これでよろしくて? の商品レビュー
夫婦、家族、人と人とが暮らすことのややこしさを余すこと無く伝えてくれる作品。とてもとても面白かった。
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弘美さんの文章はやっぱり可愛いなぁ。ほのぼのとして優しいし。けど、内容はけっこうシビアでした。 人と人が関われば、そこにボタンのかけ違えが生じることもしばしばです。その原因は、ちょっとした言葉遣いだったり、なにげない態度だったり。そんなどうでもよいような些細なことが、ついついわだ...
弘美さんの文章はやっぱり可愛いなぁ。ほのぼのとして優しいし。けど、内容はけっこうシビアでした。 人と人が関われば、そこにボタンのかけ違えが生じることもしばしばです。その原因は、ちょっとした言葉遣いだったり、なにげない態度だったり。そんなどうでもよいような些細なことが、ついついわだかまってしまうのですネ。ふんわりした文章に、つい見落としそうになりますが、主人公の微妙な心の動きを適確に表現し、胸のうちの襞々までが繊細に描かれています。 家族ってなんでしょう?もとは赤の他人である二人が一緒に暮らしはじめ、やがて家族といわれるものになっていくのですが・・・う~ん不可解です。人間関係には煩わしさがつきまといます。たとえ血の繋がった者同士であっても、それは否めないものです。そんなこんなを川上弘美的ガールズトークで、笑い飛ばしてしまいましょッ。
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年齢もさまざまな女性達があつまっていろんな話をするのは楽しそう。 いわゆる女子会とはちょっと違う? そんな「これでよろしくて?同好会」に参加したいと思いました。 いや、特段何に不満や不安があるわけではないんですが(笑) あと、世のダンナ様方に読んだ感想を聞いてみたい。 そんなちょっと意地悪な気持ちにもなったりしました。 男性(特に妻帯者。そして自分はよき旦那だと思っている人)には少し厳しい一言が所々に潜んでいる…かも(笑)
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三十代半ば、小さな欠点はあれどお互いを大事に思っている夫あり、子供なし、姑と微妙な関係の主婦、菜月が主人公。彼女が自分の心情を語る部分と、日常の家庭生活の様子と、偶然再開した元彼の母に誘われて参加するようになった「これでよろしくて?同好会」の会議(?)の様子から成るお話。共感しっ...
三十代半ば、小さな欠点はあれどお互いを大事に思っている夫あり、子供なし、姑と微妙な関係の主婦、菜月が主人公。彼女が自分の心情を語る部分と、日常の家庭生活の様子と、偶然再開した元彼の母に誘われて参加するようになった「これでよろしくて?同好会」の会議(?)の様子から成るお話。共感しっぱなしでグイグイ読んだのであっという間に読み終ってしまった。もっと読みたかった。大変おもしろかったです。自分自身もつい最近になってようやく実感したことなどが書かれており、余計におもしろかったです。
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結婚して会社をやめた主婦。同じような日常、結婚してすぐのようには甘くない旦那との生活を送る菜月はある日、元彼の母親に出会い、誘われた、日常の些細な不思議を淡々と好き勝手に語り合う、年も仕事もばらばらな女性たちの会合、「これでよろしくて?」同好会に、とまどいながらも出席するようになる。時を同じくして、旦那の母親が家出して、菜月の家に居候をすることに。夫婦、嫁姑、親子の関係が絡み合い、ゆれ始めた日常を、「これでよろしくて?」同好会の議題として俎上にあげることで、消化していく。 「これでよろしくて?」同好会は、一見普通なようだけど、なんとも食えない女たちで構成され、意見が食い違っても、結論が出なくても頓着せず、何事も少し他人事というか、俯瞰的な意見交換が繰り広げられ、だからこそなんだか心理が見えてくるという不思議な会で、さらっとしているけど、拒まない包容力と絶妙な説得力が素敵。こんな会があったら参加したいなぁ。結婚してから読んだら、またいろいろ考えさせられるんだろうと思います。
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ひさしぶりのヒット。 女子におすすめ。 わかるわかるわかる、と首をぶんぶん振りたくなるくらい共感できます。 ふだん気づかないように細心の注意を払っている心の奥の奥の感情を、取り出してはさっぱりすっぱりぶった切ってくれる「これでよろしくて?同好会」のメンバーに拍手。
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「これでよろしくて?同好会」での会話が、もう壺にはまり 同好会のメンバーたちの、くえない女っぷりが小気味いいのです オレっていい旦那だよななんて隠れて自負している男性が読んだら ちょっと、顔が青くなるかもね なんて想像しちゃう 葉月のママンの鈍感でいい人っぷりには、唖然 苦笑い全開、ちょっと怖い いや本音 忙しく楽しい小説でした
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主人公はまだ若い主婦・菜月。 夫との仲も良いのだが、どこか微妙なすれ違い。義母、義妹と同居していた弟夫婦ところで嫁姑の確執が起こり、なぜか義妹が菜月夫婦のところに転がり込む。さらには義妹と入れ替わりに義母が来ることに。少々気詰まりな人間関係を何とかこなそうとする菜月だが。。。 と...
主人公はまだ若い主婦・菜月。 夫との仲も良いのだが、どこか微妙なすれ違い。義母、義妹と同居していた弟夫婦ところで嫁姑の確執が起こり、なぜか義妹が菜月夫婦のところに転がり込む。さらには義妹と入れ替わりに義母が来ることに。少々気詰まりな人間関係を何とかこなそうとする菜月だが。。。 という話なのですが、合間に挿入される「これでよろしくて?同好会」のガールズトークが面白い。菜月がふとしたことで引き込まれた初老から20代にわたる女性5人が洋食屋に寄り合って四方山話をする会合なのですが、メンバーが個性に溢れ、どこか奇妙なのです。 現実的な(と言っても物語の中でですが)家族の中の確執。そこだけ描くとドロドロした主婦の悩みの物語になりそうなところに、どこか非現実的で、ある意味客観的な同好会での会話を挟み込む事によって上手く処理しています。 私の好きな不思議の川上弘美では無いですが、面白く読めた話でした。
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川上さんらしい女子な小説。これ、切るところは「川上さんらしい」「女子な小説」ではなく、「川上さんらしい女子」「な小説」です。帯にも書いてあるけど「ガールズトーク小説」なんですが、その内容たるや!どちらかというと「哲学カフェ小説」の様相ですよ。 主人公の菜月さんが「これでよろしくて...
川上さんらしい女子な小説。これ、切るところは「川上さんらしい」「女子な小説」ではなく、「川上さんらしい女子」「な小説」です。帯にも書いてあるけど「ガールズトーク小説」なんですが、その内容たるや!どちらかというと「哲学カフェ小説」の様相ですよ。 主人公の菜月さんが「これでよろしくて?同好会」に初めて参加した時の議題と議論を読んで、まず思ったのが「ワタシもこんな同好会作ろうかな…」でしたもん。なかなかこんな秀逸なメンバー5人は揃えられそうもありませんが。
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川上弘美作品のなかでは、頭ひとつ抜けているというわけではないけれど、総体的に、やっぱりおもしろい。 抑揚のない毎日を過ごす平凡な主婦が、「これでよろしくて?同好会」という、年齢層の高い主婦たちによる、ただただおしゃべりをするだけの会合に、巻き込まれるかたちで加わる。下世話な話...
川上弘美作品のなかでは、頭ひとつ抜けているというわけではないけれど、総体的に、やっぱりおもしろい。 抑揚のない毎日を過ごす平凡な主婦が、「これでよろしくて?同好会」という、年齢層の高い主婦たちによる、ただただおしゃべりをするだけの会合に、巻き込まれるかたちで加わる。下世話な話も、嫁姑問題も「議題」にして、本気で井戸端会議をしている彼女たち。ご近所づきあいよりはお互いのことを知らず、PTAより格式ばってない。始めこそ他のメンバーに圧倒され、気後れしていた主人公も、1回目の会合が終わった時点で、主婦たちのことを好ましく思っている。そして読者も。 まず、会合は毎回洋食屋で、というのがいい。オムライスやエビフライや、読んでるだけで胸焼けしそうな代物を、話の前に、合間に、モリモリガツガツ食べる。その熱量がいい。たらたら聞かされてもつまらないはずの平凡な主婦のありふれた愚痴や悩みが、「議題」にすり替わった瞬間におもしろく読めてしまう。 終始ユーモラスで時折せつなく、鬼気迫るハイライトは一度も来ない。ラスト付近で、川上弘美らしさを感じさせるような、現実世界からフッと離れる瞬間があって、それが一瞬だけなのもまたいい。 そして長嶋有の解説がいい。著者との仲のよさをアピールするだけの解説は、つけないほうがいいくらいだと常々思ってるけど、これは本編を読み終わった余韻のままに続けて読むと、さらに気持ちよくなる類のものだった。
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