画本 厄除け詩集 の商品レビュー
井伏鱒二による「散文が書きたくなくなるとき,厄除けのつもりで」書いたという詩と、漢詩の日本語訳。 金井田英津子による版画絵が添えられているが、これが情景にぴったりで、詩とセットになっている感じがする。 詩作は、冬の寒さの日々の情景、赤ちょうちんに集う人々、田舎に帰ってこいという...
井伏鱒二による「散文が書きたくなくなるとき,厄除けのつもりで」書いたという詩と、漢詩の日本語訳。 金井田英津子による版画絵が添えられているが、これが情景にぴったりで、詩とセットになっている感じがする。 詩作は、冬の寒さの日々の情景、赤ちょうちんに集う人々、田舎に帰ってこいという母への慕情のような愚痴のようなもの、見回して遠くに見える故郷の山など、ちょっと寒い日々にちょっと口ずさんだようなもの。 『春さん蛸のぶつ切りをくれえ』『酒は熱いのが良い』 『ところが母者は手紙で申さるる』『田舎に帰れと申さるる』『私は四十すぎたおやじである 古びた写真に用はない』『悲しいかなや母者びと』 漢詩は、「勧酒」を『ハナニアラシノタトヘモアルゾ「サヨナラ」ダケガ人生ダ』と訳したもの(これ聞いたこと会ったけど井伏さんの訳だったんだ!)、 「春眠不覚暁」を『ハルノネザメヲウツツデ聞ケバ』と訳した「春暁」など。 漢詩の翻訳は、原語では中国の土地を訳するにあたって日本の地名に当てはめたりしていて、国は違っても想いは同じだなと思う。
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本、という物としての美しさ。詩歌というものの堅さと気安さ。井伏鱒二の知性とユーモア。好きです。国語の授業で一年くらいかけてじっくり読みたいな、今私が女子高生に戻れるなら。
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