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火山のふもとで の商品レビュー

4.3

103件のお客様レビュー

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2012/11/12

老建築家が主催する設計事務所に入所した若き建築士が主人公。 老建築家は、故吉村順三氏がモデル。 舞台は約30年前の1982年の夏。 夏の間だけ北浅間の別荘地に移した仕事場を舞台に、 国立現代図書館の設計コンペの作業を縦軸に、 そこで芽生えたほのかな恋愛を横軸に。。 いやあ、うまい...

老建築家が主催する設計事務所に入所した若き建築士が主人公。 老建築家は、故吉村順三氏がモデル。 舞台は約30年前の1982年の夏。 夏の間だけ北浅間の別荘地に移した仕事場を舞台に、 国立現代図書館の設計コンペの作業を縦軸に、 そこで芽生えたほのかな恋愛を横軸に。。 いやあ、うまい小説でした。 建築家・建築設計というとても珍しく、難しい小説設定で、 どうせ、ちょっと格好いい主人公がナニしてナニする話だろ、などと 買うのもためらったのですが、、いやいやトンデモナイ。 読んで良かった。 建築設計の仕事(30年前の)や、モデルとなった吉村氏の建築の持つ雰囲気、 建築の意義など、とても丹念に描かれている。 北欧の建築家アスプルンドの話など、逆に勉強になってしまった。 そもそも小説中の言葉の使われ方が丁寧。 季節ごとの風景、動植物の描写も、しっかりした描き込みで、 これが氏の処女作とは思えない。 コンペ作業の描写(そもそもこんなシーンを描いた、日本の小説ははじめなのでは?)が、 家具の設計に重心が当てられていたのには、 若干、物足りなさを感じるものの、 老建築家は言う「建築は、芸術ではなく、現実なんだよ」と。 終盤、年齢を重ねた主人公が、かつての夏の家(仕事場)を訪れるシーン、ここは、いい場面です。 「建築は、記憶」でもあるのだな、と痛感させられた。

Posted byブクログ

2012/10/19

淡々と、だけど丁寧に日常を描いた作品でした。 しなやかに流れるように言葉がつづられていて、読んでいてとても気持ちがよかったです。 ストーリーの派手さはないけれど、それがかえって良かった気もします。 建築やインテリアに詳しい方なら、もっと楽しめるんだろうなあと思うと、羨ましい気がし...

淡々と、だけど丁寧に日常を描いた作品でした。 しなやかに流れるように言葉がつづられていて、読んでいてとても気持ちがよかったです。 ストーリーの派手さはないけれど、それがかえって良かった気もします。 建築やインテリアに詳しい方なら、もっと楽しめるんだろうなあと思うと、羨ましい気がします。

Posted byブクログ

2012/08/28

新潮7月号を読みました。 浅間山が好きなので、そのふもとででの出来事。 ちょっと懐かしい感じもあります。 建築やデザインの好きな方にはお薦め。 後半の先生の言葉ひとつひとつに重みが感じられます。 アスプルンドの本、思わず購入してしまいました。

Posted byブクログ