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フェッセンデンの宇宙 の商品レビュー

4.1

15件のお客様レビュー

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2013/01/31

amazonで目にした瞬間、懐かしさのあまりに速攻クリックしました。小学生の頃、学校の図書館に収められていた子供向けの「SF全集」に「フェッセンデンの宇宙」が掲載されていて、読了直後は本気で恐くて眠れなかったことを覚えています。 数十年ぶりに再読して、そりゃ子供にはトラウマになる...

amazonで目にした瞬間、懐かしさのあまりに速攻クリックしました。小学生の頃、学校の図書館に収められていた子供向けの「SF全集」に「フェッセンデンの宇宙」が掲載されていて、読了直後は本気で恐くて眠れなかったことを覚えています。 数十年ぶりに再読して、そりゃ子供にはトラウマになるよなぁと納得。子供にも判りやすい寓意に満ちた、発表から一世紀近く経ってもその本質は古びない名作です。子供の頃読んだのは、どっちのバージョンだったんだろう?1937年版と1950年版、かなり印象が異なるので驚きました。ただ、どちらのバージョンも、主人公が「滅ぼしてはいけない」と決意する極小文明の描き方が非常に欧米系の理想主義寄りで、この歳になると若干の違和感は禁じ得ませんでしたね。 その他の短編も、今読むと古臭さを感じるのは否めませんが、それを差し引いても充分読み応えのある佳作ばかりです。あの華々しくもぶっ飛んだ「キャプテン・フューチャー」シリーズを生み出した作家と同一人物とは思えない、地に足の着いた思慮深さを感じます。「向こうはどんなところだい?」は、スペースオペラ的世界観を真っ向から覆す、SF者として衝撃的とも言える内容。スペースオペラの代名詞とも言えるハミルトンがこれを書くという、SFの懐の深さに痺れますね。 鴨的に印象深かったのは、「太陽の炎」「世界の外のはたごや」。自らのちっぽけさ、愚かさを心底理解しつつも、それでも挑戦し続けずにはいられない地球人類のバイタリティをリリカルに表現した、地味だけれど心に残る作品です。ハミルトンの作品は、押し付けがましくないから良いんですよねぇ。こういうきりっと引き締まった短編、今のSF作家にも是非書いて欲しいです。

Posted byブクログ

2012/11/18

これは面白かったです。 表題作の終盤で示される見解は、いまとなっては使い古されたネタとの感想を禁じ得ないが、だからこそ本作は古典的名作と評されるのだろう。 このように全体を通じてどこか既視感があって、古めかしさを感じながら読み進めていた。 しかし、アイデアや構想が古典的でも、物...

これは面白かったです。 表題作の終盤で示される見解は、いまとなっては使い古されたネタとの感想を禁じ得ないが、だからこそ本作は古典的名作と評されるのだろう。 このように全体を通じてどこか既視感があって、古めかしさを感じながら読み進めていた。 しかし、アイデアや構想が古典的でも、物語で描かれるドラマが朽ちることはない。アイデアを単なるアイデアとして抑えておいて、登場人物の情緒的側面に焦点をあてた「向こうはどんなところだい?」や「翼を持つ男」といった作品は、本書中で印象に強いです。 「向こうはどんなところだい?」は、ロマンティシズムの強い火星開発の影を描く、思いっきりシニカルな内容でした。 悲惨な火星開発から無事帰還した主人公。そんな彼を持ちうける好奇な眼差しの数々。彼は真実を語りたいが、それらの眼差しが真実の口外を許さない… 夢見る宇宙探検を真っ向からぶった切った本作は、当時からすると、かなり異端な作品なのでは?と思ったら、実際「冷厳すぎる」との理由で、どの雑誌からも突き返されたようだ。 とにかく主人公の苦悩がせつなくて、心に響く傑作でした。 「翼を持つ男」は表題通り、遺伝子の変化により背中に翼が生えた男の顛末を描く作品。せつなくて悲しい、だけど確かな優しさを感じさせる物語で、やっぱりこういう作品に弱いんだなぁと自知のおもいでいっぱいです。

Posted byブクログ

2016/01/17

表題作はもちろん、各作品とも短編として無駄がなくて、鋭いセンスが気持ちいい。名シリーズ異色作家短編集を彷彿とさせるキレのよさ。大変好みなので河出さんには他の短編も再編してほしい!個人的お気に入りは「向こうはどんなところだい?」のいかにも短編!な書きぶりと、ラファティ「翼の贈りもの...

表題作はもちろん、各作品とも短編として無駄がなくて、鋭いセンスが気持ちいい。名シリーズ異色作家短編集を彷彿とさせるキレのよさ。大変好みなので河出さんには他の短編も再編してほしい!個人的お気に入りは「向こうはどんなところだい?」のいかにも短編!な書きぶりと、ラファティ「翼の贈りもの」を彷彿とさせつつも空を飛ぶ描写がきもちいい「翼を持つ男」。フェッセンデンは50年版のほうが書きかたが自然な感じがして好み。

Posted byブクログ

2012/10/13

見たことも読んだことも無いけど 『キャプテンフューチャー』や 残念ながら見た記憶がある『スターウルフ』のイメージがあるが 「向こうはどんなところだい?」この乾いた、虚無感漂うドラマは、 それだけでこの本を読む価値あり。 「とにかく、そうしなければいけないように思えたんだ」

Posted byブクログ

2012/09/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

著者のエドモンド・ハミルトンは一般的には『キャプテン・フューチャー』シリーズの作者で有名ですが、スペオペじゃない短編もなかなかのモノです。 表題作の「フェッセンデンの宇宙」は、雑誌発表時(1937年)のバージョンと書籍化のために改稿されたバージョン(1950年)の二つが納められているので、読み比べてみることができます。個人的には1937年版の方がマッド・サイエンティストさがより出ていて好みです。 あと「翼を持つ男」はとても良い感じの作品です。これは是非映像化してほしいなぁ。 佳品が多かったのにはちょっと意外でした。E・/ハミルトンはもう少し評価されてもいいんじゃないでしょうか。

Posted byブクログ