沈黙のひと の商品レビュー
購入済み。 2021.12.25.読了。 15年前くらいに小池真理子氏の作品に出会い、その夫、藤田宜永氏の作品に出会い、大人の恋愛を描いた多くの物語を貪るように読破したものだ。 久しぶりの小池真理子さん。 晩年パーキンソン病を患い、2009年に亡くなったお父上との関わりを綴った作...
購入済み。 2021.12.25.読了。 15年前くらいに小池真理子氏の作品に出会い、その夫、藤田宜永氏の作品に出会い、大人の恋愛を描いた多くの物語を貪るように読破したものだ。 久しぶりの小池真理子さん。 晩年パーキンソン病を患い、2009年に亡くなったお父上との関わりを綴った作品。 とても良かった。引き込まれてあっという間に読了した。 また小池さんの作品を読みたいと思った。
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小池真理子さんのお父様との関係を基にした本のようですが、どの辺りまでがそうなのかは分かりません。でもそんな事関係ない位に良い本でありました。 母娘を捨て他の女性へ走った父。それでも自分への愛情は変わらず持ち続け、事ある毎に関わりを絶つことはありませんでした。が、娘はそれを冷静な目...
小池真理子さんのお父様との関係を基にした本のようですが、どの辺りまでがそうなのかは分かりません。でもそんな事関係ない位に良い本でありました。 母娘を捨て他の女性へ走った父。それでも自分への愛情は変わらず持ち続け、事ある毎に関わりを絶つことはありませんでした。が、娘はそれを冷静な目で見て、愛情という感情をついぞ持つ事は有りませんでした。 そしてパーキンソン病でまともに動けなくなった父を目の当たりにした時に、初めて愛情と言えるようなものが湧きあがり、父の死を迎え入れたことから彼の人として、男としての命の息吹を感じる事になるという本です。 親の生々しい姿というのは見たくないものですが、自分の年齢が親が親になった後の年齢を自動的に追い越していくに従って、親も人間であり一組の男女であったということが、深く胸に落ちて行きます。僕はその入口に立ったばかりですが、次第にそう思えるようになってきました。 とても重い味わいの本ですが、生きていく事の重さが少し軽くなる本でもあります。
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こちらの言うことは理解してくれている。でも、父の考えていることはわかるようでわからない。父自身も伝えたいのに伝えられないもどかしさがある。うーん、どうにかしてあげたい。 遺品や日記から、父の考えていたことが少し見えてくるなんていいな。後になってからでも、父の周りのことを知ることが...
こちらの言うことは理解してくれている。でも、父の考えていることはわかるようでわからない。父自身も伝えたいのに伝えられないもどかしさがある。うーん、どうにかしてあげたい。 遺品や日記から、父の考えていたことが少し見えてくるなんていいな。後になってからでも、父の周りのことを知ることができて。 素敵な父娘関係。
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雑誌編集者の衿子の実父がパーキンソン病にかかり、話せず、歩けず、書けずの状態になった。衿子は実父がホームに入居してから父に向き合いだした。それまでは自分たちを捨てていった父との関係を無視していた。病気の父は話ができず、文字表でたどたどしく会話を続けていたが、とうとうそれもできなく...
雑誌編集者の衿子の実父がパーキンソン病にかかり、話せず、歩けず、書けずの状態になった。衿子は実父がホームに入居してから父に向き合いだした。それまでは自分たちを捨てていった父との関係を無視していた。病気の父は話ができず、文字表でたどたどしく会話を続けていたが、とうとうそれもできなくなってしまった。そして父が死んだ後の遺品整理で手紙のファイルと古いワープロを家に持って帰り、自分の知らなかった父を少しずつ見出す。作者の実父をモデルにしたという。作中の短歌は尊父の作だという。自分も年を取ると老いに眼が行くし、子どもの目から見た親というものにも興味がでるものだ。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
*パーキンソン病を患い、沈黙のうちに亡くなった父。遺された文書と手紙には、絶望に直面してもなお、家族や恋人への愛、短歌への情熱と共に生きたその揺るぎない足跡が刻まれていた―。圧倒的な人間讃歌。生きるとは?死ぬとは?家族とは?著者渾身の感動作* 老いるということ。老いていく親を看取るということ。深く、静謐な世界を見せてもらった。
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自分にとって新境地。 もう少し年を重ねると分かるものもあるのかなぁ。でも、今だから分かるものもあったなぁ。 ちょっとくらい気持ちになった。
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この物語は、 主人公の父、85歳の三國泰造が2009年3月に 入所していた「さくらホーム」という施設で亡くなるところから始まる。 主人公三國衿子は、 異母姉妹の可奈子と千佳とともに 父の死後、遺品片付けなどを始めたのだ。 泰造はパーキンソン病を患っていて、 話すこともままなら...
この物語は、 主人公の父、85歳の三國泰造が2009年3月に 入所していた「さくらホーム」という施設で亡くなるところから始まる。 主人公三國衿子は、 異母姉妹の可奈子と千佳とともに 父の死後、遺品片付けなどを始めたのだ。 泰造はパーキンソン病を患っていて、 話すこともままならず、文字表を使っての会話も 指が震えてうまくできないようになってから、 自分の意志を伝えられないまま、 沈黙のうちに亡くなっていた。 泰造は、衿子の実母久子とは離婚し、 華代という女性と再婚していたが、 衿子だけはかわいくて仕方なかったようで、 衿子が小学生の頃には 月に1回か2回は衿子に会いに来てくれたことなど、 遺品の片付けをしながら、 思い出されるのは、父との思い出だった。 病気に侵されながらも 娘やかつての恋人への愛、趣味の短歌への情熱など 沈黙のうちに亡くなった父だが その生きざまはしっかりと根付いていた。 距離を置きながらも 最期まで娘を気遣う父親の姿がなんだかまぶしかった。 85歳といえば、私の父もそれぐらいだ。 昭和一桁生まれの男性の生き様は 寡黙で筋が一本通ったような しゃきっとしたものなのだろうか。 私の父はまだ健在だが、願わくば、 病気にはならず、苦しまず、天寿を全うしてほしいものだ。
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私は父をずいぶん昔子供の頃に亡くしたので、思い出がほとんどない。 人は死後人の記憶の中に生きることで生きていた意味があり、死が成立する。もう思い出したくても記憶のない私の父親の死は、私との親子間では成立していないような気がする。 思い出して泣けるほどの共に生きた時間がもう少し欲し...
私は父をずいぶん昔子供の頃に亡くしたので、思い出がほとんどない。 人は死後人の記憶の中に生きることで生きていた意味があり、死が成立する。もう思い出したくても記憶のない私の父親の死は、私との親子間では成立していないような気がする。 思い出して泣けるほどの共に生きた時間がもう少し欲しかった。
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離婚して離れて暮らす父親がパーキンソン病になり、施設に入った。父親には別の家族があるが全くうまくいってなく、きちんと話せなくなっただけに孤独感、疎外感のなかで生きている。 その父親から一番愛され信頼されている主人公。 父親の死後、残った記録にある生前のさまざまな思い。 人間模様が...
離婚して離れて暮らす父親がパーキンソン病になり、施設に入った。父親には別の家族があるが全くうまくいってなく、きちんと話せなくなっただけに孤独感、疎外感のなかで生きている。 その父親から一番愛され信頼されている主人公。 父親の死後、残った記録にある生前のさまざまな思い。 人間模様がリアルに想像できる。
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幼い頃、自分と母を捨て再婚した父 パーキンソン病を患い亡くなってから、父との時間を埋めるかのように、衿子さんはビデオやワープロなどで父を探しつづける 後書きから「本書を亡き父に捧げる」とあり納得しました フィクションなんだかノンフィクションなんだか分かりずらく、会話も何故か妙に...
幼い頃、自分と母を捨て再婚した父 パーキンソン病を患い亡くなってから、父との時間を埋めるかのように、衿子さんはビデオやワープロなどで父を探しつづける 後書きから「本書を亡き父に捧げる」とあり納得しました フィクションなんだかノンフィクションなんだか分かりずらく、会話も何故か妙にカッコつけていて気取っている印象を受けました 小説の中で主人公と自分をオーバーラップしているだとおもいます あまり心を動かされることのない大作でした
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