外科医、正露丸を斬る の商品レビュー
本の主題から少し離れたところでの感想を書いてしまうが、現代医療が問題含みでも、麻酔のない時代に外科手術をされるよりはましというのは、私も思うことではある。抗生物質がない時代だったら、自分の免疫力だけで勝てたかどうかと思う状況を経験している人は沢山いるだろう。それでも、いずれ、この...
本の主題から少し離れたところでの感想を書いてしまうが、現代医療が問題含みでも、麻酔のない時代に外科手術をされるよりはましというのは、私も思うことではある。抗生物質がない時代だったら、自分の免疫力だけで勝てたかどうかと思う状況を経験している人は沢山いるだろう。それでも、いずれ、この先の時代の人々に呆れられる時代に我々もまたいるだけなのではないだろうかと思ってしまう。印象深いのは、亡くなった人の思いが残って、後から入った患者さんが金縛りにあうくだりだった。将門だけでなく、死者は大事に弔わなければいけないと思った。本のどこを読んでいるんだよ的感想でごめんなさい。。
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民間療法的な薬と言ってよいのかわからないが薬としての絶対的な信用感は持っていなかった。持っていないがなんとなく効く要素はあるものだなレベルであったが、その薬の会社の関係者が外科医という職に就いていたことに対しびっくりした。そしてその外科医というたぐいまれな職種を蹴ってまで実家の...
民間療法的な薬と言ってよいのかわからないが薬としての絶対的な信用感は持っていなかった。持っていないがなんとなく効く要素はあるものだなレベルであったが、その薬の会社の関係者が外科医という職に就いていたことに対しびっくりした。そしてその外科医というたぐいまれな職種を蹴ってまで実家の稼業大幸薬品に入ったという事にまたびっくり。 一民間薬がいろいろな過程を経て立派な製薬として成り立っていく過程を医療従事者から見た冷静な判断で分析している。もっと言えば外科医としての職を捨てないでもっと患者のために頑張ってもらいたかったとまで考えさせるほど人を見ている著者だと感じる。
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元外科医の著者が、家業の製薬会社の経営者になる話。医療現場の実態など、人の生き死にをたくさん経験した外科医時代。メスを置いて経営者の立場から、医療や家業を見つめる現在。双方でたどり着いた考え方を、エピソードを交えて語られる。著者の生き方にプロフェッショナルを感じる本。
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印象的なタイトルを見た瞬間、手術室で正露丸にメスを入れている医師の姿が思い浮かび、手が伸びました。 もちろんそんな話ではありません。 医学的立場から見た正露丸不要論かと思いましたが、それもまた違いました。 著者は大幸薬品の四代目社長。 あのラッパのマークの正露丸の会社です。 ...
印象的なタイトルを見た瞬間、手術室で正露丸にメスを入れている医師の姿が思い浮かび、手が伸びました。 もちろんそんな話ではありません。 医学的立場から見た正露丸不要論かと思いましたが、それもまた違いました。 著者は大幸薬品の四代目社長。 あのラッパのマークの正露丸の会社です。 はじめから後継者としての帝王教育を受けてきたのかと思いましたが、実は医師免許を持つ元外科部長。 薬剤師ではなく医師になったということに驚きながら、社長が単なる経営者ではなく、広い意味で人体の専門家だということに、安心感が湧きます。 題名からもわかるように、会社に入ってからの経営手腕よりも、外科医時代の話のほうがメイン。 わからない医学専門用語が頻出する理系の人の文章なので、多少の読みづらさはありますが、それでもおもしろい内容のエッセイです。 150年前までは、麻酔がないために、外科手術は患者が正気のまま、一気に患部を切り落とし、焼きごてを当てて血を止めていたのだそう。 聞くだけでも恐ろしい当時の手術を実際に施術した多くの患者は、失神してその場で命を落とすか、手術に耐えることが出来ても敗血症で亡くなる、非常に成功率の低いものだったのだそう。 手術の恐ろしさに耐えかねて自殺する人も多かったとのことです。 また、手洗いの習慣がなかった当時は、解剖に参加した医師や医学生が、手を洗うことなく患者の内診を行っていたため、ウイルス感染症が広がるという悪循環に陥っていたとのこと。 医師や医学生が診察する総合病院での死亡率が高く、自宅で出産することが一番安全だとされていたそうです。 人命を救う場所であるはずの病院が、逆に死を招く危険な場所だったというのが皮肉です。 今でこそ、大病院の衛生は保たれていますが、インフルエンザパンデミックはどこで発生するかわからない厄介な敵。 大幸薬品の「クレベリン」は新型インフルエンザを防ぐ空間除菌剤として開発されたそうです。 20年以上外科医として医療に携わってきた著者。 肝臓のマイクロ波照射の実験をするにあたり、牛のレバーの塊を肉屋で4キロ買って、病院に持ち込んでマイクロ波で焼肉実験をしたそうです。 肉屋の肉を持ち込んだことはなかなかセンセーショナルで、周りではちょっとした話題になったそうですが、その実験から血流を停めてマイクロ波照射すると効果と範囲が上がることがわかり、肝血流を止める肝ガンの熱凝固療法が一般に知られるよう になったとか。 おもしろい着眼点から大きな発見をしたわけですね。 著者は、会社の三男でありながら、外科医勤務ののち、経営者として会社に入って業績を上げ、今では社長に就任しました。 名の知られた大手医薬会社でありながら、採算が取れずに消えていった商品も多かったとのこと。 正露丸の成功による全体的な業績の良さから、失敗に学ばない会社の体質ができており、危機感を抱いた著者は、そうした会社の体制の建て直しをはかったようです。 日露戦争の戦地に赴く将兵に軍の装備品として配付したこの薬。 それから100年たち、また新たに海外の戦地に派遣される自衛隊員の装備品になったそうです。 昔からあるこの薬にはいろいろな噂があります。 「虫歯の歯痛には正露丸を詰めると傷みが止まる」というのは本当だとのこと。 「日本人に胃がんが多いのは、正露丸のせい」というのは風評に過ぎないそうです。 実際には、ピロリ菌感染に起因しているのだとか。 そのほか、正露丸は胃アニサキスにも効くのだそうです。 生魚を食べる習慣のある日本人として、これは有用な情報。 そのほか、アルコール多飲にも効くと、知っているよりもさまざまな効能があるようです。 子供の頃には、おなかをこわして保健室に行くともらっていた正露丸。 今でも存在する息の長い薬品だというだけでも、効用の高さが証明されているようです。 あの独特の匂いが苦手で、家ではほかの腹痛用薬を服用していましたが、思っていたよりも応用性の高い薬だとわかり、これからは正露丸を常備薬にしようと思いました。 少し話はずれますが、医療を示すメディカルという言葉はメディチ家から来ていると知りました。 家紋についている赤い玉は丸薬と言われているとのこと。へえ~、そうだったんですね~。
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ラッパのマークでおなじみ正露丸の、大幸製薬四代目社長(元外科部長!)のエッセイ。元外科医から見る経営学…という本ではなく、外科医だった頃の裏話的体験談が主で純粋に面白かった。こういう経験をしてきたからこそ、正露丸糖衣Aやクレべリンを世に出した今の社長がいるのだ!と納得させられる本...
ラッパのマークでおなじみ正露丸の、大幸製薬四代目社長(元外科部長!)のエッセイ。元外科医から見る経営学…という本ではなく、外科医だった頃の裏話的体験談が主で純粋に面白かった。こういう経験をしてきたからこそ、正露丸糖衣Aやクレべリンを世に出した今の社長がいるのだ!と納得させられる本。 正露丸といえば、日露戦争の頃から有る由緒正しい丸薬なのだが、あの匂いと単なる下痢止めというイメージで我が家の救急箱には入れていなかった。 この本を読んで正露丸を常備しておこうと思った。だって胃アニサキスにも効くなんて…。
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著者はあの正露丸の大幸薬品の三男坊なのだそうだ。外科医として20年以上活躍したのち、10年ほど前に副社長に就任、2010年には東証一部上場して社長に就任したという経歴の持ち主である。 医師時代のあれこれ、経営者になり元医師の目からみた会社経営についてなど、ダイヤモンド社のデジタル...
著者はあの正露丸の大幸薬品の三男坊なのだそうだ。外科医として20年以上活躍したのち、10年ほど前に副社長に就任、2010年には東証一部上場して社長に就任したという経歴の持ち主である。 医師時代のあれこれ、経営者になり元医師の目からみた会社経営についてなど、ダイヤモンド社のデジタルエッセイとして書かれたものをまとめた本書。 元が細切れにかかれたエッセイなので、興味深い事柄であってもあまり詳細に触れず、さらっと流して書かれていることも多くてそのあたり物足りない部分もあった。また表題にある正露丸については、著者が会社を継いでからの話なので後半五分の一くらいからしか触れられていないが、むしろそちらよりも医師としての活躍をつづった前半のほうが臨場感があって面白く読めた。 正露丸がなぜ効くかという科学的な解明がなされたのが最近だというのにはちょっと驚いた。腸の蠕動運動を正常に戻し、水分の吸収をよくする働きがあるらしい。 もともとは生薬で、伝承的に「効く」と受け継がれてきた薬だからなのだろう。 一時、発がん性のあるコールタールから抽出されるクレオソート油と、正露丸の主成分で生薬である木クレオソートが混同され危険視されていたことがあった。私もそういう話を聞いたことがあったのだが、どうやら別物のようだ。 臭いけど、確かに正露丸、腹痛に効くものね。においをかぐだけでちょっと腹痛がよくなったりして。 新型インフルエンザなどで最近話題になったクレベリンも大幸薬品なんだな~。
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