宦官 改版 の商品レビュー
漢、唐、明、清代の天子の側近としての宦官の活躍(よい悪いは別として)をまとめた一冊。清流派と異なり、傍流としてしか語られない宦官にフォーカスしていた点は興味深かった。ただ中公新書ができたばかりの50年前の書物ということもあってか、私見なのか何らかの典拠を以って語っているか不明な箇...
漢、唐、明、清代の天子の側近としての宦官の活躍(よい悪いは別として)をまとめた一冊。清流派と異なり、傍流としてしか語られない宦官にフォーカスしていた点は興味深かった。ただ中公新書ができたばかりの50年前の書物ということもあってか、私見なのか何らかの典拠を以って語っているか不明な箇所が多く、信のおききれる内容となっていない点は残念。
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五十年前の著作を改版したもの。中国二千年の宦官の歴史。執筆された時代を反映してか,宦官に対する著者の嫌悪感がにじみでているのは仕方がないんだろうか。無学,がめつい,破廉恥,嫉妬深い,国を滅ぼす…彼らにつきまとう悪いイメージは歴史を記述する者によって不当に強化されてきた面もあるん...
五十年前の著作を改版したもの。中国二千年の宦官の歴史。執筆された時代を反映してか,宦官に対する著者の嫌悪感がにじみでているのは仕方がないんだろうか。無学,がめつい,破廉恥,嫉妬深い,国を滅ぼす…彼らにつきまとう悪いイメージは歴史を記述する者によって不当に強化されてきた面もあるんじゃないかな。 まあ漢,唐,明を中心に,宮廷に蠢く宦官たちの事績をまとめた内容は読み応えがある。自宮のやりかたも詳しくて,浅田次郎『蒼穹の昴』の当該場面はこの本に負うところが大とみた。政府公認の刀子匠が執刀し,切断した物を「宝」と呼んで後生大事に保管したとか。辛亥革命で消え去る運命を考えると虚しくも滑稽な何ともいえない感情をもよおしてしまう。
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宦官の歴史。改版。 古い本を読むときは、「なるほど、こうなんだな」ではなく「なるほど、こう考えられていたんだな」と読む必要がある。 (新刊でもある程度はそうだけど古い本は特にその必要がある) 歴史や思想や数字で割り切れないものなんかはどんどん新説が出て変わっていくからなおさらだ。...
宦官の歴史。改版。 古い本を読むときは、「なるほど、こうなんだな」ではなく「なるほど、こう考えられていたんだな」と読む必要がある。 (新刊でもある程度はそうだけど古い本は特にその必要がある) 歴史や思想や数字で割り切れないものなんかはどんどん新説が出て変わっていくからなおさらだ。 天動説を読むときは「宇宙の中心は地球」ではなく「宇宙の中心は地球だと考えられていた」と読む。 そうすると、なぜそう考えたのか、なぜそうではないと気づいたのか、なぜそうでなければいけなかったのか、と考えていける。 50年モノのこの本も、そうやって読むべきなんだけど半世紀は微妙だ。 明らかに古いのに過去になりきれていない。 だから時々、つい今の感覚に引き寄せて読んで、どんびきしたり怒ったりしてしまう。 ジェンダー関係は男の解釈が気持ち悪いし、上から目線はみっともないし、自国棚上げは恥ずかしい。 昔の本ではあるけれど、未だにこの感覚で生きている人をチラホラ見かけるから、「昔のこと」と笑いとばせない。 50年前の「今」の「男」の「日本人」の「健常者」の価値観で過去を解釈しているから、今の価値観で読むと変なところがいっぱいある。 1909年生まれの人が1963年に出した本としては、十分良い面を見ようとしている。 それでもやっぱり悪いことは「宦官だから」、良いことは「宦官なのに」で語られる。 女や外戚や蛮族も同様に、最初から悪いものに設定されている。 でも変だと感じるのは私が2012年現在の自分の価値観に基づいて解釈しているからだ。 結局この本よりもっと前の、宦官が現役だった時代の人たちが宦官をどう解釈していたかはわからない。 だから価値観の部分は本当はあんまり重視するべきところじゃない。 価値観の部分に目をつぶることができさえすれば、本としてはすごく面白い。 読み継がれるのも納得できる。 いくつかの本でこの本とまったく同じ描写を読んだことがある。 あれらはきっとこの本を読んで参考にしたのだろうな。 ニュースでトンデモ発言をする政治家なんかを見ると、どうやったらこんな考えに至るんだろうと不思議に思う。 こういう本を読むと、ああこれを真に受けて育った上に新たな知識の獲得を放棄したなら、ああなっちゃっても不思議はないなと思う。 たぶん前都知事とか政界でハッスルしちゃってるおじいちゃんたちはこのくらいの時代で頭の更新をやめちゃってるんだろうな。 「ブレンダと呼ばれた少年」http://booklog.jp/item/1/4895859371
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