うつぶし の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
最初、読解力の弱い私にはうつぶしから伝わるものが何か分からなかった。でもなんとなく、『おおかみこどもの雨と雪』を思い出したかなぁ。人間の父親に、鶏(正確には同じじゃないけど)と一緒に育てられたことによって、どっちの要素も持っていて、ちゃんと人間でもあるし人間の社会で生きていくのに絶対的に存在する鶏として育まれた感性。『おおかみこどもの雨と雪』ではどちらか選択することになったけど、この主人公はどちらも受け入れてどちらも諦めた感じがした。過去の失態が忘却されて人間社会に馴染める、なんてこともなく。鶏の意思が汲み取れることで鶏とだけ生きていける、なんてこともなく。ただそれに諦観することもなく、粛々と、生存本能を優先させた。特殊な話だったなぁって感想。 もうひとつのお話は比較的飲み込みやすかった。し、やっぱり幻獣はこういう何処か神秘的な存在であるのが1番様になるよなぁ。と個人的に思って読んでた。 全部だめ、だめ、あーだめだ。ってなった後に気づけるものあるんだなぁとも思えた話。
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衝撃の書き出し。 話の流れ方が次々にページを捲らせる。 終わり方が物足りない。 『海とも夜とも違う青』も読みやすい。 しかし事実が分かっていくうちに、衝撃。 詩朗が良い!
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太宰治賞受賞作品。 その名にふさわしく、暗い話。 暴力性というか…自己嫌悪というか… 自分が無意識のうちに与える他者への悪影響というか。 そういうのわからないでもない。 けど、知りたくないような。わかりたくないような。 個人的には「夜とも海とも違う青」の話の方が好き。
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表題作の「うつぶし」は筆力というか筆圧を感じさせられるいい作品だった。この力を持つ作者の他の作品を早く読みたい! という気持ちにさせる作品。ローテンションな語り口から、突如あらわれる「ひな」の特性がよく活きていたと思う。終盤までこの密度で駆けていって欲しかった。 「海とも夜とも違...
表題作の「うつぶし」は筆力というか筆圧を感じさせられるいい作品だった。この力を持つ作者の他の作品を早く読みたい! という気持ちにさせる作品。ローテンションな語り口から、突如あらわれる「ひな」の特性がよく活きていたと思う。終盤までこの密度で駆けていって欲しかった。 「海とも夜とも違う青」は、その分悪い意味で期待を裏切られた。あれこれやろうとして全部中途半端になっているのではないかとさえ少し思ってしまった。
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