談志が死んだ の商品レビュー
天才に仕えるのは難しい。まして、その天才が老人性うつ病を患って、感情の起伏が常ならず。 師匠への愛憎半ばする想いの深さが胸を打つ。 談志のエピソード、弟子のしくじり、いずれも面白く、そこに救いを感じた。
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談志が亡くなって、師匠に対するアンビバレンツな愛情がすごい。もう本人がいないので何書いてもいいや的な暴露的な部分もかなりあるが、立川談四楼の人柄なのか、隠さずに書くという姿勢がキチンとしているからか嫌味なく読める。 談志は老人性鬱のきらいがありなかば精神錯乱状態にあった。天才肌...
談志が亡くなって、師匠に対するアンビバレンツな愛情がすごい。もう本人がいないので何書いてもいいや的な暴露的な部分もかなりあるが、立川談四楼の人柄なのか、隠さずに書くという姿勢がキチンとしているからか嫌味なく読める。 談志は老人性鬱のきらいがありなかば精神錯乱状態にあった。天才肌の人が加齢により能力が落ちていくことに対応できないときに起きやすとか。 談春の「赤めだか」を談志楼が書評で取り上げて褒めたことで、談志はウソばかり書いているのにと怒り心頭で破門にするといい出したところが一番スゴイ。理由は「赤めだか」でレステランで爪楊枝を盗んだと書いてることがウソだというのだが、ホテルの備品などいろんなものを盗っていく。飛行機のトレイの化粧品が盗まれないように大きくなると空の小瓶をもっていき詰め換えて盗む。ケチとは聞いていたがここまでとは思わなかった。 集合をかけているのに集まらないと罰金。自分の著書を読んでない弟子がいると、全員そうだと全著作を送りつけてくる。7万円の請求書と一緒に。在庫整理が目的だ。賞味期限をずいぶん過ぎた食べ物でも捨てずに食べさせる。そのことで腹痛を起こす弟子多数。こうなるとちょっとしたヤクザの親分みたいだ。 一方で師匠の高座に慄然とするところも何度も描写される。 いろんなシーンの会話が録音したかのように細かく描写され、安定した面白さだ。客観的な視点というのがキチンと備わっているのだろう。
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晩年の談志。驚きでした。そうだったんだ~。家元制度ってそういうことだったのかしら?なんていろいろ考えておりました笑
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エッセイでもなくノンフィクションでもない、適当と言えば私小説なのだろう。 それも噺家だけでなく小説家としての才も持ちあわせた、本文から借りればピカソになる前の写実主義バリバリの談志に惚れ込み師事した談四楼ならではの冷静な視線が一層のリアリティーを生み出し数ある談志本の中でも異色の...
エッセイでもなくノンフィクションでもない、適当と言えば私小説なのだろう。 それも噺家だけでなく小説家としての才も持ちあわせた、本文から借りればピカソになる前の写実主義バリバリの談志に惚れ込み師事した談四楼ならではの冷静な視線が一層のリアリティーを生み出し数ある談志本の中でも異色の仕上がりとなった。 そしてこの本の一番の読みどころと言えばやはり天才落語家の老いの隙間に降りて来た鬼とその鬼が取り巻きの弟子に打ち下ろす金棒の非情の一撃に尽きる。 巨星が堕ち行くとき「よそう、また夢になるといけねえ!」のオチが意味深な欠片となり宙に舞った…お後はどうだったんだかねぇ (敬称略)
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私は「立川談志」をよく知らない。テレビでも見たことがないし、生の落語も聞いたことがなかったので。 読み進めても、まだわからなかったので、読んでいる途中、動画サイトで、談志の「饅頭こわい」を見ました。 ずしんと心に残る噺でした。 日常生活で誰かが「~こわい」というと「あーほんとは...
私は「立川談志」をよく知らない。テレビでも見たことがないし、生の落語も聞いたことがなかったので。 読み進めても、まだわからなかったので、読んでいる途中、動画サイトで、談志の「饅頭こわい」を見ました。 ずしんと心に残る噺でした。 日常生活で誰かが「~こわい」というと「あーほんとは~好きなんだー」ってなってしまう。そんな日が続くくらい印象に残る噺でした。 やはりすごい人なのかもしれない。 この本は、談志と弟子、弟子同士のエピソードが悲しい話も、え?ということも、面白いことになって綴られていました。 面白い話だけではなく、もちろん感動するエピソードも。 落語の何々に例えてこういう行動した。などのエピソードだったりすると「粋」という言葉が出てきます。 もっと立川談志を、落語を、知りたくなりました。
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結構な量の「談志が死んだ」書籍を読んできたつもりだが、この本の白眉は「談志の老醜」である。本人の文章から、もしくは周りの直弟子たちの文章からは「芸人論」としての談志はあった。家族から見た「朽ち行くパパ」もあった。 ただ、この本に書いてあるのは「観察された、老い、狂っていくか...
結構な量の「談志が死んだ」書籍を読んできたつもりだが、この本の白眉は「談志の老醜」である。本人の文章から、もしくは周りの直弟子たちの文章からは「芸人論」としての談志はあった。家族から見た「朽ち行くパパ」もあった。 ただ、この本に書いてあるのは「観察された、老い、狂っていくかつての英雄」の姿である。『赤めだか』書評が家元の逆鱗に触れたくだりといい、家元が常々言っていたように「狂ってった」ンだけれども、なんだかんだでこういう狂い方は家元本人も望んじゃいなかったんだろう。で、そういうところを、書いた。 小説家として、文筆家の仕事として、書いた。 そういう本。
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談志の弟子による談志晩年のエピソードの数々。 ここにある談志は決して人格者ではない。どころか、人格破綻者のような面も多々ある。それでもこんなにも魅力的にうつるのは、著者も私も談志にぞっこんだからだろうか
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立川談四楼が語る立川談志のというより立川流の話で落語を知らなくとも面白く読める。 談志の全盛の頃はあんまり知らなくて、MXテレビでやっていた野末陳平とやっていた番組はよく見ていました。 これからの立川流も気になりますが、この本は立川流のアーカイブとして読んでおくべきでしょう。
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談志死亡時の動きやその後「落語立川流」継続の話が縦糸なのだが、立川流を辞め早世したほぼ同期の小談志への思い、周囲での経験も踏まえて晩年の談志を左右した病老死、或いはその芸人にとっての関わり、といったものが横糸になっていると感じた。良い本。
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分類上は私小説ということのようだ。 だが次から次へと実在の人物名や実際の事の顛末が語られ、はたして脚色部分はあるのだろうかと疑いたくなるほど。 実をいうと、全く落語には疎い私。 いつだったか、どこかで本書の書評を読み、談志師匠が亡くなり世間が大騒ぎになったこともあって、頭のどこ...
分類上は私小説ということのようだ。 だが次から次へと実在の人物名や実際の事の顛末が語られ、はたして脚色部分はあるのだろうかと疑いたくなるほど。 実をいうと、全く落語には疎い私。 いつだったか、どこかで本書の書評を読み、談志師匠が亡くなり世間が大騒ぎになったこともあって、頭のどこかに残っていたのだろう。図書館で目につき、借りてみた。 とても残念だったのは、自分がまるっきり落語界を知らないということ。 ごくごく一部の著名な人物がちょっとわかるくらいで、誰それといったら何々という落語とか、一門がどうのとか、誰と誰が師弟関係とか、仲が悪いとか、以前ひと悶着あったとか、何一つ知らない。 そのあたり多少なりとも知識があったら、おそらくとてつもなく面白い本だったのではないか。 著者の語り口は、まるで落語を聞いているような錯覚に陥るほどテンポがよく、濃密で、師匠と弟子の関係は、血のつながりをも超えた親子に見えた。
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