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小説フランス革命(8) の商品レビュー

3.9

12件のお客様レビュー

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2021/02/08

 ジロンド派とジャコバン派が争いを繰り広げているなかで、ついにこの巻の最後でルイ16世がギロチン台にかけられる。フランス革命のギロチン台というとマリーアントワネットのイメージが強かったが、ルイ16世が次第にその運命を受け入れてゆく、自分のことを見直してゆくシーンが印象的だった。こ...

 ジロンド派とジャコバン派が争いを繰り広げているなかで、ついにこの巻の最後でルイ16世がギロチン台にかけられる。フランス革命のギロチン台というとマリーアントワネットのイメージが強かったが、ルイ16世が次第にその運命を受け入れてゆく、自分のことを見直してゆくシーンが印象的だった。この小説を通じてルイ16世の存在感は大きい。

Posted byブクログ

2018/04/29

ルイ16世が処刑されてしまった…。5巻「王の逃亡」の感想でルイのこと中二ってこき下ろしたけど、ここまで革命側と対峙し、裏工作も使って、逃げずに無気力にならずによくやったと思う。戦争やインフレ、飢え、格差など、いろんな要素がカチカチとはまっていき、王の処刑は必然の流れになってしまっ...

ルイ16世が処刑されてしまった…。5巻「王の逃亡」の感想でルイのこと中二ってこき下ろしたけど、ここまで革命側と対峙し、裏工作も使って、逃げずに無気力にならずによくやったと思う。戦争やインフレ、飢え、格差など、いろんな要素がカチカチとはまっていき、王の処刑は必然の流れになってしまった。転がり始めてしまった歴史の恐ろしい動きに、ミラボーが死んだ4巻「議会の迷走」と同じくらいの衝撃を受け、読み終わった後、しばらく力が入らなかった。 1792年8月10日の蜂起により国王一家は捕らえられ、議会も停止。新たに普通選挙が行われ、国民公会が開かれる。ブルジョワ以外も議員として選ばれる国民公会はこれまでより過激になり、王政が廃止され共和政が樹立、ルイは裁判にかけられ、1793年1月21日処刑される。 さまざまな要素がはまったのはしかし偶然ではない、人々の、雲のように形がないけれどうねるような思いを、先に立っておこなって見せる人、言葉として形にすることができた人がいたから。ダントン、デムーラン、ロベスピエール。ここにきてようやく3人が超重要な役割を果たすのだが、それが決して1つの思いではなかったのが悲しい。いや最終的に見ているところは同じなのかもしれないけれど、程度感や方策は必ずしも一致していない。そしてそれはそのまま溝になっていく。 前の巻から登場したロラン夫人がここでは素晴らしい観察者として読者の目の代わりになってくれている。もちろん彼女こそがジロンド派のさまざまな施策立案者であり、当事者そのものだが、表立って動けない(女だから)こともあって、傍観者の役割も果たしている。彼女だけがロベスピエールの恐ろしさをわかっていた(直感していた?)ようで、ジロンド派のほかのメンバーが見えてないところまで見えている。 ダントンは田中角栄みたいな自民党の首領みたいな人物。パワーバランスの中で生き抜くのが上手いし、下手してもしぶとく生き延びる。こういうの政治家っていうんだろう。デムーランが弱さと優しさ正義感と愚かしさをあわせ持ち、いちばん共感できる。いちばんまともだが新聞記者はそういう部分がないと。ロベスピエールのすごさをいちばん言い表しているのはここ→「行動なら自分たちでもできる。できないのは、その正しさを言葉に置き換えることだ。ロベスピエールは、これまでも言葉をくれた。」そうなのだ、行動するダントンやデムーランよりもすごいのはそこなのだ。虐殺行為が正しいと、裏付けをしてくれる。民衆が熱狂する理由がわかって言葉ってなんて恐ろしいものだろうと身震いしてしまった。 力を持った民衆はやはり怖い。狂ってしまったパリの凄惨な様子とでたらめな判決。人を殺して少しは気が咎めるだろうに、「それで良い」と認める言葉により人々の行為は肯定される。言葉により先導されるのはポピュリズムではないだろうか。サン=ジュストの「国王は敵だ」という演説もそう。こんな恐ろしいことにならないためには人の言葉に頼るのではなく、 自分の言葉を持つこと(自分で考えること)だと強く思った。 ルイは王政の象徴として死んでいった。「人は人を所有するという考えは間違いである」という事実を明らかにするための生贄だった。ギロチンにかけられた一瞬の刹那、アントワネットを思いながら、彼女が自分の所有物ではないこと、フランス国民は自分のものではないこと、人間が人間を所有することはできないということに気づく。頭ではわかっていても実感できていなかった、ただ愛すればよかったのだということに最後の最後に気づく。彼が家族を思い、家族の無事を願って早く裁判を終わらせて犠牲になろうと考えたことに涙が出る。だって結局家族は救われなかったのだから。

Posted byブクログ

2016/08/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 ジロンド派が自分たちの政権を守る為に王を温存し、共和制の樹立を阻止するのに対抗して、ダントンは、サン・キュロット達と共に蜂起する。  そして、今度は蜂起を成功させ、ルイ16世一家をタンプル塔に押し込めることに成功する。 しかし、ジロンド派の勢力は強く中立を望む者も多くて、王制を完全に廃止する為の、ルイ16世の処刑は難航する。 ロベスピエールが万策尽きたかの時に、登場したのが、美貌のサン・ジェスト。 彼の「王であったこと自体が罪である。」という演説によって、形勢は変わり、ついにルイ16世の処刑が決定する。  それまでの処刑方法があまりに残酷だったので、ギロチンが発明された。という話は知っていましたが、撲殺だとかはあまりにひどすぎて信じられませんでした。 又、自分を処刑することになるギロチンの発明に、ルイ16世が本当に手を貸していたのか?これは大いに疑問に思いました。

Posted byブクログ

2016/01/05

いよいよフランスがきな臭くなってきた1792年。民衆は熱狂し、総選挙で選ばれた議員たちもその熱狂に乗せられる。わずか2日の審議で800年間続いた王朝は消滅し、フランスは共和制国家となる。さらにはルイ16世の死刑判決。 強烈な世論の後押しで政治が極論に走ってしまうのは、日本で民主...

いよいよフランスがきな臭くなってきた1792年。民衆は熱狂し、総選挙で選ばれた議員たちもその熱狂に乗せられる。わずか2日の審議で800年間続いた王朝は消滅し、フランスは共和制国家となる。さらにはルイ16世の死刑判決。 強烈な世論の後押しで政治が極論に走ってしまうのは、日本で民主党政権が誕生したときとよく似ている。鳩山首相の立場にいるのが、ロベスピエール&サン・ジュストの師弟コンビか。 そんな国内の熱狂を覚めた目で見つめながら、ギロチン台に向かうルイ16世。彼は自分を死罪にした人民を許し、フランスを愛し続けた。彼の願いは自らの死によってフランスに冷静さを取り戻してほしかった。しかし、彼の願いは叶うことがない。ルイ16世の処刑は、今後の恐怖政治のはじまりだ。

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2013/02/24

とうとうルイ十六世が断頭台の露に。二巻かけてジリジリさせてから、八巻後半での王の断罪までの展開の早さ。緩急が見事。

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2013/01/06

この巻はルイ16世が捕らえられ、処刑されるまでの間の話ですが、登場回数が一番多いのはデムーランでしょうか。もう少しロベスピエールやマリー・アントワネットの心情も書いて欲しかったなあと思いました。 無政府状態となり、たがの外れた大衆の恐ろしさに戦慄します。 ルイ16世が最後の処刑さ...

この巻はルイ16世が捕らえられ、処刑されるまでの間の話ですが、登場回数が一番多いのはデムーランでしょうか。もう少しロベスピエールやマリー・アントワネットの心情も書いて欲しかったなあと思いました。 無政府状態となり、たがの外れた大衆の恐ろしさに戦慄します。 ルイ16世が最後の処刑される段階で、国王としてのあるべき姿を悟る場面に何とももの悲しさを覚えます。

Posted byブクログ

2012/12/18

小説フランス革命の第8巻。革命はいよいよ第2フェーズへ。政党の乱立、決められない議会。煽り煽られ、爆発する民衆の感情(このあたり、どこぞの国の状況に似ているかも)。そして王政の廃止、ルイ16世の処刑へと暴走する感情の流れ。。 息もつかせぬスピード感は、フランス革命物語の一つのク...

小説フランス革命の第8巻。革命はいよいよ第2フェーズへ。政党の乱立、決められない議会。煽り煽られ、爆発する民衆の感情(このあたり、どこぞの国の状況に似ているかも)。そして王政の廃止、ルイ16世の処刑へと暴走する感情の流れ。。 息もつかせぬスピード感は、フランス革命物語の一つのクライマックス的場面だからというのもあるが、様々な登場人物のそれぞれの視点から描かれた生々しい感情の描写がすごい。ルイ16世が議会の証言台で覚悟を決める場面などは、特にシビれた。ここまでの8巻の中での最高傑作だと思います。 全12巻(予定)で残り4巻。12月、3月、6月、9月に刊行予定という。海外に住む身ながら、発刊と同時に買うしかない♪ 今年100冊目。

Posted byブクログ

2012/11/17

シリーズ第8巻。前巻のロベスピエールから、あれ?と思う展開でしたが楽しめました。今回の主役(独白者)はデムーラン、ルイ16世、ロラン夫人、ほんのちょっとロベスピエールです。

Posted byブクログ

2012/11/12
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

やはり革命は行き着くところまで行かざるを得ないのか。人民裁判に名を借りた虐殺が横行するパリ。革命の主人公たちは、許される一線までは遠慮なくやると言い切る。そして、ルイ16世、王政廃止後ルイ・カペー、は国民公会における投票で一票差の死刑となり、バスティーユの陥落から僅か4年後、自ら刃の形に改良を加えた断頭台ギヨティーヌの露と消える。「私は無実の罪で死にます。けれど、私は私の死を演出した人々を許します。このような方法で流れる血が、私のあと、二度とフランスに流れることがないようにも祈ります」との言葉を残して。

Posted byブクログ

2012/11/01

ジロンド派とモンテーニュ派の対決から、ルイ十六世の処刑へと劇的な展開を記す第四巻。絶対王制が過酷であった故に、特に悪辣な国王でもなかったのに処刑されざるを得なかった歴史の不条理だね。次号はいよいよモンテーニュ派(ジャコバン派)独裁へ。

Posted byブクログ