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死刑と正義 の商品レビュー

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9件のお客様レビュー

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2019/02/23

 裁判員裁判が行われるようになったことによって死刑のあり方が大きな変容を遂げた事実をふまえた死刑論である。  専門家の裁判官のみで行われていた裁判では死刑の認定はいわばポイント制であったという。いくつかの要素を満たしたものが死刑とされた。そのため死刑と無期懲役との境界線は一般人の...

 裁判員裁判が行われるようになったことによって死刑のあり方が大きな変容を遂げた事実をふまえた死刑論である。  専門家の裁判官のみで行われていた裁判では死刑の認定はいわばポイント制であったという。いくつかの要素を満たしたものが死刑とされた。そのため死刑と無期懲役との境界線は一般人の感覚からは理解しがたいこともあったという。  裁判員裁判が始まってからは正義の基準はいわば同情の度合いになったという。そのために裁判の判例は多様になり、その統一性はしばしば破られる。  筆者は死刑の最終判断基準に関しては慎重ににして歯切れが悪い。ただ死刑制度自体は社会制度の維持に不可欠なものとして存在価値を認めている。  同様の事件で被害者の数や残忍性などが同じでも死刑と無期懲役刑量の絶対的基準にはなっていないという事実を私たちは知っていなくてはならない。

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2018/10/13

基本的に死刑存置論の立場から書かれている。第9章の「死刑の功利主義」では、賠償金を払うと死刑を避けられるという立場を功利主義と呼んでいる。いろいろな章で死刑に関する議論があるが、最終章でまとまった議論がなされている。死刑は正当防衛だという議論、死刑は最大の贖罪だという議論、死刑は...

基本的に死刑存置論の立場から書かれている。第9章の「死刑の功利主義」では、賠償金を払うと死刑を避けられるという立場を功利主義と呼んでいる。いろいろな章で死刑に関する議論があるが、最終章でまとまった議論がなされている。死刑は正当防衛だという議論、死刑は最大の贖罪だという議論、死刑は被害者の人命を尊重することにつながるという議論などがなされている。「人命尊重、人権尊重は、死刑に関する限り、ただひたすら永劫回帰するばかりである」(238頁)といった記述が若干鼻につく。

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2017/11/16

未だに各方面が議題として挙げている『死刑』という制度について著者なりの見解を示したものです。 死刑となり得る(なった)事件を幾つかピックアップし、事件の性質に基づいて細分化することで、『死刑』について多角的な視点を持って眺めることが出来るようになっています。 事件のピックアッ...

未だに各方面が議題として挙げている『死刑』という制度について著者なりの見解を示したものです。 死刑となり得る(なった)事件を幾つかピックアップし、事件の性質に基づいて細分化することで、『死刑』について多角的な視点を持って眺めることが出来るようになっています。 事件のピックアップのみならず色んな哲学者の考え方なども引用してきているため、哲学の勉強にもなりました。 著者自体は中立的な視点を持っているような記載っぷりでごじましたが、若干死刑廃止派に傾いているような感覚を覚えました。 難しい部分もチラホラございますが、概ねスラスラ読み進めることが出来るため、暇な時に『死刑』について見つめ直すには打ってつけの書物かと思われます。

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2021/01/05

うーん。なんか権威づけというよりは見栄のために哲学者の名前がいっぱい出てくる感じで印象がよくない。議論の内容もよくわからん。いろんな事件の復習にはいい。

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2014/08/15

裁判員制度の中で、どのように向き合うべきかをケースに分けて説いてるので、なかなか分かりやすく且つ興味深く読むことができます。 罰とは、正義とは、そして死刑とは。考えさせられる本でした。 『「自分の子どもが殺されても同じことが言えるのか」と叫ぶ人に訊きたい』を読んで思うところがあり...

裁判員制度の中で、どのように向き合うべきかをケースに分けて説いてるので、なかなか分かりやすく且つ興味深く読むことができます。 罰とは、正義とは、そして死刑とは。考えさせられる本でした。 『「自分の子どもが殺されても同じことが言えるのか」と叫ぶ人に訊きたい』を読んで思うところがあり、再読。 物事には多面的な要素がある事を忘れず、感情や周りの意見に流されず、自分なりに考え、答えを持つ事が大事なのだと再確認。

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2013/03/20

何を基準とし、死刑かそうでないかを分けるのだろう…それには、「正解」が、ない。裁判員制度導入により、私たち一人ひとりがその都度考えていく。

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2013/01/27

実際に起った事件を題材に、死刑について考察している本。 ブログはこちら。 http://blog.livedoor.jp/oda1979/archives/4384068.html

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2012/12/12

久しぶりに読み応えのある新書。著者の教養の深さには驚かされた。未だ世論の8割以上が支持している死刑について,結論は示すことなく,その判断に至る価値判断をそれぞれの死刑空間(事件の種類)について書いている。法律論ではなく,哲学の勉強といった感じ。

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2012/11/26

(少なくとも現在の日弁連では)あまり議論されていない視点から死刑について論じられており、著者がどんな経緯でどんな状況で何を考えながら本書を著したのか想像してしまう。 裁判員に選任される可能性のあるすべての人に読んで欲しいが、議論をカントやニーチェを引用しながら展開するので取っ付...

(少なくとも現在の日弁連では)あまり議論されていない視点から死刑について論じられており、著者がどんな経緯でどんな状況で何を考えながら本書を著したのか想像してしまう。 裁判員に選任される可能性のあるすべての人に読んで欲しいが、議論をカントやニーチェを引用しながら展開するので取っ付きにくいと感じる人が多いかもしれない。 死刑求刑事件の弁論には使えなさそうだが、ものを考える練習にはなった。

Posted byブクログ