こんこんさま の商品レビュー
家族の気持ちがバラバラになってしまった三河家。 まだ9歳のさちは家族の目につかないように身を隠すことを覚え、お母さんに当たられても無表情で姿を消し1人で声を殺して泣いていた。 自分の部屋のないさちが、どこで寝ているのかを誰も知らないという状況だった。 そんな三河家を再生させるに...
家族の気持ちがバラバラになってしまった三河家。 まだ9歳のさちは家族の目につかないように身を隠すことを覚え、お母さんに当たられても無表情で姿を消し1人で声を殺して泣いていた。 自分の部屋のないさちが、どこで寝ているのかを誰も知らないという状況だった。 そんな三河家を再生させるには何が必要だったのか? 物語の中ではいろんなことが起きるけど、全てを動かしたのはお正月の朝だった。 さちが着物を着たその瞬間、お母さんはまっさらな気持ちでさちを見たんだと思う。 さちを疎ましく思っていた理由を抜きにして1人の娘として。もしかしたら初めて。 親子に限らないけれど、この子はこういう子だという印象はなかなか消えないものだと思う。 一度「こういう人」とインプットしてしまうとその前提から全ての解釈がスタートする。 だから同じ言葉でも言った人によって受け取る側の印象は全く変わってしまう。 誰かとの関係を改善したいと思うなら、それまで構築してきた人物像を全て消去して白紙の状態で相手を見るしかない。きっと。 それは簡単なことではないし、何も変わらないかもしれないけれど、自分の目を変えなければそこに映る相手の姿は永遠に変わらないのではないか。 さちが家族の前で笑えるようになったことが嬉しい。 三河家が本当に小さなきっかけから再生したように、形だけの笑顔を作らなきゃいけない日々はいつの間にか終わっているのかもしれない。 ある日唐突に心から笑っている自分に気付く。 そんな瞬間が訪れますように。
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「きみはいい子」と同じ著者とは思えないほどの駄作。 確かにテイストは似ている気もするが、あの緻密な感情描写はどこにもない。とにかく登場人物のキャラがぶれまくりで、当初は人間性のかけらも感じることができない人たちが、いきなりものすごく良い人になってしまう。 石おばさんのおどろおどろ...
「きみはいい子」と同じ著者とは思えないほどの駄作。 確かにテイストは似ている気もするが、あの緻密な感情描写はどこにもない。とにかく登場人物のキャラがぶれまくりで、当初は人間性のかけらも感じることができない人たちが、いきなりものすごく良い人になってしまう。 石おばさんのおどろおどろしいキャラ造形の意味もまったく不明。 描きたかったことはわからんでもないが、技術の伴っていない見事な失敗作でしょう。
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1997年に発表した『稲荷の家』を大幅加筆、改題して刊行された文庫本。壊れた家族の再生の物語。ほんのり心が温かくなる。雰囲気が魔術的で不思議な読後感があった。著者の近著『きみはいい子』は静岡書店大賞・小説部門を受賞。本屋大賞にもノミネートされている。
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不思議でありながらリアルな家族再生の物語。 壊れかけている家族が、少しずつ変わっていくために必要なのは外からの力だったりする。 母親からの愛情かけらも受けず、放置され存在さえ認めてもらえなかった次女の悲しい夜を思い胸が痛んだ。 おしいれで眠るのはドラえもんだけでいい。 けど...
不思議でありながらリアルな家族再生の物語。 壊れかけている家族が、少しずつ変わっていくために必要なのは外からの力だったりする。 母親からの愛情かけらも受けず、放置され存在さえ認めてもらえなかった次女の悲しい夜を思い胸が痛んだ。 おしいれで眠るのはドラえもんだけでいい。 けど、その次女のさちこそが、家族の要であり、いわゆるかすがいであったりする。 一番小さく、一番無力で、一番無垢なものが、一番力を持っている、ということなのだろう。 この家族の、小さな幸せを心から祈らずにはいられない。
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