ねじの回転 の商品レビュー
じりじりと不協和音を聞かされているような感覚。 怪奇小説といいつつも、決して身の毛のよだつような恐ろしさはない。きっと何らかの精神世界のメタファーなんだろうなぁと思いつつ読み進めたが、それがはっきりと明示されるような表現があるわけではないから最後までいまいちすっきりせず。 確かに...
じりじりと不協和音を聞かされているような感覚。 怪奇小説といいつつも、決して身の毛のよだつような恐ろしさはない。きっと何らかの精神世界のメタファーなんだろうなぁと思いつつ読み進めたが、それがはっきりと明示されるような表現があるわけではないから最後までいまいちすっきりせず。 確かに解説でも書かれているように、性への目覚めを感じさせるところはあったけど、ならば最後のマイルズの死は何を意味するんだろう。 語り口に惹かれず2時間半くらいでさくっと読んでしまったけど、じっくり何度も読み返していろいろなことに気づく作品なのだと思う。 村上春樹の東京怪奇譚が思い出された。
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怪奇が起こる屋敷についての話だと思って読み始めたけど、だんだんこの語り手が恐れている亡霊は二人の子供たちに迫る「性の目覚め」を象徴するものなんじゃないか?という気がしながら読んだ。解説を読むに当たらずも遠からずというか、いろいろな解釈が可能であるように書かれた話のようで、怪奇の正...
怪奇が起こる屋敷についての話だと思って読み始めたけど、だんだんこの語り手が恐れている亡霊は二人の子供たちに迫る「性の目覚め」を象徴するものなんじゃないか?という気がしながら読んだ。解説を読むに当たらずも遠からずというか、いろいろな解釈が可能であるように書かれた話のようで、怪奇の正体に思いをめぐらせて楽しんだ読者としては、書き手の狙ったとおりというところか。 巻末の訳者あとがきが軽快で地味に楽しい。読みやすい訳文で、原文の難解さはだいぶ緩和されていたのでは。
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オチは今となっては珍しく無いが、神に背くゴーストやモンスターを祓って終わり!ハッピー!な内容ではない。脅威が迫ってきているのに上手く行かない、守る子供も邪悪な幽霊に魅了されている絶望的な状況が終始主人公の視点で展開されていく。100年以上前の作品とは思えないほど状況は分かりやすく...
オチは今となっては珍しく無いが、神に背くゴーストやモンスターを祓って終わり!ハッピー!な内容ではない。脅威が迫ってきているのに上手く行かない、守る子供も邪悪な幽霊に魅了されている絶望的な状況が終始主人公の視点で展開されていく。100年以上前の作品とは思えないほど状況は分かりやすく書かれていて読みやすい。
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本当は岩波文庫だったけど表示されなかったので。 表現が遠回しすぎて解説がないとわからない部分もあった。 やっぱ教師がノイローゼ説に1票。
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怪奇小説として有名な本作。怪談話をすることになった男性がすでに亡くなった知り合いの女性の手記を読みます。彼女は家庭教師先で幽霊と出会うのですが前半はとにかく彼女の懊悩ばかりで全く幽霊の怖さが伝わってこず、読みにくかったです。後半一気に話が動き始め、読むスピードも上がったのですが、...
怪奇小説として有名な本作。怪談話をすることになった男性がすでに亡くなった知り合いの女性の手記を読みます。彼女は家庭教師先で幽霊と出会うのですが前半はとにかく彼女の懊悩ばかりで全く幽霊の怖さが伝わってこず、読みにくかったです。後半一気に話が動き始め、読むスピードも上がったのですが、たどり着いたラストシーンには驚愕しました。その後戻ったり読み返したりして、自分なりの答えを見つけましたが、読まれた方によってきっと違う解釈があると思います。これはきっちりした日本の怪談とは違う不安定さが魅力なのかもしれません。
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訳:土屋政雄、解説:松本朗、原書名:THE TURN OF THE SCREW(James,Henry)
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うー。素敵な本だな。お屋敷に家庭教師として雇われた若い女。子供らの美しさ、住み込みの生活に満足するも、前任者の幽霊らしき物を見てしまう。あの二人は子供達を連れ去ってしまう!幽霊はいるんでしょうよ。描写も間違ってないようだし。そのストレスによる神経の揺らぎが話のメインであり、海の堤...
うー。素敵な本だな。お屋敷に家庭教師として雇われた若い女。子供らの美しさ、住み込みの生活に満足するも、前任者の幽霊らしき物を見てしまう。あの二人は子供達を連れ去ってしまう!幽霊はいるんでしょうよ。描写も間違ってないようだし。そのストレスによる神経の揺らぎが話のメインであり、海の堤防が決壊するのを今か今かとハラハラするように、頼りない彼女の精神状態の描写が素晴らしかった。ナニー(子守り)のグロースさんがいい人すぎ。自分だったら主人公にキレる。
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サスペンスだろうか。 1世紀以上前の小説だというのに、結末を握り続ける著者が妬ましい。 訳もわかりやすく、いわゆる古典はこちらを頼ろう。
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出だしが面白い。いったいどんな話が、とそそられる。 内容も最後まで読める。今とは価値観がが違うので、そこはちょっと障害。
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# ねじの回転 クリスマスの夜に怪談を語り合う会で、「わたし」はダグラスという男が、彼の妹の家庭教師であった女性の手記を読み上げるのを聞く。物語の本体は、この手記を「わたし」が書き直したものである。 家庭教師が田舎の屋敷に赴任するとそこで二人の亡霊を目撃する。女中頭のグロース...
# ねじの回転 クリスマスの夜に怪談を語り合う会で、「わたし」はダグラスという男が、彼の妹の家庭教師であった女性の手記を読み上げるのを聞く。物語の本体は、この手記を「わたし」が書き直したものである。 家庭教師が田舎の屋敷に赴任するとそこで二人の亡霊を目撃する。女中頭のグロースに特徴を伝えると、屋敷の従者と前任の家庭教師らしい。生徒の兄は学校を退学になって屋敷に戻ってきているが、兄妹とも亡霊が見えているのかはっきりしない。グロースにも見えているのか分からない。何しろ家庭教師の一人称なので、その辺がとても疑わしい。 最後に兄は死んでしまうが、この兄が手記を読んだダグラスのはずなので、辻褄が合わない。「わたし」の創作部分なのだろうか。 ダグラスは家庭教師に恋心を抱いていたという仄めかしもある。グロースの物言いは常に中途半端で何が言いたいか分からない。家庭教師が思い込んでいるだけとも考えられる。家庭教師は雇い主である兄妹の叔父に惚れているという読み方ができないこともない。 そんな感じで多様に解釈できる要素がたくさんあるので、非常にもやもやする。 独自の読み方をするのが好きであればよいが、答え合わせを望む僕のような読者にとっては消化不良感が否めない。
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