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歴史人口学の世界 の商品レビュー

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6件のお客様レビュー

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2023/03/26

すごい気の遠くなるような作業を経て、過去の社会状況が復元されていく過程はすごい。人の出入りを何家族分、何年分もまとめていくだなんて、どれだけの時間がかかるのだろう。現在は技術も進んでいるから、この本がまとめられた当時よりは作業効率は上がっているのだろうか? 記録をとり続けてきた...

すごい気の遠くなるような作業を経て、過去の社会状況が復元されていく過程はすごい。人の出入りを何家族分、何年分もまとめていくだなんて、どれだけの時間がかかるのだろう。現在は技術も進んでいるから、この本がまとめられた当時よりは作業効率は上がっているのだろうか? 記録をとり続けてきた藩や村の役人たちは、当初の目的とは違うとはいえ、後世に多大な貢献をしている。こんな膨大な資料を、当時の人はどれだけ有効に活用できていたのか少し疑問。 少子化による人口減が叫ばれて久しいが、過去にも人口減はあり、地方から都市への人口流出も普通にあり、かなりの割合の人が都市に流れた。これは現代も同じか?そして、都市は死亡率が高い。西国では土地の売買も盛んで、家計や収穫量次第で家族の規模が可変的だった。地方は、家計に関わらず多産多死。現代とどこが同じで、どこが違うのか、比較するような本があれば読んでみたい。歴史人口学の成果が見てみたいと思った。

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2014/10/08

「武士の家計簿」という映画があった。こんなことを丹念に調べてる物好きな人もいるのだなあと思っていた。本書については何の予備知識もないまま、タイトルだけに引かれて買って読んでみた。国勢調査をはじめ、統計資料から読み解くということはわかる。あまり細かい年齢にこだわらない地域や時代の調...

「武士の家計簿」という映画があった。こんなことを丹念に調べてる物好きな人もいるのだなあと思っていた。本書については何の予備知識もないまま、タイトルだけに引かれて買って読んでみた。国勢調査をはじめ、統計資料から読み解くということはわかる。あまり細かい年齢にこだわらない地域や時代の調査では、一の位が0か5の年齢が多くなるという話はよく納得できる。しかし本書のすごさはその後の章からである。古文書を読み解いて、一つの家族の歴史まで読み取っていく。ミクロデータから読み起こした家族史の記述はすごいとしか言いようがない。いまはパソコンの威力をふんだんに使っているのだろうけれど、それまでのカードによる整理など考えただけで気が遠くなる。こういうことが何かの役に立つのかという議論は横に置くとして、こういう研究にお金(税金)をかけることができるというのは、日本が幸せな国だからなのだろうと思える。

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2013/05/09

タイトル通り、歴史人口学についての入門書として適している。 江戸時代のミクロ世界である庶民の家族形態について、宗門改帳を分析して浮かび上がらせるという手法によって、成心を去らせることが出来、また分析段階において多大な労力がなされていることが理解できた。 著者の速水融氏は正に、日...

タイトル通り、歴史人口学についての入門書として適している。 江戸時代のミクロ世界である庶民の家族形態について、宗門改帳を分析して浮かび上がらせるという手法によって、成心を去らせることが出来、また分析段階において多大な労力がなされていることが理解できた。 著者の速水融氏は正に、日本歴史人口学の先駆者である。彼の功績を称賛したい。

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2013/02/08

江戸時代の宗門改帳等により町や村の住民の動向を長期間に渡り再現する歴史人口学のパイオニアによる概説書。意義、方法、具体的事例、今後の課題等について平易に語っている。江戸時代中期以降の人口停滞は、都市の高い死亡率と農村からの出稼ぎにより説明できる等多くの興味深い成果が示されている。...

江戸時代の宗門改帳等により町や村の住民の動向を長期間に渡り再現する歴史人口学のパイオニアによる概説書。意義、方法、具体的事例、今後の課題等について平易に語っている。江戸時代中期以降の人口停滞は、都市の高い死亡率と農村からの出稼ぎにより説明できる等多くの興味深い成果が示されている。日本は、基礎的な史料が奇跡的に残っているそうで、今後も今までの歴史的常識が覆される発見が期待できそうだ。

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2012/12/25

いろんなところでその成果が用いられている速水さんの「歴史人口学」。早いところ読んでおくべきだったと後悔。歴史学というと、緻密な史料読解からの、細かなな歴史的事実を積み上げというようなイメージがついてまわる。この本は、その緻密な史料読解を膨大におこない、統計処理をかけて、マクロ的な...

いろんなところでその成果が用いられている速水さんの「歴史人口学」。早いところ読んでおくべきだったと後悔。歴史学というと、緻密な史料読解からの、細かなな歴史的事実を積み上げというようなイメージがついてまわる。この本は、その緻密な史料読解を膨大におこない、統計処理をかけて、マクロ的な傾向を導き出している。都市では人口が減るから、農村から都市への出稼奉公という名の労働人口移動でバランスをとっていたことや、土地取引が労働力人口の増減と呼応しているということなど、興味深い視点ばかり。

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2012/11/29

本当にマニアックな世界。 数百年前の、ごく平凡な人々の人生をたどる・・・・など、どこか「のぞき趣味」的っぽくもないではないですが。 コンピューターも充分に使用できなかったときに、この緻密な調査と研究には脱帽です。 ただ・・・・、やっぱり、惹かれる学問分野ではありませんね。

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