1951-、尾道)

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2017/06/06

私は2014年の現在30歳です。なので、経済成長を実感した世代でありません。 どちらかというと、日本経済が、この先、あまり発展しないだろうなと思ってしまう世代です。 給料なんて、まず平均的に上がっていくなんて考えられないですし、来年、自分の所属する会社が なくなったり、リストラ候...

私は2014年の現在30歳です。なので、経済成長を実感した世代でありません。 どちらかというと、日本経済が、この先、あまり発展しないだろうなと思ってしまう世代です。 給料なんて、まず平均的に上がっていくなんて考えられないですし、来年、自分の所属する会社が なくなったり、リストラ候補になっているかもしれない、そんな不安定な世の中をもの凄く実感出来ている 世代です。  これから、どういう時代になるか、私はよくわかりません。これは、いくら、データーを分析しても、 答えは出てこないでしょう。ただ、わかっていることは、人口減少です。 これだけは、ほぼ、間違いなく、推移がわかっています。 ただ、それがわかったとして、どうなるかなんて、わかりません。  私自身は、劇的な時代の変化に対応できるか、わかりません。 日々の生活で一杯、一杯です。ただ、一生懸命やっただけでは、 今の世の中、上手に生きるのは、難しいかもしれません。 そんな不安が心の奥底にありますし、みなさんも持っているかも しれません。  平川氏も、おそらく、同じ感覚なのかもしれません。 世間では、絆とか、調子のいい言葉がはやったりしていますが、 なんか、薄っぺらいような気がします。 明るく生きて行こうなんて、今の世の中なかなか言えませんが、 それでも、平川氏みたいな、「まともなオトナ」がいることに、 自分なんかは、まだまだ、この世の中、捨てたもんじゃないなと思います。

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2014/06/18

日本は今、初めての人口減の現実に直面している。政府は少子化対策などの施策を行っているが、国が成熟してきたら人口が減っていくのは、歴史の必然。筆者は未経験の時代に対するスタンスを、丁寧に語りかけてくる。それは「仕事のシェア」であり、労働の「等価交換」ではなく「贈与」なのである。

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2013/10/11

わたしたちの父祖が、いや日本人がこれまで経験したことのない「人口減少」という局面。 「成長」を当然のものとしてきたわたしたちの考えかたそのものを問い直さなければならない、と著者はいう。 「問題なのは成長戦略がないことではない、成長しなくてもやっていけるための戦略がないことが問...

わたしたちの父祖が、いや日本人がこれまで経験したことのない「人口減少」という局面。 「成長」を当然のものとしてきたわたしたちの考えかたそのものを問い直さなければならない、と著者はいう。 「問題なのは成長戦略がないことではない、成長しなくてもやっていけるための戦略がないことが問題なのだ」 有史以来の移行期的混乱を乗り切るための処方箋など、簡単に出せるものではない。 ただ「なぜわたしたちはこんなふうに考えるのかと考え、どう考えてはいけないかという原理的な問い返しをすること以外に、わたしたちの立ち位置を確認することができないということである。」

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2013/07/28

企業での仕事には、みんな「プロ」という言葉が付いている。 ある「プロジェクト」を立ち上げるためには、計画=「プログラム」が必要だ。その事業の責任を持つ「プロデューサー」が「プロセス」を組み立てて、商品やサービスを「プロモーション」して、企業として「プロフィット」を計上することが...

企業での仕事には、みんな「プロ」という言葉が付いている。 ある「プロジェクト」を立ち上げるためには、計画=「プログラム」が必要だ。その事業の責任を持つ「プロデューサー」が「プロセス」を組み立てて、商品やサービスを「プロモーション」して、企業として「プロフィット」を計上することが求められる。それこそが「プロフェッショナル」として求められる姿勢である。今の世の中に氾濫する「プロ」という言葉、ラテン語のそもそもの意味は「前」というものらしい。つまり、企業活動というのは未来を予測して創り出していくもの、と定義することができる。 そんな企業活動が低迷しているのはどうしてなのだろうか。アベノミクスといわれる経済政策によって、一時的に息を吹き返したようにも見えるが、そもそも震災前には100年に一度の経済不況と呼ばれていた混乱があって、そこで必要とされていた量的緩和や公共事業が進められているに過ぎない。むしろ構造的に何も変化しているわけではなくて、人口減少やエネルギー等の資源制約、民間消費の低迷といった条件は震災前よりもさらに進んでいるように思える。 企業というものの存在理由が「未来を創り出すため」にあるのならば、これまでの延長線上で考えていくのは筋が悪い。実際に安倍内閣を支持しているのは、重厚長大型大企業を中心とした経済団体であり、官僚型組織の代弁者として自民党という存在がずっと政権を担ってきた歴史がある以上、今回の参院選というのもそのような組織的な利益代弁の意味があったということだ。それらのフォーマットはすべて、人口が増え続けて、経済が発展し続けるという前提の元につくられている。 いまは移行期なのだと思う。たとえば江戸時代でも、1700年から150年くらい停滞期があって、明治維新後に工業化が進んで人口が一気に増えていったという。そこに投入された技術的イノベーションというのは、アンモニアから窒素を供給する化学肥料だったり、石炭を焚くことによる蒸気機関だったり、人間の根源的生活の質を劇的に高めるような発明が西洋からもたらされたためだ。同様に、戦後の高度成長というのも農業の機械化や石炭⇒石油への移行といった生産性の向上が図られたために、1億人を超える人口がこの島国で住めることになった。その延長線上に原子力発電があるのだし、東京への一極集中がある。 移行期的混乱を問題視するのか、楽しむのか。それによってその後の変化に対する主体性が違ってくると思う。願わくば変化を興す側に回ること、それこそが移行期を乗り切るための最高の戦略なのではないだろうか。企業家が少しでも増えてあるべき未来を創造していくことでしか、前進はないのである。

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2013/04/10

・2006年を境に日本の総人口が減り始めた。注目すべきは、これが有史以来、日本が初めて経験する長期的な人口減少だということである。これまで増え続けてきた人口が、ある時点から一転して減り続ける。このことは一体何を意味しているのか。 ・エマニュエル・トッドの説によれば、民主化の進展...

・2006年を境に日本の総人口が減り始めた。注目すべきは、これが有史以来、日本が初めて経験する長期的な人口減少だということである。これまで増え続けてきた人口が、ある時点から一転して減り続ける。このことは一体何を意味しているのか。 ・エマニュエル・トッドの説によれば、民主化の進展と、それに伴う女性の識字率向上と社会的地位向上によって、いかなる国であろうとほぼ例外なく必然的に人口増大にブレーキがかかるという。この仮説が真であるとすると、出生率低下の原因を経済的な理由に求めるのは単なる俗説にすぎないこととなる。したがって、現在行われている少子化対策なるものは、その原因を履き違えているだけに有効な対策となりえていない。 ・そもそも、民主化の進展は歴史的に不可逆な流れである以上、その帰結としての少子化というものに対して、有効な施策を打ち出すことなどできないだろう。したがってまた、少なくとも当面の間は、人口減少に歯止めをかけることもできないだろう。 ・経済は生産と消費の拡大によって成長していくのだから、人口減少社会においては生産の担い手も消費の主体も減っていくわけで、とりわけ十分に経済が成長しきった日本社会においてはさらなる伸びしろはほとんど残っておらず、必然的に経済は縮小していかざるを得ない。「成長の限界」はどうやらあるらしい。 ・「問題なのは、成長戦略がないことではない。成長しなくてもやっていけるための戦略がないことが問題なのだ」(p167) *読んでいて面白いと思ったはずなのに、要約するといささか陳腐になってしまうのはなぜだろう。国内における実体経済の成長がこれ以上難しいというのは、(意識的か無意識的かはともかく)既にかなりの程度共有されている認識だと思うのだが…。 *しかし、日本中がアベノミクスに狂乱している今だからこそ、こういう本を読んで頭を冷やすことが必要なのかもしれない。 *面白いと思ったのはむしろ細部の記述。構造主義を経済分析に当てはめると、こういう見方ができるのかと参考になった。

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2013/02/27

丁寧な論考にうなづくことしきり。 「問題なのは成長戦略がないことではない。成長しなくてもやっていけるための戦略がないことが問題なのだ」 全面的に賛成するわけではないけれど、傾聴に値する考えるヒントのつまった本。 経済成長は七難を隠す。今起きている問題は、なかったのに発生したの...

丁寧な論考にうなづくことしきり。 「問題なのは成長戦略がないことではない。成長しなくてもやっていけるための戦略がないことが問題なのだ」 全面的に賛成するわけではないけれど、傾聴に値する考えるヒントのつまった本。 経済成長は七難を隠す。今起きている問題は、なかったのに発生したのではなく、元々あって隠れていたのが隠しきれなくなっただけ。もう一度経済成長する(再び隠す)のではなく、成長しなくても何とか折り合いをつけてやりくりしていこまいか、という。 他に感心したのは、哲学的抽象的な分析や考察が多いのに、上滑りになっていないこと。国民経済や歴史的な変化の話しと、顔が思い浮かぶ生きている爺さん、父さん私、息子、孫の話しが途切れず辿れること。 他人事でなく自分事として、不平不満ではなく提案や貢献として、国民経済を考えよう。そういう本。

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