二つの「競争」 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
コンペティションは、負けないようにする競争観であるのにたいし、エミュレーションは、勝とうとする競争観である。負けないようにする競争観には、敗北によって自分自身を見つめなおし、競争の過程で見失っていたかもしれない自分自身、自己への関心を取り戻させる機能が含まれている。この競争観は、自分自身を見つめ直す契機として競争を捉えている。勝とうとする競争観は、勝利を得るための工夫・技術の思考を導くので、ひとつ誤れば、勝利を渇望するあまり、自分本来の領分を見失い、自己への配慮と関心を置き去りにしてしまうかもしれません。
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競争を巡る議論の錯綜の原因を、競争における「エミュレーション」と「コンペティション」の二側面の混同と捉え、アダム・スミスやその思想的背景となっているギリシア古典哲学の考えを踏まえて分析していく。説明が分かりやすく、参考文献も充実した良い新書。
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最近、評判が悪いという「競争」について、完全競争論の検討、アダム・スミスの再読、古代ギリシャ哲学での議論等をふまえて検討している。現代の経済学の分野では、競争観が複数あり、それが「負けないようする」競争観コンペティションと「勝とうとする」競争観エミュレーションだとしている。このあ...
最近、評判が悪いという「競争」について、完全競争論の検討、アダム・スミスの再読、古代ギリシャ哲学での議論等をふまえて検討している。現代の経済学の分野では、競争観が複数あり、それが「負けないようする」競争観コンペティションと「勝とうとする」競争観エミュレーションだとしている。このあたりの議論での経済と哲学の間に橋を架けたいとの著者の熱意は、良く伝わってくる。コンペティションを新しい競争観としてお勧めのようだが、しかし、これを競争そのものを嫌っている日本人を治療するための処方箋にするには難しいだろう。
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アダム・スミスの「道徳感情論」と「国富論」を参考に競争の概念について紐解いていく本。全体的に内容が非常に難解でほとんど理解できなかったため退屈であった。本書では上記2作品に出てくる競争という意味の単語である「エミュレーション(勝とうとする)」と「コンペティション(負けないようにす...
アダム・スミスの「道徳感情論」と「国富論」を参考に競争の概念について紐解いていく本。全体的に内容が非常に難解でほとんど理解できなかったため退屈であった。本書では上記2作品に出てくる競争という意味の単語である「エミュレーション(勝とうとする)」と「コンペティション(負けないようにする)」についてどうゆう意図で使い分けられているかを考察し、アダム・スミスの思考の変遷を説いた。
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