戦国鬼譚 惨 の商品レビュー

伊東潤【著】

2020/01/03

２０２０年の一冊目は、伊東潤さんの『戦国鬼譚　惨』。どの作品も最後のどんでん返しが良い。戦国という時代が人を醜くさせてしまうのは分からなくもないが、読んでいて「人はなんと浅ましいのか……」と思ってしまう。その中で「温もりいまだ冷めやらず」だけは、なんだか心が救われる作品。

2019/11/24

短編集。
「木曽谷の証人」(木曾義昌・義豊）
「要らぬ駒」（下條一族）
「画龍点睛」（武田逍遥軒信廉）
「温もりいまだ冷めやらず」（仁科五郎盛信）
「表裏者」(穴山梅雪信君）

人を欺けば謀(たばか)られ、人を信じれば殺される。
木曾谷(きそだに)の治世をめぐり反目する木曾家当主の義昌と弟の義豊。
武田に殉じるか織田へ寝返るか――谷間に常と変わらぬ春が訪れたとき、兄弟は慟哭の中で身悶えしなければならなかった。
戦国絵巻5編

2016/01/19

木曽谷の証人 他4編の短編集。いずれも、武田軍の崩落していく姿を外側からだけでなく、内部から崩壊していく事実経過をドラマチックに描いている。親子兄弟すら戦国時代の惨は見逃がすことはない。

2014/06/17

木曽義昌、義豊兄弟、下條氏、武田信廉、仁科盛信、穴山梅雪と歴史の表舞台にはあまり出てこない人物が主人公となる物語が五編
木曽兄弟の話は悲しく、のちに義豊は義昌の子供に･･･

2014/05/21

信玄死後、一時は盛り返すものの、長篠以降は凋落の一途。
木曽義昌謀反からの瓦解の激しさは史学的にも特筆らしい。

「人は城　人は石垣　人は堀。　情けは味方　仇は敵」
と信玄は言ったらしい。(後年の創作説有り)

極限状態に陥った時、人は何を最優先するのか。
義? 情? 利? 恨? 信? 家? 欲?・・・・・
読み終わるとね、"成程、滅亡する訳だ"
納得する一冊。

2014/02/17

戦国時代の人を信じる事の危険さを、武田家崩壊にまつわる将たちを中心にまとめた一冊。短編集ではあるのだが、武田家の将と武田家滅亡というイベントがこの短編集に長編としての物語性を与えている。そして読了後に感じるこの無常観。騙し騙され滅び滅ぼされの果てで出てきた最終章のとある家の対比性とその家の大名ですら手を染めねばならぬ黒さに暗澹とする気持ちになる戦国の一面を鋭く描いた一冊。

2014/01/26

武田信玄死後、もろくも滅んだ武田氏。その滅亡に向かう武田家の家臣たちを描く短編集。
滅亡のカウントダウンのようの話しが進んでいきます。

武士道。
主君・主家のためなら、何を捨てても命がけの滅私奉公。
そういうのは、江戸太平の世で生まれたもの。特権階級となった武士が、教養として身に着けたもの。
彼ら太平に生きた者達が、教材とした時代の武士は、そんなきれいなお題目よりも、人間として生きてました。

その時置かれた状況で、どのようにして生き抜くか。あるいは死んでいくか。
そｒだけです。

2013/05/28

陰惨なタイトルどおり甲斐武田家の滅亡に巻き込まれた部将たちの末路を描いた短編集。作者への高い評価を知って読んでみたけどなるほど面白い。各人、末路は小説的にアレンジされているけれどもうっかりこれが史実と勘違いしそうなくらい滑らかに物語りが進む。テーマがテーマだけに読後感はよくないけれど、ちょっとダークな話が好きな人なら歴史物が苦手でも普通に楽しめるはず。

2013/05/07

全1巻。
短編集だけど、
全編通して武田家滅亡にまつわる話。

短編集あまり好きじゃないけど、
これは1冊通して1話みたいな感じなので
結構よかった。
むしろ
様々な立場からみた物語が、
時系列に沿って展開されていくので、
多角的に武田家滅亡を見れて興味深い。

最初と最後の話が好き。
特に最後は結構ほーって感じ。

2013/05/11

　武田信玄没後の武田家にかかわる短編ですが、どの短編もいいです。木曾谷の証人という短編が印象深く残りました。