入門 人間の安全保障 の商品レビュー
ちょうどコロナの時期に読んでました。人間の安全保障って大事ですね!経済的困難の人に向ける支援ももちろん大事ですが、コロナが終息した後もし、また三密を避けなければいけない時がきたら、今はそれに向けて何かできないでしょうか。ネット販売、出前、ネット授業など、良い啓示になりそうですね!
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長 有紀枝(1963年~)氏は、早大大学院政治学研究科修士課程修了の政治学者、立教大学教授。 「人間の安全保障」とは、国家の安全に焦点を当てる従来の安全保障とは異なり、人間個人を対象に、軍事的脅威なみならず、環境破壊、人権侵害、難民、貧困などの生存、生活、尊厳を脅かすあらゆる種...
長 有紀枝(1963年~)氏は、早大大学院政治学研究科修士課程修了の政治学者、立教大学教授。 「人間の安全保障」とは、国家の安全に焦点を当てる従来の安全保障とは異なり、人間個人を対象に、軍事的脅威なみならず、環境破壊、人権侵害、難民、貧困などの生存、生活、尊厳を脅かすあらゆる種類の脅威を包括的に捉えた概念である。インドの経済学者でアジア初のノーベル経済学賞を受賞したアマルティア・センが唱えたケイパビリティ(潜在能力)論を下敷きに、国連開発計画が1994年の「人間開発報告書」の中で提唱し、その後国連などで頻繁に使用されるようになった、比較的新しい考え方である。 冒頭で著者は次のように述べている。「東日本大震災を経験した日本人としてだけではなく、二十一世紀に入ってもなお、武力紛争、言語を絶する人権侵害、虐殺が繰り返され、貧困問題や飢饉も国際社会の一員として、私たちは、どのように生きていくべきか、そのために何を知るべきか、そんなことを「人間の安全保障」という概念を手がかりにみなさんと考えていきたいと思います。」 そして、序章/私たちが生きている世界1章/国際社会とは何か~成り立ちと現況、2章/紛争違法化の歴史と国際人道法、3章/「人間の安全保障」概念の形成と発展、4章/「人間の安全保障」の担い手、5章/「恐怖からの自由」と「欠乏からの自由」、6章/「人間の安全保障」領域に対する取り組み、7章/保護する責任、8章/東日本大震災と「人間の安全保障」、終章/「人間の安全保障」実現のために、と、入門書に相応しく「人間の安全保障」について包括的に解説している。 本書の中で、第二次世界大戦時にナチスによるジェノサイドに対する救援と救出の訴えを看過した経験を持つ、赤十字国際委員会の元副委員長ジャン・ピクテが、戦後、「人道の敵」として「利己心」「無関心」「認識不足」「想像力の欠如」の4点を挙げ、「無関心は長期的には弾丸と同様に確実に人を殺す」と言ったことが言及されているが、我々は、今のこの瞬間にも、世界の各地に「人間の安全保障」を脅かされている人びとがいることに無関心であってはならないのだ。 世界の国々が、(コロナ禍の以前から)自国第一主義を掲げて内向きになっている今こそ、読んでおくべき一冊と思う。 (2013年8月了)
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人間の安全保障が生まれた背景から取り巻く環境、定義、実現に向けての取り組みなど、とても分かりやすくまとめられている。特に印象に残った言葉をふたつ引用する。 『非暴力主義を貫きつつ、人々の完全を守ることを国家の手に委ねるのではなく、人びとが自ら行動を起こす、人々自身が自らの安全を...
人間の安全保障が生まれた背景から取り巻く環境、定義、実現に向けての取り組みなど、とても分かりやすくまとめられている。特に印象に残った言葉をふたつ引用する。 『非暴力主義を貫きつつ、人々の完全を守ることを国家の手に委ねるのではなく、人びとが自ら行動を起こす、人々自身が自らの安全を守る主体となる「人間の安全保障」です』(P253) 『二つの「人間の安全保障」が矛盾する際に、、その矛盾を意識化、顕在化し、それを乗り越えようという営みを導入すること、自分以外の他者に対するまなざしを見直させる概念、平時の構造的暴力に光を当て、社会の周縁で苦しむ人を作らせない試みこそが、人間の安全保障の大きな特徴です』(P259)
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骨太な。タイトルに「入門」と入ってますが、出版された2012年時点での人間の安全保障について、包括的に網羅されている専門書と言ってしまっても構わないような内容量。 「国際社会とは何か」の章では、国連安保理による恣意的な問題の黙殺の可能性や国連総会の限界、国連がそもそも戦勝国の集まりであるため今日的な課題に対処できるものではないと鋭く解説。国連が国際問題を解決するための万能な機関であると思っている人は、恐らくこの章だけで冷や水を浴びせられたような気になるはず。 続く「紛争違法化の歴史と国際人道法」の章では、古代ギリシャまで遡り「正しい戦争」が存在した時代について触れ、年を経て戦争が違法なものになっていった経緯について紹介。また、戦争・紛争に関する各種の法律や「戦闘員とみなされる要件」についても説明。混同されがちな「国際人道法」と「国際人権法」の違いについても端的に述べられている。 第三章ではいよいよ「人間の安全保障」概念の発展について解説。人間の安全保障を考えるにあたって核となる「恐怖からの自由」と「欠乏からの自由」について述べ、どちらを重視するかによって各国の外交政策が変わることを説明。 続く章では「人間の安全保障」の担い手を列挙。国家や軍隊、国際機関とともに筆者のフィールドであるNGOについても丁寧に触れられている。ここでは企業やメディア、果ては消費者や選挙民までが「人間の安全保障」の担い手とされていて、その部分はあまり意識していなかったので新鮮に読むことができた。 後半では、改めて「恐怖からの自由」と「欠乏からの自由」について様々な例を挙げて詳述。「人間の安全保障」領域での各種アクターの取り組みについて触れたあとは、1994年のルワンダ虐殺とそれに続く一連の人道危機による「保護する責任」論の台頭を詳述し、最後には東日本大震災と「人間の安全保障」について述べ、論を閉じている。紛争や自然災害は、社会に潜在していた問題が顕在化する機会でもあり、それらを克服するチャンスと捉えることもできるというのが、著者ならではの前向きな視点と言える。 読み込むにはかなりの時間と理解力が必要とは思うが、読むべき本。星は、同業者への書評だから甘くつけているのだろうと思われるのが嫌なので天邪鬼的に4つにしている。
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なんでだろうか、この人の文章を読むと善が生み出す暗黙悪についての方が気になってしまう。トピック自体が自分に合っていないのだろうか。
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今の世界はどんななんだろうってとこから入って、ウェストファリア条約が今の国際社会の基礎をつくって、普遍的な国際社会として国連の解説。戦争観の変遷で、古代ギリシャに遡る正戦論、キリスト教の権威体系から解放されて以降の無差別戦争観とそれに伴って戦争に訴えること自体の規制(ユス•アド•...
今の世界はどんななんだろうってとこから入って、ウェストファリア条約が今の国際社会の基礎をつくって、普遍的な国際社会として国連の解説。戦争観の変遷で、古代ギリシャに遡る正戦論、キリスト教の権威体系から解放されて以降の無差別戦争観とそれに伴って戦争に訴えること自体の規制(ユス•アド•ベルム)でなく戦争中の具体的な行為の規制(ユス•イン•ベロ)が主な関心の時代、未曾有の惨禍をもたらした第一次大戦で戦争の違法化が試みられるも戦意の表明を回避した侵略は起き、第二次大戦後の国連憲章で武力の行使を慎むべしとされる時代になったって話。それからハーグ条約とジュネーブ条約の概要、人間の安全保障とゆう概念の発展、担い手である国家、軍事組織、NGOなどそれぞれの強点や弱点、向き合わなきゃならない課題とその進捗、「保護する責任」、阻止できなかった人道危機、東日本大震災を通して見えた日本の問題点、これからの人間の安全保障について、わかりやすく解説。
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長有紀枝『入門 人間の安全保障 恐怖と欠乏からの自由』中公新書、読了。概念提唱から約二〇年。本書は地雷禁止条約策定交渉ほか各地の人道支援の最前線にたち続けた著者が、その歴史と現在を解説する包括的入門書。教科書にも便利な一冊だが、著者の実践と知見が随所に落とし込まれ新鮮な一冊。 冒頭で国際社会の成り立ちと現況を紹介、先ず紛争違法化の歴史から、前史となる国際人道法の成立を見、概念形成と実践主体、内実としての「恐怖からの自由」「欠乏からの自由」を取り組みの事例に沿ってみていく。人道介入のジレンマは読み応えがある。 最後は「東日本大震災と『人間の安全保障』」。弱者にしわ寄せされる被害は、人間の安全保障の問題が海の向こうの世界でない事実を可視化させたといえよう。震災関連死の男女比は女性が上位になる。集約的一書ながら「ここからはじめる」スタートとなるなるのではないと思う。
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飢餓、貧困、ジェノサイド、感染症、紛争。構造的問題からもっとも被害を受けるのは貧しい人々、弱い国々。二つの世界大戦後の国連の成り立ちは今の国際社会から大きくズレているのに、それが正される可能性は限りなく低い。子ども兵の脱走して逃げる場所をなくすために誘拐するときに母親を殺させるく...
飢餓、貧困、ジェノサイド、感染症、紛争。構造的問題からもっとも被害を受けるのは貧しい人々、弱い国々。二つの世界大戦後の国連の成り立ちは今の国際社会から大きくズレているのに、それが正される可能性は限りなく低い。子ども兵の脱走して逃げる場所をなくすために誘拐するときに母親を殺させるくだりを読んで戦慄した。最低限度の人間の安全保証が達成されることだけでも課題は限りなく多く大きい。けれど確実に進んではいる。国際社会には国際政府はない。それは夢物語なのかもしれない。今の文明が弱者からの搾取で成り立っていることが怖い
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人間の安全保障とは、人々一人ひとりに焦点をあてて、その安全を最優先するとともに、人々自らが安全と発展を推進することを重視する考え方(緒方貞子) 本格的に人間の安全保障を日本外交に位置づけたのは小渕さん 人間の安全保障は国家のみが安全保障の担い手となる従来の国家の安全保障では、...
人間の安全保障とは、人々一人ひとりに焦点をあてて、その安全を最優先するとともに、人々自らが安全と発展を推進することを重視する考え方(緒方貞子) 本格的に人間の安全保障を日本外交に位置づけたのは小渕さん 人間の安全保障は国家のみが安全保障の担い手となる従来の国家の安全保障では、人々や社会、コミュニティの安全は保障されない、という主張とともに誕生した。
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大きな視点だけではなく、より小さな単位での救済を通じて底上げをしていくこと、声をあげていくこと、国や法律の縛りの少ないNGO等の重要性を改めて痛感。 またWW2の頃と何ら変わらず今でも戦時下で被害に合う人、問題になることは変わらないこともわかる。 現状の戦時下の問題について、...
大きな視点だけではなく、より小さな単位での救済を通じて底上げをしていくこと、声をあげていくこと、国や法律の縛りの少ないNGO等の重要性を改めて痛感。 またWW2の頃と何ら変わらず今でも戦時下で被害に合う人、問題になることは変わらないこともわかる。 現状の戦時下の問題について、データもしっかり非常にまとまっていてよかった。 以下メモ 安保理 平和に対する脅威、平和の破壊又は侵略行為の存在を決定 →常任理事国の認定による「侵略」決定⇒客観的基準は存在せず、「政治的に」決定されるもの 国連憲章の改正 総会構成国の2/3の多数で可決+安全保障理事会のすべての常任理事国を含む国際連合加盟国の2/3によって各自の憲法上の手続に従って批准 国連→United Nations 「国際社会」 (一見すると共通益のため→実は強国の関心の反映でしかない 構成員の共通利益×→支配階層の構成員の特別利益) 人間の安全保障 ⇒人々一人ひとりに焦点を当て、その安全を優先するとともに、人々自らが安全と発展を推進することを重視する考え方 ※UNDP(国連開発計画)が1995年3月の「世界社会開発サミット」に向けて1993〜1994年にかけて打ち出されたもの スタンス 人が自由に選択を行い、それを実行することを妨げる物理的ないし人為的障害(戦争、貧困、政治的抑制等)からの解放や選択の機会の拡大(センのケイパビリティ論⇒与えられた社会関係と個人の特質により個人が達成できる機能の集まり) ⇒基本的自由の擁護と広範かつ深刻な脅威や状況から人を守る 内容 1.欠乏からの自由⇒開発援助型アプローチ 2.恐怖からの自由⇒武力紛争下の人民保護、平和支援活動、紛争予防、ガバナンスと説明責任、公共の安全確保 難民受け入れ国 先進国への難民流入が中心× 世界の難民の75%は出身国と接する周辺国へ⇒世界の難民の80%は開発途上国に 2010年時点で世界三大難民受入国 パキスタン、イラン、シリア(パレスチナ難民) 2010年時点で世界最大の難民流出国 アフガニスタン(総人口の1割)、イラク(約6%) 地雷やクラスター爆弾よりも拳銃や自動小銃は人の命を奪っている「事実上の大量破壊兵器」 小型兵器は子供でも扱える→身軽で敵に怪しまれにくい戦闘力 常任理事国は開発途上国への通常兵器の9割近くを輸出 日本 一部の構成員に犠牲を強いる社会 公害、米軍基地、原発 すでにある格差を利用して、さらなる格差を生むことに?
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