カンパニュラの銀翼 の商品レビュー
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充実した密度のある翻訳調の文章に、単なるミステリではなく衒学、哲学、耽美、冒険etcの豊かな物語で、受賞するのも納得できる。 自分は第二部がとても好き。 数奇な出来事によって、シグモンドとミュリエルの宙に浮いたような関係性。ずけずけと描いたらすぐ崩れてしまいそうなこの叙情的な画を、描ききったところがとても良かった。二人の結末と彼女の求める真実が明らかにされたところで胸にいろいろと思いがよぎる。 第三部最初のページみたいなのに弱いのです。 文体がけっこう特殊で、そのあたりが読みにくいと感じる人はけっこう出てしまいそう。 例えば、 「斜に構えた顔の左半分が街灯に煙っていて、男のくせに妖艶なる凄味が、気味が悪いくらい色濃く荒んでいる。反面、曇るように浮かび上がる右側は、無垢な虚ろさと愁いを帯びて、これが正面から合わせて眺めるほどに、非常に均一で端正な顔つきに見える。これぞ正しき礼節な美男子の、辛口な涼やかさだ」(p43) こういう修飾過多の文章は、読んでいて頭に入らない。これは多すぎる例だけれども。 一方、この文体が非常に良く発揮されたと思うのが、二部の終盤、二人がともに昼を過ごす場面。 読みながら、うへえ、と感嘆。 あと、自分には終盤の展開がけっこう不思議。妄想のような理論のもとに、展開していくのが。 タイトルの場面を強く描きたいがための展開、という印象も受けてしまいそう。 でも、その場面が凄いのだから、プラマイでプラスの方が圧倒的に多いという、だいぶとんがっている作品。
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アガサ・クリスティー賞受賞作なのでミステリにカテゴライズしたけど、SFとも幻想とも言える不思議なお話。 一章、二章、三章、四章とまったく違う話のようで、初めのあたりの冗長だと思えたあたりも全部最後に集約されてた。すごい。 ただ文体なのか話の組み立て方なのか、とにかく読みづらくて、...
アガサ・クリスティー賞受賞作なのでミステリにカテゴライズしたけど、SFとも幻想とも言える不思議なお話。 一章、二章、三章、四章とまったく違う話のようで、初めのあたりの冗長だと思えたあたりも全部最後に集約されてた。すごい。 ただ文体なのか話の組み立て方なのか、とにかく読みづらくて、世界に引き込まれる反面なかなか読み進まないというのも不思議なお話。 もうちょっとシグとベネディックのエピソードが読みたかったな。エリオットとクリスティンのエピソードも。
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雰囲気は好き。暗い暗幕のかかったような世界観だけど、ミュリエルとの刺繍の庭での出来事だけが光り輝いて見えました。最後の終わり方も好きで、後読感はよかったです。
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カテゴリはミステリかな? カンパニュラの銀翼、好きな世界で、文章も読みやすく面白かった。 場面、時代(というとネタバレになるかな)や視点が変わって話が展開するんだけど、何が謎なのか、何の関わりなのか中盤以降まで見えない。 シグとベネディックの秘密にはちょっとびっくりしました。アガサクリスティー賞受賞ということで読み始めたからかな?想定外の謎と解法でした。 シグモンドのイメージは当初、美しくて、特別に青い血の持ち主なだけに、もっと厭世的で無気力な、人嫌いかな?と思っていたのに、生まれの特異さや環境の割には普通の不器用な青年で、その感情が出ていく様が素敵だった。 ミュリエルとの関わりあいは切なかったけど、あの結末は彼の血を考えればお互いに幸せだったのかもしれないな。 なんというか、シグモンドは貴族らしい品のある余裕でしょうけど、他人にやさしいし、寂しさを抱えたところがまた女心をくすぐるというか、すごく好きだな(笑)。 いっそ、このままミステリシリーズとして、エリオットの麗しき助手として話を続けてほしかったです。。。切ない!
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むむ……! 序盤は私の苦手な耽美な衒学趣味かと思ったけれど、読み進めるうちにどんどんとそれらは気にならなくなってゆく。これは主人公兄妹の力か? しかし予想しない方向に展開するので、油断出来なかった。久しぶりに一気読みした。面白かった!
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(No.12-83) 早川書房 第二回アガサ・クリスティー賞 受賞作品。 この賞は、イギリス アガサ・クリスティー社公認のミステリ賞だそうです。 内容紹介を、表紙裏から転載します。 『1920年代後半の英国。エリオットには秘密があった。 資産家の子息の替え玉として名門大学で学...
(No.12-83) 早川書房 第二回アガサ・クリスティー賞 受賞作品。 この賞は、イギリス アガサ・クリスティー社公認のミステリ賞だそうです。 内容紹介を、表紙裏から転載します。 『1920年代後半の英国。エリオットには秘密があった。 資産家の子息の替え玉として名門大学で学び、目が見えなくなった「血のつながらない妹」のため、実の兄のふりをして通いつめる日々。そんなエリオットの元に、シグモンド・ヴェルティゴという見目麗しき一人の男が現れる。 〈抜け出したくばね、必要なのは概念の改革だよ。エリオット・フォッセー〉 物憂い眩暈。エレガントな悪徳。 高貴な血に潜んでいる病んだ「真実」。精緻な知に彩られた、めくるめく浪漫物語。』 ものすごく密度の高い物語でした。この一冊を読み終わって、なんだか3冊くらい本を読んだような気分になりました。 これって日本の作品だよね?と念を押したくなるほど、書き方が翻訳ものぽかったです。 ですから翻訳ものが好きでない方には積極的にお勧めできないかも・・・。 あちこちに薀蓄が散りばめられているうえ、思いがけない方向に物語が転がって行き、ぼんやり読んでいるとなんだかわからなくなりそうです。 あれ?・・・、と違和感を感じてすぐに出てきた横書きページ。わあ、そうだったんだ! ゴシック・ロマンであり、オカルトっぽいのに、科学的に原因や解決方法を考えてちゃんとミステリとして納得させてくれたことが、ミステリの賞をとった作品として納得です。 ラストに向けてどんどん緊迫感が増していくので、いろいろ注意して考えて読みたいのに、それどころじゃないよ~って立ち止まる気になれず・・・。後半は一気読みでした。前半はね、立ち止まりつつ、時々前の方を読み直したりしたんだけど。 いや~満足満足! あえて言えば、これってアガサ・クリスティーじゃないよね。 選者の一人鴻巣友季子さんが選考会に出るとき「この作品は明らかに抜きんでているが、アガサ・クリスティーの名を冠したミステリの賞に適格であるか」を心配されたそうです。結果的にそれは問題ないとなったのだとか。 もし、エドガー・アラン・ポー賞があったら、まさにぴったりだったんだけどな。 早川書房のイメージにぴったりの本で、さすがだわ!と嬉しかったです。
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ミステリーと呼ぶにはどうなのかしら?と思いますが、哲学の問答など面白く読んだ。 特にシグモンドの内面が見え始めてからシグモンドが好きになった。 反対にベネディクトは最後影が薄かったのが私的に少し残念。 最後の最後、シグモンドには幸福感と絆を感じてもらえたのだとおもいたい。
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特に具体的なネタバレは控えているつもりですがニュアンスとして念のため。 第2回アガサ・クリスティー賞受賞作。毎回気になるものを出してくるアガサ賞…侮りがたし…。 ミステリ小説の賞というとやはり第1回受賞作のような雰囲気のものを思い浮かべがちですが、「本格ミステリをはじめ、冒険小説、スパイ小説、サスペンスなど、アガサ・クリスティーの伝統を現代に受け継ぎ、発展、進化させる総合的なミステリ小説を対象」という賞の幅を最大に使った作品だったので、なかなか新鮮でした。 以下見返し及び「BOOK」データベースよりあらすじ抜粋。 1920年代後半の英国―エリオットには秘密があった。 資産家の子息の替え玉として名門大学で学び、目が見えなくなった「血のつながらない妹」のため、実の兄のふりをして通いつめる日々。そんなエリオットの元に、シグモンド・ヴェルティゴという見目麗しき一人の男が現れる。 物憂い眩暈。エレガントな悪徳。高貴な血に潜んでいる病んだ「真実」― 精緻な知に彩られた、めくるめく浪漫物語。 翻訳物のようなどこか抽象的な文体はあまりサラリと頭に入ってこないのでちょっと苦手なんですが、それでもあまり飽きること無く読みすすめられ、後半になると一気に流れ出す。 ゴシック小説のような設定に惹かれるものの、幻想小説のように不可思議でもやもやと進んでいるのかいないのかという序盤。けれど特に不快感や甘ったるさは無く、エリオットの生活が徐々に変わる様子で物語を流しつつも、淡々とシグモンドとベネディクトの過去が綴られ、少し飽きてきたかなと思えばちょっとした謎解きのような要素も入れてみたり、哲学談義を入れてみたり、微妙なバランスを保って構築されている。 後半になるとシグモンドとベネディクトの秘密が明かされ、これがミステリ的に展開するかと思いきや冒険小説的に展開する。前半とはかけ離れた行動的な流れでようやくオチが付き、気を抜いた最後でなんて王道ミステリ的結末。個人的に本格ミステリの定義の1つとして「切なさ」という心情があると思っているので、この結末で一気にその色が濃くなる。 通常のミステリ小説のようなものを期待するとはずれると思うけれど、静かなエンターテイメント小説として見返すと、ジワジワとこの物語全体のしっとりとした世界観の深みが感じられる。
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これは面白い。 美男子いっぱいで適度に小難しく/笑、女は出ているが「妹」で、主人公以外の彼氏ができる/笑。 またそいつもいい奴だ/笑。 まったくもって私好みのお話でした。 では何故☆5じゃないのか? それは「アガサ・クリスティー賞」受賞作品としてはどうなのか?という1点のみ。 カ...
これは面白い。 美男子いっぱいで適度に小難しく/笑、女は出ているが「妹」で、主人公以外の彼氏ができる/笑。 またそいつもいい奴だ/笑。 まったくもって私好みのお話でした。 では何故☆5じゃないのか? それは「アガサ・クリスティー賞」受賞作品としてはどうなのか?という1点のみ。 カテゴリ分けも私はミステリにはしませんでした。 ミステリというのとは違うんじゃないか、これ。 それだけです。
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思い込みがあったせいか、冗長な前半部分で気持ちが萎えてしまった。 自分とのリズムが合わず、耽美的で衒学的な雰囲気にもっと入り込めたら楽しめただろうに。本を読むのも一期一会だなぁと反省。
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