言語が違えば、世界も違って見えるわけ の商品レビュー
言語学を歴史からひもといた本。言語が世の中を規定していると考えると、色の捉え方、意味も変わってくる。言語の上では存在しない色も出てくる。まだ理解しきれてないが、この辺は脳科学とも絡むのだろうか。 西ヨーロッパの主要言語の文法は学んだ身としては、一歩深みに入ることができた出会えて...
言語学を歴史からひもといた本。言語が世の中を規定していると考えると、色の捉え方、意味も変わってくる。言語の上では存在しない色も出てくる。まだ理解しきれてないが、この辺は脳科学とも絡むのだろうか。 西ヨーロッパの主要言語の文法は学んだ身としては、一歩深みに入ることができた出会えてよかった本でした。フランス語を1から学び直したくなった。苦笑
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カテゴリ:図書館企画展示 2021年度第1回図書館企画展示 「大学生に読んでほしい本」 第1弾! 本学教員から本学学生の皆さんに「ぜひ学生時代に読んでほしい!」という図書の推薦に係る展示です。 小柳智一教授(日本語日本文学科)からのおすすめ図書を展示しています。 展示中の...
カテゴリ:図書館企画展示 2021年度第1回図書館企画展示 「大学生に読んでほしい本」 第1弾! 本学教員から本学学生の皆さんに「ぜひ学生時代に読んでほしい!」という図書の推薦に係る展示です。 小柳智一教授(日本語日本文学科)からのおすすめ図書を展示しています。 展示中の図書は借りることができますので、どうぞお早めにご来館ください。
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外国の人と話すとき、考え方や物事の捉え方が自分と大きく異なると思ったことはないでしょうか。生まれ育った環境が違えば文化も言語も異なります。本書では「言語が異なれば、見ている空の色も変わるのか?」など、様々な興味深いテーマで言語の奥深さを実感させてくれます。「認知や思考は言語に基づ...
外国の人と話すとき、考え方や物事の捉え方が自分と大きく異なると思ったことはないでしょうか。生まれ育った環境が違えば文化も言語も異なります。本書では「言語が異なれば、見ている空の色も変わるのか?」など、様々な興味深いテーマで言語の奥深さを実感させてくれます。「認知や思考は言語に基づいている」という考えを言語学では「言語相対論(言語決定論)」と言い、様々な研究がなされてきましたが、その論への考察に大きく貢献する一冊です。
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かなり面白く読める内容。言語決定論を肯定する本としても希少な気がする。 時代が時代なら、梵書の対象になったり、パリ言語学会の不受理対象の論文になっていたかもしれない、苦笑。 言語そのものが文化に、文化が言語に影響しあうのでは?という仮説を、語彙論と意味論、語源学を引合いにだして明らかにしようする。 前半半分と締めに色の話。 色をどう感じ取っていて、その認知に言語が与える影響を客観的に測る。まさに世界が虚構ではないことを証明できないパラドックスのアレ!とはいえ、ちょっとは分かってきているよ、という救い。 言語決定「学・論」は、まだ言い過ぎなのは納得できた。言語決定仮設だね。良書でした。
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文化人類学を大学で学んだ私にとってバイブルと呼べる一冊。文明が高次か低次か比べることは出来るが、文化というものに次元、優劣をつけることは出来ないという基本的な考えをもてた。また、生まれが関西、育ちは東京と同じ国内において大きな文化の違いに驚き疑問を持った自分自身に対する答えとなる...
文化人類学を大学で学んだ私にとってバイブルと呼べる一冊。文明が高次か低次か比べることは出来るが、文化というものに次元、優劣をつけることは出来ないという基本的な考えをもてた。また、生まれが関西、育ちは東京と同じ国内において大きな文化の違いに驚き疑問を持った自分自身に対する答えとなる内容であった。
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閉じた扉の向こうで行われている、闇を手探りし続けるのは報われない作業であり、理解の光が差すまで休んでいようという誘惑に抗するのは難しいからだ。したし。もし私たちがこの誘惑に負けたら、あなた方の世界は永遠に来ないだろう。
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色―色づけられていた対象物から切り離れた中小としての色―が人間にとって問題になるのは、人工の絵の具や染料を目にするようになってからのことである。つまり、色を特定の素材から独立した特性として理解する能力は、色を人工的に操作する能力とあいまってはじめて発達してきたのかもしれない。そして、色を人工的に操作する能力は、ホメロスの時代にはほとんど存在しなかった。染色技術は誕生したばかりで、花の栽培は行われておらず、私たちがあって当然と思っている鮮やかな色とりどりの対象物は、ほとんど存在しないに等しかった。(pp.53-4) 同一言語の異なる変種が接触することからも、単純化への圧力は生じうる。語構造がわずかに違うだけで、理解は困難になりうるからである。したがって、さまざまな地方方言や話し方の変種が入り混じって頻繁にコミュニケーションが行われる大規模社会では、語形の単純化に向けての圧力が高まる可能性がある一方、均質な小規模社会では他の変種の話し手との接触が極めて少なく、単純化への圧力も低い傾向がある。(p.147)
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(15-38) 題名から予想した内容とはちょっと違っていたが、言語学の歴史が色を切り口にして熱く語られ、ふ~ん、へぇ~と大変面白く読んだ。色以外にも時間や方角・方向など私が普通に言葉として思い浮かべるものとは違うことを材料にして、言語による受け取り方の違いが研究されているとは知ら...
(15-38) 題名から予想した内容とはちょっと違っていたが、言語学の歴史が色を切り口にして熱く語られ、ふ~ん、へぇ~と大変面白く読んだ。色以外にも時間や方角・方向など私が普通に言葉として思い浮かべるものとは違うことを材料にして、言語による受け取り方の違いが研究されているとは知らなかった。 全部理解できたわけではないがどんどん読めたのは、語り口が軽妙でユーモアに富んでいて、人間ドラマとしても読ませる話が散りばめてあったから。読んで良かった!
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言語とは何なのか、についていろいろな視点を与えてくれる一冊。自然や現象のとらえ方・見え方が違うから言語表現が異なるのか?それともそういう言語を使っているからとらえ方・見え方が違うのか? 視覚をはじめ、他の人がどのようにとらえているのか正確に計測するが困難な認知的な部分について、で...
言語とは何なのか、についていろいろな視点を与えてくれる一冊。自然や現象のとらえ方・見え方が違うから言語表現が異なるのか?それともそういう言語を使っているからとらえ方・見え方が違うのか? 視覚をはじめ、他の人がどのようにとらえているのか正確に計測するが困難な認知的な部分について、できるだけ客観的に計測しようとする試みが面白かったです。これからどんどん研究が進んで行きそうなので楽しみです。
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母語が知覚や思考・文化に影響を与えうるかを考察する、知的好奇心をそそる一冊。 しかしまた、民族に対する偏見や差別を助長しかねない誤解を生みやすいテーマのためか、著者は言語研究が進展する歴史を丁寧にたどっています。 まず、イギリスの首相で有名なグラッドストンのホメロス研究が紹介されます。とくに古代ギリシアの古典の色彩についての語彙の少なさ、ぶどう酒色の海・ぶどう酒色の牛などの奇妙な色彩表現(海と牛が同じ色に見えたことありますか?(笑))から、グラッドストンは大胆な仮説を立てます。古代ギリシア人は世界をほとんど白黒のモノクロームに知覚していたというものです。 また、人は母語の在り方のまま世界を観ているし、思考様式も母語に従って決定づけられているというサピア・ウォーフの言語相対論が検証されます(新約聖書が世界に広まったように、当然、母語に存在しない事柄でも人は理解可能なのですが…)。 そして、過去の言語学から学んだ上で、科学的なプロセスを踏んだ新しい言語学が紹介されます。とくに前後左右の語彙をもたないグーグ・イミディル語を話す民族の方位感覚は面白かった。方角を表すのに、東西南北をつかうのですが、なじみのない場所においても方位についてかなり知覚的に鋭敏になるそうです。そして、日常的に前後左右で方位を知覚する我々とは、世界の知覚の仕方が異なることが実験により検証されます。鏡の前で右手を挙げると鏡のなかの自分は左手を挙げますが、グーグ・イミディル語を母語とする人の場合だと、「同じ側(たとえば東側)の手が挙がってるじゃないか!」ってなるんでしょうねえ…。 心理学・脳科学を利用しながら、母語の影響を研究する言語学はまだ黎明期みたい。より堅実な言語学の進展が楽しみになりました。
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