いまも、君を想う の商品レビュー
単行本刊行時以来、13年ぶりに再読。 映画「赤ひげ」の二木てるみの井戸の底に向かって叫ぶシーンの引用で、泣けてしまった。
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※このレビューにはネタバレを含みます
こういう本は苦手だけれど、川本三郎さんということで読んでみた。 ここ数年、色んなことで友を亡くした私にとって、一番心に残ったのは 「通夜の席の酒も嫌だった」から始まるところで「…酒が入るうちに場所柄もわきまえずに笑い声が起きたりする。 喪主の方は客への礼儀として「故人はにぎやかなのが好きでしたから」と酒をすすめるら、それをしたくなかった。 家内がやつれ、そして静かに息を引き取っていった姿が目に焼きついている人間には「故人はにぎやかなのが好きでしたから」と決まり文句を言う気にはどうしてもなれなかった」 と言うところだ。 ある意味、流行病で、ここ数年家族葬が多い。 実はこれが一番理想なのかもしれないと、最近よく思うのだ。 そして「大事な人間が次々に去ってゆく。年齢的に仕方がない」 この「仕方がない」という、黙って受け入れると言う行為は、人を大きなものにするとも思う。そしてこの悲しみは決して癒えることはない。 しかし日常は、残酷にも普通に何も変わっていないように過ぎていく。 「歳をとるって言うのは残酷だ」と私が子供の頃、父がふと呟いたその言葉は、ずっと心の言葉の引き出しにあって、自分がそのくらいの歳になると、実感としてどーんと重みを増す。 よく、歳取ると子供にかえるのよと言われることもあるが、私は昔から違うと思っていた。それは確信へと変わる。子供にかえるのではなく、たくさんを知り得た人が、それを残酷なまでに静かに受け入れて時を過ごしていくと言う、人とは共感できない個人のものを積み抱えていっている経過だと思う。
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長年連れ添った糟糠の妻が先立つ。妻と過ごした月日を綴った本です。葬儀は、静かに送りたいと書中にありました。その気持ちに似た想いで読み終えた気がします。
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7歳年下の愛妻を57歳で喪った夫、35年間の夫婦生活を振り返る追想記。 妻は夫に先立たれると元気になるが、夫が妻に先立たれると大変。そんなイメージそのまま。たくましい妻、朝日新聞を解雇され評論家生活、ずっとそばで支えてきた妻。子もなく愛猫や旅行などの思い出。 闘病生活も含め、...
7歳年下の愛妻を57歳で喪った夫、35年間の夫婦生活を振り返る追想記。 妻は夫に先立たれると元気になるが、夫が妻に先立たれると大変。そんなイメージそのまま。たくましい妻、朝日新聞を解雇され評論家生活、ずっとそばで支えてきた妻。子もなく愛猫や旅行などの思い出。 闘病生活も含め、涙なくして読めないエッセイ。
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序章、歴代の飼い猫と野良猫について淡々と綴られる。妻についての記述が少ないのにも関わらず在りし日の彼女の面影が強く印象に残る。この章だけで独立した短編小説のよう。冬枯れの井之頭公園を歩くような、慣れた穏やかな寂寥感。夫婦の来し方、行く先々が他人事とは思えず冷静に読めない。涙で文字...
序章、歴代の飼い猫と野良猫について淡々と綴られる。妻についての記述が少ないのにも関わらず在りし日の彼女の面影が強く印象に残る。この章だけで独立した短編小説のよう。冬枯れの井之頭公園を歩くような、慣れた穏やかな寂寥感。夫婦の来し方、行く先々が他人事とは思えず冷静に読めない。涙で文字が滲む。すっかり感傷に浸ってしまった。
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淡々と奥さんとの日々、そしてお別れのときが綴られている。微笑ましく、うらやましく夫婦の姿を思い浮かべて、こうやって夫婦って作り上げられていくものなんだなあとうれしく思った。 決して、古風な奥さんではなかったけれど、川本さんをそっと支え、引っ張ってゆく姿は、私にはまったくないもので...
淡々と奥さんとの日々、そしてお別れのときが綴られている。微笑ましく、うらやましく夫婦の姿を思い浮かべて、こうやって夫婦って作り上げられていくものなんだなあとうれしく思った。 決して、古風な奥さんではなかったけれど、川本さんをそっと支え、引っ張ってゆく姿は、私にはまったくないもので、なんだかとても憧れる。子どもがいない夫婦だからか、恋愛要素の強い2人のようにも感じられて素敵なんだ。 まだまだ先だと思って、想像すらしたことのないだんなさんとの別れを想像してみて、そわそわと落ち着かなくなる。もっと優しくしておけばよかった、なんて思わないよう、日々生きて行けたらいいな。だけど、それでもきっと最後はそう思ってしまうんだろうな。
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映画評論家・文藝評論家の川本三郎の愛妻喪失の記。 さりげない過去の妻との日常を書き綴っているが、淡々としたその文面から、亡き妻への愛情が、ヒシヒシと伝わってくる。 特に著者は、全共闘関連の取材で逮捕留置され、朝日新聞を懲戒免職されており、その直後の結婚から、影で支えてくれた妻へ...
映画評論家・文藝評論家の川本三郎の愛妻喪失の記。 さりげない過去の妻との日常を書き綴っているが、淡々としたその文面から、亡き妻への愛情が、ヒシヒシと伝わってくる。 特に著者は、全共闘関連の取材で逮捕留置され、朝日新聞を懲戒免職されており、その直後の結婚から、影で支えてくれた妻への想いが行間から滲み出ている。
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川本三郎さんによる、亡くなられた奥さん、恵子さんの追想記。 やさしい表現を使っていることや、フォントが大きいことから、一つ一つのエピソードをとてもあたたかく感じる。場面の切り取り方が鮮やかで「古き良き映画」のような雰囲気。 病院へ行った帰りに、ある食堂で一人で行ってほっとする...
川本三郎さんによる、亡くなられた奥さん、恵子さんの追想記。 やさしい表現を使っていることや、フォントが大きいことから、一つ一つのエピソードをとてもあたたかく感じる。場面の切り取り方が鮮やかで「古き良き映画」のような雰囲気。 病院へ行った帰りに、ある食堂で一人で行ってほっとするところが、とても感覚的にわかる気がした。 書くことで自分の魂を慰撫する、ということはあるのだろうなと改めて思う。
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※このレビューにはネタバレを含みます
3月に脳外科を回っていた時に患者様の奥さんが毎日入院中の旦那さんの元に面会にきて長年付き添ってきた関係だからできる温かみのあるやりとりを見て読みたくなった作品。 愛する奥さんの死という自分の力では何ともすることのできない不条理な悲しみを乗り越えて奥さんとの出会いからわかれまでを書き綴っていて僕のように人生経験が浅い若造に対して今一度患者様との接し方と生きとし生けるものは皆無常観から逃れられないことを教えてくれました。 また一つ川本さんから生きるヒントを得たので近々開かれる彼の講演会に参加してみたいなと思いました。
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35年間連れ添い、病により先立った妻への追想記。夫婦の楽しいエピソードを重ねることにより、残された夫の喪失感の大きさを際立たせている。エピソードがどれもユーモラスで楽しく、長く連れ添った夫婦の強い信頼感が印象的である。著者と年代的に近いので、身につまされる。この優れた追想記により...
35年間連れ添い、病により先立った妻への追想記。夫婦の楽しいエピソードを重ねることにより、残された夫の喪失感の大きさを際立たせている。エピソードがどれもユーモラスで楽しく、長く連れ添った夫婦の強い信頼感が印象的である。著者と年代的に近いので、身につまされる。この優れた追想記により、聡明で、明るく、美しい妻の肖像が、人々の記憶の中に、永遠に行き続けることになった。
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