カフカとの対話 の商品レビュー
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『カフカとの対話』 グスタフ・ヤノーホ 訳 吉田仙太郎 少年期に実際にカフカと話したヤノーホが記した自伝とも読める本。 いわずもがな、その特性から気をつけなければならないことがある。その発言の信憑性である。「偽書」とも呼ばれた時期もあったそうだ。 どう読むかは人それぞれだが、「こんなことも言ってたのかな」くらいの軽い気持ちで読んだ。 やはり、その作者のことを知りたければ全集を読むべきであろう。 「たぶん日光は、内部の暗黒から私たちをそらせてくれます。光が人間を圧倒するならば、それはすばらしい。この不眠と恐怖の夜がないとすれば、私はまず、書くなどということをしないでしょう。けれどもこんな具合に、絶えず私の独房生活が意識されるのです」(p21) ★不眠症はカフカの文学を作った要素の一つである。 「……本は世界の代用となるものではない。それは無理なのです。……」(p39) ★忘れてはならないこと。 「『変身』は恐ろしい夢です。恐ろしい観念です」(p52) ★『変身』について。正直にとるなら、夢の物語ということになるのだろう。だが観念とはなんだろうか。その後に「夢は現実をあばくけれども、その背後に観念は残るのです。……」とある。 観念はイデアの訳だろうか。 もともと小説とはそういう力があるが 、『変身』は文字面だけでは見えてこないものを潜ませていることになる。 「……魔術師というものは、それぞれ独自の儀式をもつものです。……書くということは、たしかに一種、精励招魂の儀式です」(p69) ★なるほど。 「彼はあまりに想像力をもちすぎていました」カフカは言った。「だから、かれは戦争に耐えることができなかった。戦争は、とりわけ想像力の途方もない欠乏から起こったのです」(p163) ★この後、カフカは亡くなり第二次世界大戦へと向かう。予言とも読めるかもしれない。 「これで、もういいのです」フランツ・カフカはゆっくりと言った。「私はすべてを肯定したのです。だから苦しみは魅惑となり、死は——、死は甘美な生の、ある一部にすぎないのです」 ★カフカがサナトリウムへ向かう前に著者と合ったときの言葉。達見している。しかし本当にこの言葉を話したかは分からない。
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自分のように頭の悪い人間には理解が難しいです……。 しかしこんな頭抱えそうな会話をしていたと思うと、当時は暗い世の中だったんだなあと思います。戦争って嫌だね。
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