量子怪盗 の商品レビュー
twitter上で流れてきた情報で読みたくなった作品。フィンランド(作者はフィンランド出身英国在住)がキモだったかルパンがキモだったか両方だったか(両方のような気がしてきた)。 まあとにかく「ルパン的な怪盗でSFだとうっ!?」と思ったことはハッキリ覚えている(にしてもこのタイトル...
twitter上で流れてきた情報で読みたくなった作品。フィンランド(作者はフィンランド出身英国在住)がキモだったかルパンがキモだったか両方だったか(両方のような気がしてきた)。 まあとにかく「ルパン的な怪盗でSFだとうっ!?」と思ったことはハッキリ覚えている(にしてもこのタイトルはどうか、という気持ちがあったのも覚えているw)。 青年探偵イジドールのことは数年前に南版の「奇巌城」を読み返したにも関わらずウロオボエーだったんだが、それでもルパン的エレメントが散りばめられていそうなところと、SFだということに興味を持った。 で。ざっくり感想。 なかなか面白かった。 造語や設定に慣れるまでは入り込みにくいけど、始めのイジドールのターンあたりからぐいぐい読めた。最近の作なこともあって訳も読みやすかったし。うまかったと思う。 個人的にはル・フランブールとイジドールの関係性に萌え。怪盗と探偵というのもあり……もにょもにょというのもあり(笑)。 ただ男どもは怪盗を始めとして思ったよりずっと情けないですなあ(苦笑)。それもルパン的?(笑)。もうちょっと格好良くてもよかったのに。いやこのダメさが逆にいいのか。萌えるのか。どうか。 イジドールなんかまんまそうだけど、ル・フランブールが使う偽名もルパンが使ったものばかりだし、ちらりちらりとルパン要素が出てきてニヤリ。 日本文化も出てきて、そういやルパンはジュードーの使い手だったしなあ、とか。作者の最初の作品は「Shibuya no Love」だそうでなので日本文化を好きな人なのかもしれない。まあもっとも、日本以外の各国文化も出てきたし、ギブスンぽい=サイバーパンクっぽい?と思ったけれども、そもそもサイバーパンク作品をギブソンの4作ほどでしか読んでいない上にサイバーパンクの定義をはっきりは知らないので、そういうところは単にSF的ということかもしれない。ツールとして使われやすい、みたいな。 因みに解説には「ニュー・スペースオペラ」とあった。ふーん。 一番驚いたのはこれが三部作の第一作目で続いちゃうってこと(苦笑)。てっきり一冊完結だと思ったのになあ。 道理で幾つか不明なまま終わったな……と。この不明点が次作以降で判明するのかどうなのか。例えば《開祖》が怪盗に盗ませようとしたものはなんだったのか。……あれ、ハッキリしてないよね?過去の記憶はとっかかりだよね?依頼主張本人の差し金で追われることになっちゃったけども。《開祖》達の謎も、ミエニのシダンも気になるし。 ところで、結局9人の友人達は皆、静者(クワイエット)になっちゃったんですかねえ。でもレイモンドは無事なんだよねえ。レイモンドは9人には含まれなくて、だから携帯時計(サイフ)を受け取ってなくて、文字通り引き金になるリボルバーを預かっただけ、ってことなのだろか。そこだけなんだかなあと思ったのでした。 余談だけれども、本編に「犯罪者とは、クリエイティブなアーティストなんだ。探偵なんて、ただの批評家にすぎない」という、白い怪盗様が言った台詞とよく似た台詞が出てきて、まさかあれを元にはしていないだろうからもしかして原典があったのか、これもルパンか、と、思ったら出てきた。ルパンじゃなかった。G.K.チェスタトン「ブラウン神父の童心」(の中の「青い十字架」)。でも使われ方は前者の方が近いっぽい。もしやまさか……。
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新☆ハヤカワ・SF・シリーズは去年の刊行当初から、 全巻予約注文してるのに、今回は入荷するのに、発売日から 2週間近くかかった…。 東武ブックスさん、ちょっとひどいよ…。
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電子書籍が普及する昨今、かつてのハヤカワSFシリーズの復刻というべき体裁のビニールカヴァー付ソフト・カヴァー、小口塗り、やや黄色い紙の手に馴染む「紙の本」を出す早川書房の心意気をまず称えておきたい。3年後には文庫化する商売っ気も称えておくが。 しかし中身は旬の作家たちのSFで...
電子書籍が普及する昨今、かつてのハヤカワSFシリーズの復刻というべき体裁のビニールカヴァー付ソフト・カヴァー、小口塗り、やや黄色い紙の手に馴染む「紙の本」を出す早川書房の心意気をまず称えておきたい。3年後には文庫化する商売っ気も称えておくが。 しかし中身は旬の作家たちのSFで、バチカルピだの、このライアニエミだのエキゾティックな名前も並ぶ。ライアニエミはフィンランドからイギリスに渡った人。 ニュー・スペースオペラと評される本作は、まずは人間の精神のソフトウェア化が済んだ未来の太陽系が舞台となっており、一応、肉体に宿っている人間の他、どうやらオンライン・ゲーマーの末裔と思われる、オンライン知性体のゾク、集合的意識体と思われる精神共同体(ソボールノスチ)などの人類のヴァリエーションが何やらそれぞれの利害で動いている。 海王星軌道上の監獄にソフトウェア状態で囚われている盗賊ジャン・ル・フランブールは日夜、仮想空間の中で、人工知性体と決闘のゲームを強要されていたが、そこに戦闘美少女ミエリが侵入し、フランブール(のひとつのヴァージョン)を救い出す。ミエリはソボールノスチの集合的ペレグリーニのために働いているらしく、何か訳ありだ。フランブールは否応なくミエリに働かされることになる。物語の主舞台は火星の都市ウブリエット。忘却を意味するこの都市はかつてフランブールが暮らしていたことがあり、昔の因縁がありそうだが、脱獄したフランブールのヴァージョンにはそのあたりの記憶が欠けている。 映画『タイム』では余命が通貨として流通する社会が描かれていたが、ウブリエットでも時が金である。使い果たすと、精神が抜き取られ、静者といわれる機械の操作系として使役され、その労働で時間を貯めるとまた人間に戻ることができるという社会である。抜き取られた精神は、この物語ではゴーゴリと呼ばれるが、それはその精神ソフトフェアが「死せる魂」だからである。種々のテクノロジーはさしたる説明もなく、各国語で印象的な名称が付けられて、これでもかと投入されている。 怪盗に対する名探偵は学生のイジドール・ボートルレ。そして千年紀長者ウンルー主催のパーティに怪盗からの予告状が届く。 怪盗ルパンへのオマージュ、火星シリーズへのオマージュをちりばめつつ、怪盗対名探偵の対決は実はそれほど中心的ではない。謎はフランブール自身の知らない自分の来歴であり、そしてウブリエットという都市の謎なのである。また、キャラの立った登場文物たちの絡み合い、人間兵器ミエリのアクションも大きな見せ所となっている。 とりあえずウブリエットの謎は解かれるのだが、ミエリの訳ありとフランブールの因縁はほのめかされただけで、次の舞台は地球と告げられる。これは三部作の1作目で、第2作『複成王子』はまだ読んでない。
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期待して読んだ新世代SFだったけど、正直、膨大なガジェットと複雑なプロットに振りまわされ、取っ付きにくくて面白さがわかるまでに至らなかった。残念。(と、突き放したくないような、期待感の残滓をずっと引きずってしまう、珍しいSFでした。) と、ここで終わるかと思いきや、驚きは最後に来...
期待して読んだ新世代SFだったけど、正直、膨大なガジェットと複雑なプロットに振りまわされ、取っ付きにくくて面白さがわかるまでに至らなかった。残念。(と、突き放したくないような、期待感の残滓をずっと引きずってしまう、珍しいSFでした。) と、ここで終わるかと思いきや、驚きは最後に来た。 メインプロットが終わったあと、最後にひっそりと付け加えられていた「幕間」の章にビックリ。面白い。というか、これこれ!これだよ!これの続きが読みたい!と思った。 そして思い出した。SFM2012年12月号の同作者の短編「奉仕者と龍」(面白かった!)に、この幕間の話はつながっているのだ。 というわけで、最後の最後に、次作長編への期待が膨らんだところで、オシマイ。
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すんっごく好みな作品。色々と合っていたのか、最初から最後まで面白いと思いながら読めた。途中で続編とかあればいいなーとか思ってたら、三部作の一作目とのことで、次巻も読むの決定。 好きなとこ、面白いとこはたくさんあったけど、やっぱりグッとくるのは、ここまで科学が進み、人類のあり様も...
すんっごく好みな作品。色々と合っていたのか、最初から最後まで面白いと思いながら読めた。途中で続編とかあればいいなーとか思ってたら、三部作の一作目とのことで、次巻も読むの決定。 好きなとこ、面白いとこはたくさんあったけど、やっぱりグッとくるのは、ここまで科学が進み、人類のあり様も変わっているのに、「ミステリー」があり、ロマンがあること。 未来世界を形作る魅力的なSFガジェットがいくつも登場するが、この世界の人間は、何度も生死を繰り返し、その精神もアップロードされたり、コピーされたり、作られた強化身体に入ったりと、まさしくポストヒューマンSF。情報を引き出すために、敵の精神のコピーに処理をして尋問し、応答が駄目になると前バージョンを呼び起こして再処理するところとか、もはや人間の精神に特別な何かなど宿っていない(尋問されるのは、そもそも弾丸に入っていた敵の精神のコピーなのだけど)。 「本作では無限の生の中でも、いや中だからこそ、精神は傷つき、記憶は失われ、悲劇は常にあるのだ」(解説) こんな世界でも探偵はいて、怪盗もいる。それがとてもステキ。 ルパン読んでる人は、色々とニヤニヤできるかも(怪盗ジャン・ル・フランブールの偽名とか後半の展開とか) 次作が楽しみ。
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<ジレンマの監獄>から脱獄させられた盗賊。火星でショコラティエ殺人事件を推理する探偵。ルビとガジェットとアクションが大盛り。 作者はフィンランド出身イギリス在住だそう。
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入り込めないまま読了。 登場人物はとても魅力的に描かれてるんだけど、何が起きているのかイメージ出来なくて字を追うだけになってしまった。
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まあ、面白かったけど、未解明の謎を残し過ぎ。続編が出るんだろうけど、そうやって次の作品に引っ張るのはどうかなあ。 最新の科学や技術を駆使した描写や小道具はスゴイと思うが、それだけに古びてしまうのも早そうだ。ニューロマンサーみたいにね。
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シンギュラリティ・ポスト・ヒューマンSF。に煽られて読んだ。SFの素養もあればルパンネタも豊富な冒険活劇で、面白くないわけないんだけど、面白くない。何故だろう。ラノベ風の訳がいけないのかもしれないし、造語オンパレードで原文でないとわからないのかもなあ。フィンランド?の人は楽しめる...
シンギュラリティ・ポスト・ヒューマンSF。に煽られて読んだ。SFの素養もあればルパンネタも豊富な冒険活劇で、面白くないわけないんだけど、面白くない。何故だろう。ラノベ風の訳がいけないのかもしれないし、造語オンパレードで原文でないとわからないのかもなあ。フィンランド?の人は楽しめるのだろうか。
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面倒くさい。 若い頃に読んだら良かったのかもしれんが、まず名前が覚えられんし、あちこち視点が変わるのも好きではない。 終盤盛り上がったが、そこに至る迄がタルイ。続きはもう良いわあ。
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