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怪奇小説精華 の商品レビュー

3.7

8件のお客様レビュー

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2024/06/18

「怪奇」という言葉が何より合う短篇小説を集めたアンソロジー。好みは人それぞれで合う話合わない話があるだろうが、全体を通して見ると作者も訳者もバラバラでありながらよくぞこれほどのものをまとめたなと編者の力量に脱帽するしかない。観ていた映画「妖婆・死棺の呪い(魔女伝説ヴィー)」の原作...

「怪奇」という言葉が何より合う短篇小説を集めたアンソロジー。好みは人それぞれで合う話合わない話があるだろうが、全体を通して見ると作者も訳者もバラバラでありながらよくぞこれほどのものをまとめたなと編者の力量に脱帽するしかない。観ていた映画「妖婆・死棺の呪い(魔女伝説ヴィー)」の原作小説がやはり印象に残る。良く出来ていると思うのは「猿の手」、個人的に好きなのは「蜘蛛」かな。この本を読む目当てだったジャン・レイの「闇の路地」は微妙に分かりにくいのだが、これ以上説明すると雰囲気を壊しかねなく、ちょっと惜しい感じであった。

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2022/06/12
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

図書期限がきたので一回返却。 『クラリモンド』まで読んだけど、海外作品なのでどれも読みにくい部分は少しあり。 『幽霊屋敷』は序盤と最後の違いが面白かった。最終的にそうなったのね。『ヴィイ』と『クラリモンド』はなんだか似た雰囲気のお話でしたが、どっちも割合好きでした。 一回返してまた借り直そうと思います。5/26 借り直して再読。 『猿の手』は何度読んでも怖いというより、悲しい気持ちになる。 個人的に『蜘蛛』と『占拠された屋敷』が好き。 『占拠された屋敷』は誰に何故占拠されたのか分からないけど、主人公たちがあっさり諦めてるのが怖い。

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2021/03/25

「幻想文学入門」「幻想小説神髄」と3部作、「怪奇小説精華」をやっと読み終わる。 きつかった~。 海外の怪奇小説とかホラーとかは、先ずは面白く無いし退屈だ。 グイグイと引き込まれるように読ませる作品は少ない。 でも、何故か怪奇小説のアンソロジーは手に取ってしまう変な魅力が有る。 で...

「幻想文学入門」「幻想小説神髄」と3部作、「怪奇小説精華」をやっと読み終わる。 きつかった~。 海外の怪奇小説とかホラーとかは、先ずは面白く無いし退屈だ。 グイグイと引き込まれるように読ませる作品は少ない。 でも、何故か怪奇小説のアンソロジーは手に取ってしまう変な魅力が有る。 でも、読み始めると遅々として進まない(笑) 今回は「アッシャア家の崩壊」で進まなくなる。 何しろ訳の漢字が私には難し過ぎて読めない、フリガナが有っても意味が分からない。 普段から小説を読む時は国語辞典と漢和辞典を横に置いて、分からない漢字や言葉の意味を引きながら読むのだけれど、アッシャア家は小説を読んでるのか辞書を読んでるんだか分からなくて、肝心の小説の内容が入って来ない。 だって、ただ「見上げる」と訳してくれれば良いのに、 「瞻る」って書いてある。これで「みる」と読むんだけどさ。 普段、絶対に使わないでしょ。フリガナがあっても、調べなきゃ意味分からないし。 他にも熟語やら本当に大変。訳が素晴らしいと感想を書いてる人達は漢字に強い人達なのか?それとも僕があまりにも漢字が読めなさ過ぎるのか・・・ 怪奇小説は、「イギリス」「中国」等の国別アンソロジーの河出文庫が、まだ積んでる状態だけど、また苦労しながら読むのかと思うと楽しみでもあり、苦痛でもあるな~。

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2019/02/03

怪奇小説の傑作揃いの本書。作品毎に全く異なる『怪奇』の雰囲気が楽しめて、さらに芥川龍之介に岡本綺堂、神西清、平井呈一、など訳者も豪華。大変贅沢な一冊でした。 私のお気に入りはゴーゴリの「ヴィイ」。「肖像画」を以前読んだ時も怪奇の雰囲気が好みだったのですが、ヴィイは土着の民話っぽい...

怪奇小説の傑作揃いの本書。作品毎に全く異なる『怪奇』の雰囲気が楽しめて、さらに芥川龍之介に岡本綺堂、神西清、平井呈一、など訳者も豪華。大変贅沢な一冊でした。 私のお気に入りはゴーゴリの「ヴィイ」。「肖像画」を以前読んだ時も怪奇の雰囲気が好みだったのですが、ヴィイは土着の民話っぽいテイストも入ってまた素晴らしかった。他には、異世界からきた生き物に生活を侵略されていくSFめいたテイストがある「オルラ」と「闇の路地」も面白かった!

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2014/01/30

海外の作品の中から、クラシックな傑作がチョイスされているアンソロジー。私はホラーという分野は実話とか流行作ぐらいしか読んだことがなく、怪奇小説や幻想小説という分野にたどり着いたのはゴシック経路からなんですが、きっとこういう経路でたどり着いた方ならものすごく満足度の高いアンソロジー...

海外の作品の中から、クラシックな傑作がチョイスされているアンソロジー。私はホラーという分野は実話とか流行作ぐらいしか読んだことがなく、怪奇小説や幻想小説という分野にたどり着いたのはゴシック経路からなんですが、きっとこういう経路でたどり着いた方ならものすごく満足度の高いアンソロジーだと思います。ホラーの系譜が語られるときに必ず出てくるリットンの「幽霊屋敷」やポーの「アッシャア家の崩没」なども収録されているし、「猿の手」などの有名な作品も入っている。 「ヴィイ」「オルラ」などのサイコ的なというのかな、まぁようは幽霊などの外的要因じゃなく自分自身の内面に追い詰められ恐怖を作り上げてしまうような作品もあり、スタンダードな幽霊譚もあり、とにかく非常に読みごたえがあった。 あとがきにもあったけれど、あえて古い訳をそのまま採用していることも気に入った。龍膽寺旻氏の訳文には本当に胸キュンした。連続して読んでいると「背の高い女」あたりからエンジンの回転数が上がってくるような感覚でした。 特に気に入った作品は「アッシャア家の崩没」、「蜘蛛」、「闇の路地」です。「闇の路地」本当にすごかった。

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2013/01/27

・東雅夫編「世界幻想文学大全 怪奇小説精 華」(ちくま文庫)はその書名にふさはしいアンソロ ジーである。収められた作品を見れば誰もがその精華=成果を納得できる。それはこんな編集方針による。「収録作品の選定にあたっては、内 外の主要なアンソロジー採録頻度、評論研究書等での言及頻度を...

・東雅夫編「世界幻想文学大全 怪奇小説精 華」(ちくま文庫)はその書名にふさはしいアンソロ ジーである。収められた作品を見れば誰もがその精華=成果を納得できる。それはこんな編集方針による。「収録作品の選定にあたっては、内 外の主要なアンソロジー採録頻度、評論研究書等での言及頻度を重要な指針、目安としている。(中略)今 回の企画に限っては、能う限りセレクションに客観性を付与することで、ベスト・オブ・ベストの幻想文学選集を編みたいと考えた」(「解 説」613頁)。さう、実際にその通り、そんな稀有なアンソロジーである。これは3冊でシリーズをなす「世界幻想文学大全」の第2に当た る。3は「幻想小説神髄」で本書に続く。1は「幻想文学入門」で既刊、後2冊の「解説/評論篇」(3頁)といふことらしい。稀有な、そし て喜ばしい企画である。 ・本書は解説を含めて600頁超、この点でも凡百のアンソロジーではないと知れる。収録作は全18、多い。古くは古代ギリシアのルキアー ノスに始まる。その後は17世紀に飛び、デフォーの「ヴィール夫人の亡霊」がくる。正統的な怪談話、訳者は岡本綺堂である。綺堂は多くの 怪談を訳してゐるが、これもその一編、昭和初年頃の訳であらうか。古い。この後に、クライスト、プーシキン、メリメ、ブルワー=リットン と続くが、これらは19世紀ヨーロッパの作品である。この次が何とポー「アッシャ-家の崩没」である。この題名、まちがへたのではない。 ちやんとかう書いてある。崩壊ではなく崩没である。訳者は龍膽寺旻、日夏耿之介門の人であるらしい。戦後の訳だが、さすが日夏門、かうい ふ訳ができる人は今はゐまい。「雲は鬱然と空低く垂れて、慵く、晻い、静かな秋の昼日」(241頁)と始まる。振り仮名なしでは読めな い。「ものうく、くらい……ひるすがら」である。以下もずつとこの調子、最後の段落はかう始まる。「私が瞳を凝らしている中に、この裂罅 は倐ちに拡がった。この時一陣の羊角が襲いかかった。月読の円な姿が……」といふわけで、これだけでも普通に変換できない文字や単語があ る。この先は更に大変である。今なら京極がこんな文章を書くかもしれないが、それでもこんな古風な言葉遣ひはできないであらうと思ふ。か ういふ訳は、昭和20年代の雑誌を読むといふ趣味でもあれば出くはすこともあらうが、普通では絶対にお目にかかれない。その意味で、私は むしろかういふものを発掘してくれた編者の慧眼を嬉しく思ふ。実は本書の特色はここにもある。やはり「解説」で編者は言ふ。「本叢書にお いては、訳文の正確さや読みやすさよりも、その文学的味わい、文体の洗練を重んじる姿勢から、その多くが戦前戦中に世に出た旧訳の数々 を、あえて積極的に採用する方針で臨んだ。」(613頁)だから、こんな日夏門の訳者も登場するのである。実は芥川龍之介もまた訳者とし て出てくる。テオフィール・ゴーチエ「クラリモンド」である。これなどは芥川訳だと気づかないかもしれない。特に古風でも拙劣でもない。 たぶん普通の訳である。しかし、わざわざこれを載せるところに編者の慧眼、あるいはこだはりがある。この編者、以前は奇を衒つたとでもい ふやうなアンソロジーを編んでゐた。それに比べると、文章へのこだはりはあるが、これはしごくまとも、見事にまとめられてゐる。確かに精 華である。作品はごくオーソドックスながら、訳文でその文学性を採る。それで「ベスト・オブ・ベスト」になるかどうか分からないが、読ん で損したと思はせないアンソロジーになつてゐることはまちがひない。おもしろく読んだ1冊であつた。幻想も待つのみ。

Posted byブクログ

2013/01/25

≪世界幻想文学大全≫という、大きく出たシリーズ(の割には3分冊なのだけれど)だけに、古い作品を収録する必要性はわかる―が、セレクトがあまりに古きに偏っているように思えた。訳文が古いのも、個人的な好みからいうと……どうも苦手。 現在にあえて幻想文学の"大全"な...

≪世界幻想文学大全≫という、大きく出たシリーズ(の割には3分冊なのだけれど)だけに、古い作品を収録する必要性はわかる―が、セレクトがあまりに古きに偏っているように思えた。訳文が古いのも、個人的な好みからいうと……どうも苦手。 現在にあえて幻想文学の"大全"などというものを編纂して、あまつさえ「―入門」というテキスト的ガイド本まで作ったのに、ここまでわざわざ古臭くすることはかえって、「幻想文学」の敷居を高く思わせ、あるいは一見さんを遠ざける結果になってないか。 そもそもちくま文庫から出した時点で、ライトな読者には向いてないよというつもりなのかもしれないが。 勝手に期待して、それとは違った内容にガッカリしている読者のたわ言、か。 詳しくはこちらに。 http://rene-tennis.blog.so-net.ne.jp/2013-01-24

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2017/11/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 嘘好き、または懐疑者(ルーキアーノス)高津春繁訳  石清虚/龍肉/小猟犬――『聊斎志異』より(蒲松齢)柴田天馬訳  ヴィール夫人の亡霊(デフォー)岡本綺堂訳  ロカルノの女乞食(クライスト)種村季弘訳  スペードの女王(プーシキン)神西清訳 ◇トロイカ、セミョルカ、トウズが生活の端々に入り込んでくる場面が秀逸。ラスコーリニコフ的。  イールのヴィーナス(メリメ)杉捷夫訳 ◇誰も真相を知るものが残らない。この語り手の妙な落ち着きと、人々の滑稽さが変な味わいを残すホラー。  幽霊屋敷(リットン)平井呈一訳 ◇サン・ジェルマンをモデルにしたらしき男のもつ不気味さ。衒学趣味も悪くない。  アッシャア家の崩没(ポオ)龍膽寺旻訳 ◇これは訳文の素晴らしさ。  ヴィイ(ゴーゴリ)小平武訳 ◇民話からなのに、ハリウッド映画のような場面あり。  クラリモンド(ゴーチエ)芥川龍之介訳 ◇凄まじい小説。本書の中で最も出会えてよかった。「不仕合せな方ね。不幸せな方ね」  背の高い女(アラルコン)堀内研二訳 ◇運命の老婆。  オルラ(モーパッサン)青柳瑞穂訳 ◇日記小説。書き手の感情の振幅が作り出す雰囲気がすごい。これもよかった。  猿の手(ジェイコブズ)倉阪鬼一郎訳 ◇キングを思い出す。  獣の印(キプリング)橋本槇矩訳 ◇どこかしらコミカルだが。  蜘蛛(エーヴェルス)前川道介訳 ◇これも日記小説。「目羅博士」。  羽根まくら(キローガ)甕由己夫訳 ◇ネットで呼んでぞっとしそう。  闇の路地(ジャン・レイ)森茂太郎訳 ◇不思議な街角ものだが、これは正直よくわからなかった。  占拠された屋敷(コルタサル)木村榮一訳

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