【小説】めだかボックス外伝 グッドルーザー球磨川 小説版(下) の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
えー、まず最初に言っておかねばならない気がするのは、やりやがったなこの野郎。ってところでしょうか。 完全に読者の思い込みを利用して、実に腹立たしく既存の設定からもブレていないオチを食らった感じです。 多分、読んだ人の三割以上はないわー、この終わりはないわーってなるんじゃないでしょうかね。 いい感じに調教された西尾維新信者の私は、最初の感想になるわけですが。 前半の『水槽に蠢く脳だらけ』は、今ひとつタイトルと内容が噛み合わない印象があったのですが(悪平等そんなに出て来なかったので)、後半のツークツワンクはわかり易かったです。 代わりに、グッドルーザー球磨川の方に異議ありという気がしますが。 『ピンチになると敵が助けにくる』というのはめだかの主人公補正であり、それを球磨川さんが発動させたというのは意外や意外でした。 これってつまり、球磨川さんにも主人公になれる資格があるんじゃなかろうかとも思ったけど、やっぱりなかった。 今回の話は、すごい大枠の構造だと前作めだかボックス小説の後編『椋枝閾の杯盤狼藉マニフェスト』と同じだと思います。 ただ、二つの違いは、『めだかは勝負せずに選挙に勝利して』、『球磨川さんは敗北しているのにゲームをクリアした』というところですね。 あまり具体的な説明がなく結論出されてしまったので若干疑問だったのですが、安心院さんの『球磨川くんはどこまでも負け続けられる』というのは、このことが理由なのかもしれません。 さてさて、今回はつらつら書くとレビューが恐ろしく長くなりそうなので、ここからはある程度項目をまとめて書こうと思います。 ・もはや主人公が咲ちゃんの件 グッドルーザー球磨川じゃなくて、グッドアポイントメンター咲だった。 いやまぁ、これは球磨川さんの冒険活劇を期待していた身としては、やはり物足りない部分はありますね。 前半にマスク取らなかったので、後半は活躍の場が増えてるとは思ってたんですけどね。 冒頭のカラーページの二人の立ち位置が前半と逆になっているのは、つまりこういうことかと。 ・「身削ぎ丸」 この名前をあえて下巻まで引っ張った意味があまりなかったなーと。球磨川さんが自分しか斬ってないという意味ではまさに名前通りですけど。 ここは完全に下巻の購入意欲を沸かせるためだったか。 ・勝つまで挑むけど永遠に負け続ける球磨川さん 字面だけ見るとただの噛ませ犬だけど、本編に置き換えると、めだかに叩き潰されてその後リベンジで生徒会戦挙を引き起こしてることを考慮すると本当に恐ろしい。 ・球磨川さんの出番は減ったのに後半の方が出番増えてる気がする安心院さん 前半と比べて球磨川さん好きに迷いなくオススメできるかと聞かれると若干返事に困るのに、安心院さんファンには相変わらず笑顔でオススメできる不思議。 ・一人称の地の文で嘘吐いてましたって…… 突っ込んだら負けかなと思う。 申し訳程度でも説明をするのが西尾維新クオリティ。 ・支配者と支配者の支配者 黒幕体質の咲が、球磨川さんを傀儡に支配を置いているという現状。 球磨川さんを助けるために、結果として咲が自ら戦ったゲーム。 話題の定義だけされて、本質的にどっちがどっちを支配していてるのかは、まだこの話じゃ語られませんでしたね。 そういう意味では二人の決着も書かれることはなく、回収されるかどうか全くわからない巨大な伏線だけが残されました。鬼か。 ・ゲームの結末 承太郎になって「してやられたというわけか?」と言いたくなりましたね。 これは球磨川さんが一ヶ月で水槽学園を廃校にして消えるという事実を、上手いこと逆手に取られました。 確かに球磨川さんが生徒会長になっていつ頃かという部分はボカされているし、そもそも咲との勝者なき戦いは巻起こってもいないわけで、球磨川さんがここで退学になる方が辻褄が合わないわけです。 安心院さんが咲を気に入ったのは予想外でしたけど、アイドルはそこから来たのかよ……。つか何故咲がアイドルを望んだのかすごい気になる。 そんなこんなで、今回のレビューはおしまいですが、これの続編はいつですか? 出ない気も普通にするけど。 あ、最後に、安心院さんのハミングすごい聞きたいです。
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