午前零時のサンドリヨン の商品レビュー
相沢沙呼『午前零時のサンドリヨン』 (2009年10月・東京創元社 / 2012年10月・創元推理文庫) 主人公の須川くんのヘタレキャラに呆然としながら読み進めると、胸がキュンとするようなラストが待っていた。 それはまるで魔法のようで、ミステリとしても物語としても小説として...
相沢沙呼『午前零時のサンドリヨン』 (2009年10月・東京創元社 / 2012年10月・創元推理文庫) 主人公の須川くんのヘタレキャラに呆然としながら読み進めると、胸がキュンとするようなラストが待っていた。 それはまるで魔法のようで、ミステリとしても物語としても小説としても拙いこの作品を、忘れがたい作品に昇華せしめている。 キャラの書き分けしかり、伏線の張り方しかり。作者の拙さが須川のヘタレっぷりと重なって逆に愛おしくなるという、まさに奇跡の一作であった。 最終話の謎解きの地味な伏線を、連作短編の各話に潜ませるのはどうかと思うけどね。 ヒロイン酉乃さんのツンツンキャラに久々に萌えた私でありました。 65点(100点満点)。
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主人公は高校1年の須川くん。 彼はクラスメイトの美人に一目惚れするのだが、 その相手はあまり周りと交流を持たない孤独な雰囲気の生徒だった。 元々奥手な彼は何も行動できないでいたのだが、 ある日姉と偶然に入ったマジックバーで彼女を見つける。 マジックをしている時は学校に居る時とは...
主人公は高校1年の須川くん。 彼はクラスメイトの美人に一目惚れするのだが、 その相手はあまり周りと交流を持たない孤独な雰囲気の生徒だった。 元々奥手な彼は何も行動できないでいたのだが、 ある日姉と偶然に入ったマジックバーで彼女を見つける。 マジックをしている時は学校に居る時とは全く違う彼女を見て さらに好意を募らせる須川くんは、学校でも彼女と会話できるように 努力するのだが、、、 マジック、青春、恋愛、日常の謎。そんな要素が詰まった一冊。 それと、思春期特有の「自我への問い」みたいなものも。 タイトルから判断すると、そこが一番のテーマかもな。 ちょっと最後は綺麗にまとめすぎのような気もするけれど、 そこここにしっかり伏線も散りばめられているし、 物語をなかなか楽しむことができました。 軽さと重さ、明と暗、それらのバランスもよかったです。 続編も刊行されており、そちらも楽しみ♪
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
高校で起こるよくある事件や幽霊騒動を、高校生マジシャンの頭脳を借りて解決していくストーリー。 ただの日常推理ものかと思ったら、思春期の女子にありがちな悩みや問題も絡んでいた。 幽霊騒動が一つの軸になり、それを解決することで全ての人間関係もきれいに解けていく青春もの。 主人公の男子高校生が普通の高校生で一番目立たなかったが、女子の中に埋もれた男子はこんな感じだったかもしれないとちょっと高校時代を懐かしんでしまうような感じだった。 こういう推理ものは必ず文化部が出てきて運動部は出てこないが、やはり文化部=謎解きというイメージなのだろうか? マジックの様子も絡めて、映像で見たいかも。
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短編に少しずつ散りばめられた伏線や符丁を最後に回収して行くさまや、タイトルの付け方のセンス、冒頭のマジックと謎の関連、そして「日常の謎」が何となく北村薫っぽいなと思ったら、作者はやっぱり「空飛ぶ馬」に影響されたようですね。同じ北村薫に影響された米澤穂信(こちらは「六の宮の姫君」で...
短編に少しずつ散りばめられた伏線や符丁を最後に回収して行くさまや、タイトルの付け方のセンス、冒頭のマジックと謎の関連、そして「日常の謎」が何となく北村薫っぽいなと思ったら、作者はやっぱり「空飛ぶ馬」に影響されたようですね。同じ北村薫に影響された米澤穂信(こちらは「六の宮の姫君」でしたっけ)と比べると、もっと北村薫っぽく感じます。 内容は謎解き中心というよりは、もう少し人間模様の描写に傾いていて、謎解きはマジシャン=高い観察力に頼り少し強引かなと思う。 とは言え、全体的には巧く一気に面白く読めました。 直ぐにでも続編を読みたいところですけど、まだ文庫化してないんですね、残念。
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文庫化で再読。 再読して改めて良さを感じた。 青春と見事にマッチしていて、青春の良さを最大限に生かしたミステリだと思います。 ミステリを中心としていながら、ミステリがまるで恋愛の引立て役のようになっていてとてもいい
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高校で起こる不可思議な事件をマジシャンの酉之初と、彼女に恋をする須川君が解決していく連作短編集。 ワトソン役でもある須川君の語り口が少し拙い感じがしたのですが、その拙さが逆にこの作品の青臭さを上手く表現してくれている感じがして、須川君の苦悩もリアルに伝えてくれる感じがしました。...
高校で起こる不可思議な事件をマジシャンの酉之初と、彼女に恋をする須川君が解決していく連作短編集。 ワトソン役でもある須川君の語り口が少し拙い感じがしたのですが、その拙さが逆にこの作品の青臭さを上手く表現してくれている感じがして、須川君の苦悩もリアルに伝えてくれる感じがしました。 日常の謎としてもなかなか好きな感じ。起こる事件は何げないものなのですが、その裏に隠されているのは、思春期にある複雑な感情。なのでミステリーとしてだけでなく青春ものとしてもおススメ! 初のキャラクターもいいです。話が進むにつれ彼女自身の苦悩も語れていくのですが、それについつい読んでいるこちら側も感情移入してしまいました。それだけでなく正義感の強いところや、マジックをしているときとしていない時とのギャップなど惹かれる要素満載(笑)初と須川君のもどかしい恋愛模様もとても好ましく読めました。 第19回鮎川哲也賞
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