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ほんとうの中国の話をしよう の商品レビュー

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2024/06/04

三十五年目の六月四日のために。 「六四天安門事件糾弾!ひとり読書デモ」敢行中。 黄昏れても、ポンコツでも、無能でも、燃えつきても、読書デモ実施中!/ 小説『活きる』や『兄弟』などの作家余華(ユイホア)が、「人民」、「領袖」、「読書」、「創作」、「魯迅」、「格差」、「革命」、「草...

三十五年目の六月四日のために。 「六四天安門事件糾弾!ひとり読書デモ」敢行中。 黄昏れても、ポンコツでも、無能でも、燃えつきても、読書デモ実施中!/ 小説『活きる』や『兄弟』などの作家余華(ユイホア)が、「人民」、「領袖」、「読書」、「創作」、「魯迅」、「格差」、「革命」、「草の根」、「山寨(シヤンチヤイ)※1」、「忽悠(フーヨウ)※2」の十のキーワードで、大躍進、文化大革命、天安門事件、現代中国を斬る。2012年出版。中国国内で発禁処分! 必ずしも、悲憤慷慨ばかりではない。 至る所に笑いの爆弾が巧妙に仕掛けられているところに、余華の大きさを感じる。/ ※1 山寨:コピー。模倣品。/ ※2 忽悠:勝手に誘導すること。巧みに罠を張ること。人をペテン人かけること。/ 「人民」: 次の文章は帯で引用されているので割愛しようと思っていたが、どうしても当時の雰囲気を伝えるものがほしいので、やはり引用することにした。/ 【一九八九年春の北京は、アナーキストの天国だった。警察が急に姿を消し、大学生と市民が自発的に警察の任務を果たした。あのような北京が再現することは、おそらくないだろう。共通した目標と共通した願望が、警察のいない都市の秩序を整然と維持していた。街に出れば、友好的な空気が流れていることを感じる。地下鉄もバスも切符を買わずに乗れた。(略)当時の北京は、「四海の内はみな兄弟」とも言うべき都市になっていた。】/ 【私の「人民」に対する理解は、(略)五月下旬の深夜に経験した小さな出来事に由来している。当時の北京はすでに戒厳令が敷かれ、学生と市民は自発的に北京の交通の要衝、およびあらゆる立体交差橋と地下鉄の出口を警護していた。完全武装した軍隊が天安門広場に進入するのを阻止するためである。 (略) ある日、日中(略)出かけた私は、深夜になって寒さを感じながら、自転車で広場から学校に戻る途中だった。 (略) 遠くから歌声が聞こえてきた。さらには、遠くに灯火がまたたいているのが見えた。その後、(略)驚くべき光景が出現した。灯火まばゆい呼家楼の立体交差橋の上と下に、一万人あまりの人々が集まって、守りを固めていたのだ。彼らは激情に駆られ、夜空の下で高らかに国家を歌っていた。 「我らの血と肉で新しい長城を築こう!中華民族は危難のとき、追い詰められて最後の雄叫びを上げる!起て!起て!起ち上がれ!我らは心を一つにして‥‥‥」 彼らは寸鉄も身に帯びていなかったが、自信に満ちていた。自分たちの血と肉で軍隊や戦車を阻止できると思っていた。(略) 私はついに、「人民」という言葉を本当に理解した。】/ 中国の動物園はつまらない  虎もいなけりゃ、龍も犀も牛もいない  犬と羊とカメレオンがいるばかり   地ならしの重機の音が耳を聾する  いつか、踏み固められたアスファルトの下から  ど根性大根のように  「自由」と「民主」が  頭をもたげる日が再び訪れるだろうか?/ 春節は毎年やってくる。 だが、中国の人々にあのときのような本当の春が訪れるのは、いったいいつになるのだろうか? そして、そのとき僕はその柔らかな風を、もう一度感じることができるだろうか?

Posted byブクログ

2019/05/12

 文化大革命から現代社会にかけて、社会の集団幻想から距離を置いた視点で中国社会の矛盾を淡々と語っている。著者は、父親も文化大革命で打倒され、またその時代の暴力を間近で体験した。高校生まで毛沢東と魯迅の著作しか読むことができなかった時代。文化大革命が終わったのが43年前の1976年...

 文化大革命から現代社会にかけて、社会の集団幻想から距離を置いた視点で中国社会の矛盾を淡々と語っている。著者は、父親も文化大革命で打倒され、またその時代の暴力を間近で体験した。高校生まで毛沢東と魯迅の著作しか読むことができなかった時代。文化大革命が終わったのが43年前の1976年、現在50歳以上の人はみな記憶にあるのだろう。  「領袖」、「私は千人の泣き声の中、びくびくしながら笑っていた。」に著者の視点が生々しく描かれている。

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2015/07/29

80%ぐらい筆者の文革時代の実体験的エッセイで、残りが現代中国社会の説明なんだけど小説家だからなのか修飾的、印象的であまり上手な説明ではなかった。文革時代の知識があまりない人は一読してもいいかもしれない。 全体としては、元々人治主義で社会ルールが統治者のさじ加減だった中国が、さ...

80%ぐらい筆者の文革時代の実体験的エッセイで、残りが現代中国社会の説明なんだけど小説家だからなのか修飾的、印象的であまり上手な説明ではなかった。文革時代の知識があまりない人は一読してもいいかもしれない。 全体としては、元々人治主義で社会ルールが統治者のさじ加減だった中国が、さらに文革で過去の文化的歴史的資本を短期間で破壊しつくしたので、中国社会全体が生き残るためにはなんでもありになった、そして大躍進を経てなんでもありの考え方がお金を稼ぐ方向に向いて経済発展(但し役人の水増し報告と無秩序なバブルの可能性大)したという印象を受けた。

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2014/11/03

文革の中で少年期を過ごした著者が、自身の体験を交えて現代中国を語るエッセイ。帯に「体験的中国論」と書かれているとおり、急激な経済的発展を遂げるのと引き替えに極端な格差を生み出した現代中国の問題を真面目に綴る一方で、ユーモアを交えた具体的な体験談が盛り込まれていることで、読み物とし...

文革の中で少年期を過ごした著者が、自身の体験を交えて現代中国を語るエッセイ。帯に「体験的中国論」と書かれているとおり、急激な経済的発展を遂げるのと引き替えに極端な格差を生み出した現代中国の問題を真面目に綴る一方で、ユーモアを交えた具体的な体験談が盛り込まれていることで、読み物としても非常に読みやすく、面白いものになっている。同じく帯にある「中国国内で発禁処分!」というアオリは、解説で当局からの圧力がかかった事実はないと否定されているあたり、販売戦略としてあざといを通り過ぎてえげつないかなとは思う。天安門事件を扱う微妙な話題を含むことから、中国国内の出版社には手を出しづらいというのが実情のようだ。

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2013/04/30

中国の中国人の見方の一端がわかってよかった。ただ、これが普通の中国の人の物の見方とは、思わない方が良い気がする。

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2013/03/19

原題は10のワードで読み解く中国みたいな感じで、この日本語題はティム・オブライエンの小説を連想してしまうんだが、中身を読んで、なるほどねと思わないでもなかった 知識としてなら、この本に書いてあることの90パーセントは多少中国に触れている人ならもう既に知っているだろうし、中国に興味...

原題は10のワードで読み解く中国みたいな感じで、この日本語題はティム・オブライエンの小説を連想してしまうんだが、中身を読んで、なるほどねと思わないでもなかった 知識としてなら、この本に書いてあることの90パーセントは多少中国に触れている人ならもう既に知っているだろうし、中国に興味がない人にとっては面白い内容でもないと思う ティム・オブライエンの小説は、アメリカ帰国後の元ベトナム戦争従軍兵が、フラッシュバックのように、鮮やか過ぎるベトナムの後遺症に悩まされていたが、著者の書く少年時代の文化大革命も、天安門の回想も、リグレットとして現代の社会から後遺症のように胸をうつ

Posted byブクログ

2013/01/02

作家余華さんのちゅうごくにまつわる10の話題のエッセイ。ちょうど年代も同じでわたしも、1980年代にヒッチハイクで中国を回ってから数え切れないくらい中国に行っているので、気持ちがわかります。今の中国を語るなら是非読んでもらいたい。翻訳も素晴らしい。

Posted byブクログ