継母礼讃 の商品レビュー
リョサはストーリーにあまり捻りはないので、途中で終わりは見えてしまったが、名画をストーリーに絡めているのが一興だ。美少年フォンチートのキャラクターの妖しさが際立っている。短いしこ難しくないしささっと読める。リゴベルトのキャラも可愛い。続編を読みたくなる。
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原書名:ELOGIO DE LA MADRASTRA(Vargas Llosa, Mario, 1936-) ルクレシアの誕生日◆リディア王カンダウレス◆水曜日の耳◆蛍の眼◆水浴の後のディアナ◆リゴベルトの沐浴◆愛と音楽のウェヌス◆涙の塩◆人間のようなもの◆膨らんだ官能的な鼻◆食...
原書名:ELOGIO DE LA MADRASTRA(Vargas Llosa, Mario, 1936-) ルクレシアの誕生日◆リディア王カンダウレス◆水曜日の耳◆蛍の眼◆水浴の後のディアナ◆リゴベルトの沐浴◆愛と音楽のウェヌス◆涙の塩◆人間のようなもの◆膨らんだ官能的な鼻◆食後の会話◆愛の迷宮◆悪い言葉◆薔薇いろの若者◆エピローグ 著者:マリオ・ヴァルガス=リョサ(1936-) 訳者:西村英一郎(1949-) 解説:池内紀(1940-)
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「絵になる・・・」「絵のような・・・」という言葉がある。理想的な関係(とくに、恋人同士)を指すことが多い慣用句だが、絵というからにはそれを鑑賞する者がいる。 「継母礼賛」の登場人物たちは、それぞれが「絵に描かれた二人」であり、またそれを「覗き見る者」(=介入者)でもある。ルクレシアは父子二人に対して継母、アルフォンソは夫婦に介入する間男、リゴベルトは義母と子の妖しい関係を知ってしまう夫という、ある関係の当事者でありながら、他の関係の第三者といいう立場を持っている。これらの関係は表紙および挿絵の絵画に表わされ、そのイメージは幻想的な寓話として挿入される。 物語の終盤では、リゴベルトが妻と子の関係を知ることで、三つの絵画はつながり、いびつなコラージュ作品になる。異なった意味をもつイメージ群は重なりあうことなく、全ての関係性は破壊される。 寓話の中でも、とくに「受胎告知」の物語が謎めいている。平凡な人生を望むマリアにアルフォンソに似た天使が唐突に受胎を告げるのは、絵画という時を止められた世界へ次元を超えて作用する存在(=作者)を思わせるし、リゴベルト・アルフォンソ父子の元に残った侍女フスチニアーナの今後も想起させる。
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Mario Vargas Llosa, he was awarded the novel award, had fetishism ('_'?) first, i thought, it was a fantasy drama of the erotici...
Mario Vargas Llosa, he was awarded the novel award, had fetishism ('_'?) first, i thought, it was a fantasy drama of the eroticism. but, it was the boy's project.
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美しい金髪の巻毛の無邪気な青い目をしたクピドは長い睫を震わせ、耳朶を咬みながらアモーレと甘く囁く。注ぎ込まれる甘美な毒。ウェヌスは夏の太陽と熱い砂浜を夢見て、血管を流れる葡萄酒のような熱い血に酔い痴れる。6枚の絵が紡ぎ出す幻想、美しい女体、純真無垢な悪意、粘液質の欲望はベッドの〈...
美しい金髪の巻毛の無邪気な青い目をしたクピドは長い睫を震わせ、耳朶を咬みながらアモーレと甘く囁く。注ぎ込まれる甘美な毒。ウェヌスは夏の太陽と熱い砂浜を夢見て、血管を流れる葡萄酒のような熱い血に酔い痴れる。6枚の絵が紡ぎ出す幻想、美しい女体、純真無垢な悪意、粘液質の欲望はベッドの〈魔術的空間〉で絡まり合い、至高の快楽へ変わる。美と醜、聖と性が対比され、美しい旋律を紡ぎ出す。『ロリータ』の倒置だ。《おまえは…おまえはだれなのだ?》トランプの城は壊された。クピドは堕天使ルシフェルとなり夜空に飛翔する。 〈彼は睫をふるわせ、訴えるような目つきをした。泣きべそになって口をゆがめ、えくぼのある頬をぴくぴくさせて哀願した。〉 巻頭の6枚の絵画。 ヤコブ・ヨルダーエンス「カンダウレス王寝室のギュネス」 フランソワ・ブッシュ「水浴の後のディアナ」 ティツィアーノ・ベルチュリオ「ビーナスとキューピッドと音楽」 フランシス・ベーコン「頭部1」 フェルナンド・デ・シシェロ「メンディアータ10への道」 フラ・アンジェリコ「受胎告知」 日本語訳も美しくて書き写したくなる表現がたくさんあった。訳者あとがきによると原文はナボコフやジョイスのような言葉遊びにあふれているらしい。川端の淫靡なエロさに対してリョサは開放的なエロさだ。 カバーの絵はアーニョロ・ブロンツィーノ「愛のアレゴリー」。原題はBromzino,Allègorie avec Vènus et Cupidon 直訳すると多分、ウェヌスとクピドの寓意。なんで愛のアレゴリーなんだろう?解説にもあるようにこの絵がこの物語を全て表している。
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第一章を読んでいる時、”このエロさは本当に『都会と犬ども』や『緑の家』『世界終末戦争』を書いたバルガス=リョサの作品かと思わず表紙を見直した。が読み終るとエロさだけでは無かった。 基本の話の美少年と継母、父親の三角関係はありがち(?)ではあるが、挿入画や神話をもとに語られる幻想的な世界と現実世界の対比や父親の儀式等の繊密な描写と相まって、とても美しくでも少し滑稽でそして途轍もなく残酷だった。 いやー堪能した!!!続編の『ドン・リゴベルトの手帖』も続けて読みたい。
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【R15】◆耳・眼・鼻。 尻・肌・髪・血管…。官能がフェティッシュに・部分に解剖され、神話がコラージュされ、行為者は観察者と被観察者に解体される。芸術と神話が喚起する妄想こそは豊満で、その歪んだ膨らみゆえに美しいが、全体に溶け合うことがない。現実は神話・芸術と対照的にきわめてちぐはぐで卑小にとどまる。◆リョサはどういう意図で第十四章のマリアを置いたのか、はかりかねている。続編やリョサの他の著作を読んで、もう一度読み返してみたい。【2014.04.16】
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2014初読み。継子にそそのかされて父親と三角関係になる危険な話、だけど、もっとファニーで雅やかな、牧歌的性幻想といった趣。リゴベルトの丹念なる自分へのお手入れの様が、微に入り細に入りで面白い。 カラー図版も入って、本としても優雅なり。
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ノーベル賞受賞した作家の作品を読んでみようと 読みやすい厚さの作品を選んで買ってみたら おもいっきし官能小説だった。 背徳的で淫靡な物語でありながらも フラ・アンジェリコの「受胎告知」や フランシス・ベーコンの「頭部Ⅰ」などの 有名絵画と古代ギリシアの神話、伝承を取り混ぜて 幻...
ノーベル賞受賞した作家の作品を読んでみようと 読みやすい厚さの作品を選んで買ってみたら おもいっきし官能小説だった。 背徳的で淫靡な物語でありながらも フラ・アンジェリコの「受胎告知」や フランシス・ベーコンの「頭部Ⅰ」などの 有名絵画と古代ギリシアの神話、伝承を取り混ぜて 幻想的な世界を作り上げている。 ともあれ おっさんの鼻毛切るくだりで10Pも書いちゃうんだから ノーベル賞作家っていうのはやっぱり凄いと思う。
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バルガス=リョサは、私にとっては『緑の家』に続いて2作目だが、随分と作風が違うようだ。ただ、ここでも小説の構成には独特の創意が凝らされていて、ストレートな「読み」では全体像を把握し損なうかも知れない。しかも、本編には数点の絵画も添えられている。表紙にも採用されているブロンツィーノ...
バルガス=リョサは、私にとっては『緑の家』に続いて2作目だが、随分と作風が違うようだ。ただ、ここでも小説の構成には独特の創意が凝らされていて、ストレートな「読み」では全体像を把握し損なうかも知れない。しかも、本編には数点の絵画も添えられている。表紙にも採用されているブロンツィーノの「愛の寓意」は、まさしく小説のタイトルそのものだが、フラ=アンジェリコの「受胎告知」などは、小説の構成そのものとともに、解釈に戸惑いもする。妖艶でコケットリーなエロティシズムと、無垢だけが持ち得る明るい残酷さが共存する作品だ。
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