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絵本 化鳥 の商品レビュー

4.3

19件のお客様レビュー

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2023/07/10

別冊太陽『こわい絵本』選書   「「はねのはえたうつくしい人はどこにいるの?」少年のかたりで綴られた幻視の世界―文豪と気鋭の画家が繰りひろげる妖しくも美しい未知なる絵物語。 川でおぼれかけたところを、”大きな五色のはねがあって天上にあそんでいる美しいお姉さん”に助けられた廉。少年...

別冊太陽『こわい絵本』選書   「「はねのはえたうつくしい人はどこにいるの?」少年のかたりで綴られた幻視の世界―文豪と気鋭の画家が繰りひろげる妖しくも美しい未知なる絵物語。 川でおぼれかけたところを、”大きな五色のはねがあって天上にあそんでいる美しいお姉さん”に助けられた廉。少年んはその”はねがはえたうつくしいもの”を求めて、森に入っていく。」

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2022/01/09

本作は泉鏡花の生誕地である金沢市が主催する泉鏡花文学賞の制定40周年記念プロジェクトてして企画・制作されたもの。絵本の部分は読みやすいように手が加えられており、巻末には原文が載っています。絵本の文章は鏡花独特の文章リズムを損なうことなく書かれていて、原文と比較しながら読むと面白い...

本作は泉鏡花の生誕地である金沢市が主催する泉鏡花文学賞の制定40周年記念プロジェクトてして企画・制作されたもの。絵本の部分は読みやすいように手が加えられており、巻末には原文が載っています。絵本の文章は鏡花独特の文章リズムを損なうことなく書かれていて、原文と比較しながら読むと面白いです。 凛として美しい母と暮らす少年・廉。少年の母への強い思慕が、幼い時に母を亡くした鏡花自身に重なって見え、切ないような気持ちにもなります。 中川学さんの絵も温かみがあって、切り絵のようで可愛らしい。 鏡花の文章は慣れないと読むのが難しいですが、彼の文章の美しさはピカイチ。もっと鏡花の作品を読みたいです。

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2021/04/02
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

中川学さんの絵を見たくて。天守物語がいまいちよくわかんなくて以来手をつけてなかった泉鏡花ですが、面白かったです。でもおっかさん怖すぎない?文体は読むものというより聞くもののようで好きなんだけど、人も獣も昆虫もみんな一緒ですよ、の見方が優しさではなく憎しみ起点なのが、しかもそれを息子に教え込んでるのが、ウワア…と思いました。 でも自分を例える時だけ鳥でもなく人間でもないく、いくらうつくしいったって化け物じゃん…その真意は…とも考えたり。 一読しただけの感想なので、的外れな解釈だったらごめんなさい。 中川さんのイラストは相変わらず最高です。

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2021/03/14

とても美しい装丁本で、たまたま図書館で見つけて手に取った。絵が美しいのとお話の内容にも惹かれて、何度も読んだ。母と子の深い愛に、なぜか泣かなくなるような目の奥がツンとするような気持ちになった。

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2019/10/12

みぃちゃんに教えてもらったよ! 英語版はイタリアミラノで賞をいただいたそうです 白い表紙の下の美しい色が気になる! ブッカーがあるからしょうがないー! ラストは現代の風景につながる デジタルイラストなのに本当に綺麗 長年親しんだ川の風景を思い出しました

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2019/06/14

少年は行きかう人たちを眺める。橋を渡ってゆくのはいのししで、釣りをしている人間はまるで一本のしめじ。以前におぼれたときに助けてくれたうつくしいはねのはえたねえさんは、いったいだれであったのか…。幻想的で痛々しくも優しく、それでいて温かい。これが中川学氏の「ゑ」によって更に美しく目...

少年は行きかう人たちを眺める。橋を渡ってゆくのはいのししで、釣りをしている人間はまるで一本のしめじ。以前におぼれたときに助けてくれたうつくしいはねのはえたねえさんは、いったいだれであったのか…。幻想的で痛々しくも優しく、それでいて温かい。これが中川学氏の「ゑ」によって更に美しく目の前に展開します。絵本にするための原文からの抜粋も見事。(後ろに原文全部も載っています)一見白一色に見えた装丁も、よく見るとなんて素晴らしいこと。出会えて良かった愛にあふれた一冊でした。

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2018/10/14

原文を少し変えた文章が、絵を背景に綴られている。絵は素朴な感じで、ちょっと切り絵みたいでかわいらしい。絵があると、原文だけでは分かりにくい表現もイメージができ、幻想的な世界に入り込める。巻末に原文ままの話が載っているのもありがたい。 2018/10/14

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2018/06/06

『化鳥(けちょう)』原作者・泉鏡花の生誕地、金沢市が主催する泉鏡花文学賞制定四十周年記念プロジェクトとして企画・制作された絵本 『化鳥』明治三十年発表された作品 泉鏡花さん(♂) お名前はうっすらと聞いたことあるような、ないような・・・ 予備知識なく読み始め、あらっ?!なんだか...

『化鳥(けちょう)』原作者・泉鏡花の生誕地、金沢市が主催する泉鏡花文学賞制定四十周年記念プロジェクトとして企画・制作された絵本 『化鳥』明治三十年発表された作品 泉鏡花さん(♂) お名前はうっすらと聞いたことあるような、ないような・・・ 予備知識なく読み始め、あらっ?!なんだか不思議な世界??? お話しが飲み込めるような飲み込めないような・・・ 巻末に原文が記載されていたのでそちらから読んでそれから読み直すと、中川学さんの鮮やかな絵とともにお話しの内容もスっと入ってきました。 廉少年の 「愉快(おもしろ)いな、愉快いな」と語りだされるお話し 登場人物が猪や動物で表されたり、美しい羽のお姉さんが出てきたり 「人間も、鳥獣も草木も、昆虫類も、皆形こそ変つて居てもおなじほどのものだ」という「母様(おつかさん)」の教えや 〈母なるものへの希求〉という、鏡花の幻想世界の不朽のテーマが浮き彫りにされた作品(泉鏡花記念館学芸員 穴倉玉日さんあとがきから) 幻想的でとても印象に残る作品でした。 小学中・高学年からかな(小さい子には難しい)大人向け絵本 中川学 浄土宗西山禅林寺派僧侶、イラストレーター 監修 東雅夫 『怪談えほん』の方 (『怪談えほん』好き♡)

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2017/11/11

泉鏡花作品を初めて読みました。 何となく取っつきにくいイメージがあったので、絵本だったら入りやすいかと思って… 絵本なので読みやすいし、不思議な感じのイラストで、見ているだけでも楽しかったです。 私はまだ一度しか読んでませんが、何度読み返しても、その都度感じることが違うかも…と思...

泉鏡花作品を初めて読みました。 何となく取っつきにくいイメージがあったので、絵本だったら入りやすいかと思って… 絵本なので読みやすいし、不思議な感じのイラストで、見ているだけでも楽しかったです。 私はまだ一度しか読んでませんが、何度読み返しても、その都度感じることが違うかも…と思ったので、近いうちまた読み返したいと思ってます。

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2017/07/02

タイトルは「けちょう」と読む。泉鏡花の原作を抜粋し、中川学が絵を添える。 母がいつも側にいて、この世の真理を自分だけに聞かせてくれる、「楽しい、うつくしい、花園」のような時間が描かれている。誰しもこの本を読むと、母に愛され守られていた、幼少時の幸福な記憶が蘇るのではないだろうか...

タイトルは「けちょう」と読む。泉鏡花の原作を抜粋し、中川学が絵を添える。 母がいつも側にいて、この世の真理を自分だけに聞かせてくれる、「楽しい、うつくしい、花園」のような時間が描かれている。誰しもこの本を読むと、母に愛され守られていた、幼少時の幸福な記憶が蘇るのではないだろうか。 中川氏の絵は、貼り絵のようなパッキリとした鮮やかな色使いが特徴。 最初は「この絵は鏡花に似合わないのでは…?」と思ったけれど、人がけだものに過ぎないことをコミカルに表現しているのがよい。くるくると表情が変わる主人公とは対照的に、あえて母の顔を見せないところもよい。 白眉は、化鳥が光臨する場面。眩しいほど崇高で、この絵のためにこの本が存在するのでは、と思える。 原作も同時収録されているが、原作は少し雰囲気が暗い。夫に先立たれた母が辛酸を舐めてきた様子が、想像できるからである。 最終的に、主人公は「翼の生えたうつくしい姉さん」は母親だと思い当たるが、それまでに人を動物や植物に見立てるくだりが繰り返されることで、母が化鳥であっても不思議ではない、と思わせてくれる。 「母様が在らっしゃるから、母様が存らっしゃったから。」という最後の一文。なぜ現在形の次が過去形なのだろうか。 私は、「(今この時も)母様が在らっしゃるし、(川へ落ちた時も、夜の花園で立ちすくんだ時も、いつも)母様が存らっしゃったから」と読んだ。

Posted byブクログ