火山のふもとで の商品レビュー
老建築家が主催する設計事務所に入所した若き建築士が主人公。 老建築家は、故吉村順三氏がモデル。 舞台は約30年前の1982年の夏。 夏の間だけ北浅間の別荘地に移した仕事場を舞台に、 国立現代図書館の設計コンペの作業を縦軸に、 そこで芽生えたほのかな恋愛を横軸に。。 いやあ、うまい...
老建築家が主催する設計事務所に入所した若き建築士が主人公。 老建築家は、故吉村順三氏がモデル。 舞台は約30年前の1982年の夏。 夏の間だけ北浅間の別荘地に移した仕事場を舞台に、 国立現代図書館の設計コンペの作業を縦軸に、 そこで芽生えたほのかな恋愛を横軸に。。 いやあ、うまい小説でした。 建築家・建築設計というとても珍しく、難しい小説設定で、 どうせ、ちょっと格好いい主人公がナニしてナニする話だろ、などと 買うのもためらったのですが、、いやいやトンデモナイ。 読んで良かった。 建築設計の仕事(30年前の)や、モデルとなった吉村氏の建築の持つ雰囲気、 建築の意義など、とても丹念に描かれている。 北欧の建築家アスプルンドの話など、逆に勉強になってしまった。 そもそも小説中の言葉の使われ方が丁寧。 季節ごとの風景、動植物の描写も、しっかりした描き込みで、 これが氏の処女作とは思えない。 コンペ作業の描写(そもそもこんなシーンを描いた、日本の小説ははじめなのでは?)が、 家具の設計に重心が当てられていたのには、 若干、物足りなさを感じるものの、 老建築家は言う「建築は、芸術ではなく、現実なんだよ」と。 終盤、年齢を重ねた主人公が、かつての夏の家(仕事場)を訪れるシーン、ここは、いい場面です。 「建築は、記憶」でもあるのだな、と痛感させられた。
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淡々と、だけど丁寧に日常を描いた作品でした。 しなやかに流れるように言葉がつづられていて、読んでいてとても気持ちがよかったです。 ストーリーの派手さはないけれど、それがかえって良かった気もします。 建築やインテリアに詳しい方なら、もっと楽しめるんだろうなあと思うと、羨ましい気がし...
淡々と、だけど丁寧に日常を描いた作品でした。 しなやかに流れるように言葉がつづられていて、読んでいてとても気持ちがよかったです。 ストーリーの派手さはないけれど、それがかえって良かった気もします。 建築やインテリアに詳しい方なら、もっと楽しめるんだろうなあと思うと、羨ましい気がします。
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新潮7月号を読みました。 浅間山が好きなので、そのふもとででの出来事。 ちょっと懐かしい感じもあります。 建築やデザインの好きな方にはお薦め。 後半の先生の言葉ひとつひとつに重みが感じられます。 アスプルンドの本、思わず購入してしまいました。
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