対話 ヘーゲル『大論理学』 の商品レビュー
「知識欲旺盛な学生」と「半可通の教師」という二人の登場人物の対話という形式で、ヘーゲルの『大論理学』の内容を解説している本です。 著者は、『大論理学』の緻密な解釈をおこなっています。『ヘーゲル論理学研究序説』(2002年、梓出版社)は、その研究成果を包括的に提示している本です。...
「知識欲旺盛な学生」と「半可通の教師」という二人の登場人物の対話という形式で、ヘーゲルの『大論理学』の内容を解説している本です。 著者は、『大論理学』の緻密な解釈をおこなっています。『ヘーゲル論理学研究序説』(2002年、梓出版社)は、その研究成果を包括的に提示している本です。『ヘーゲル「大論理学」』(2014年、晃洋書房)および本書は、その内容をコンパクトにまとめたものです。大論理学の主題は、形而上学すなわち存在論であると著者はいい、存在一般の本性そのものがみずからを展開していくことによって、「有」「本質」「概念」というヘーゲル論理学の内容がみちびき出されていくことが解説されています。 「この小著でまんべんなく解説しつくすには多くの困難があるが、簡単ではあっても、大論理学の構成に対応させつつ、各章の内容に必ずふれるようにした」と著者は本書の執筆方針を語っています。『大論理学』の全体を概観することができるという意味では有益でしたが、本書は入門書でありヘーゲル哲学になじみのない読者を対象とするのであれば、とりあげる内容を絞り込んで、ヘーゲル論理学の根幹的な発想をわかりやすく説明してほしかったようにも思います。
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