占領都市(2) の商品レビュー
帝銀事件をモチーフに”被害者”、”刑事”、”記者”、”犯人”など十二の視点・文体で描かれる占領下の東京。その凄まじいまでの闇の濃さに圧倒される。作中に満ちた呪詛と怨嗟の声がもたらすバッド・トリップのようなグルーブ感がとにかくサイコー。嗚呼、この禍々しい世界にいつまでも浸っていたい...
帝銀事件をモチーフに”被害者”、”刑事”、”記者”、”犯人”など十二の視点・文体で描かれる占領下の東京。その凄まじいまでの闇の濃さに圧倒される。作中に満ちた呪詛と怨嗟の声がもたらすバッド・トリップのようなグルーブ感がとにかくサイコー。嗚呼、この禍々しい世界にいつまでも浸っていたい……
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五年ぶりの第二作。前作の崩壊した文体のトラウマが濃く、かなり気合を入れて意気込んでチャレンジしてみたが、意外なほどさくさく進み、あっと言う間に読了してしまった。この五年間の読書経験から、ある程度の免疫が出来ていたようだ。チリも積もれば何とやら、である。 さて肝心の中身だが、十二...
五年ぶりの第二作。前作の崩壊した文体のトラウマが濃く、かなり気合を入れて意気込んでチャレンジしてみたが、意外なほどさくさく進み、あっと言う間に読了してしまった。この五年間の読書経験から、ある程度の免疫が出来ていたようだ。チリも積もれば何とやら、である。 さて肝心の中身だが、十二の章から構成され、それぞれが違う人物の視点で描かれている。『藪の中』にオマージュを捧げた手法が見事にハマり、帝銀事件という社会性の強い事件を多角的に映すことに成功している。文体も語り口もまったく異なるこれらの章は、語り手の目線によって覚書や小説に変化する。この変幻自在のスタイルが単純に自分に合ってたのだろう。もちろん、ピース独特の、狂気めいた内なる叫びも効いている。 帝銀事件の謎は表面で、占領都市の実態というドス黒さが根底に横たわっている印象を持ちながら読んでいた。戦後は戦争がビジネスになるのかと思うと空恐ろしくなったりする。余計なお世話だが、帝銀事件について何らかの決着を望むならば、予習しておいた方が懸命かも。どの章を採用するかは読者次第。解決させるのも読者自身なのだから。
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デイヴィッド・ピースの新作にして東京三部作の第二作。 今回は帝銀事件をベースに被害者、記者、刑事・・・と様々な人々の視点で事件が語られる。 読後感はまさに百物語を聞き終えた後の不気味さが残る。混沌とした占領下の日本を舞台にした怪談。 第一印象はすごく読みやすいこと。これまで...
デイヴィッド・ピースの新作にして東京三部作の第二作。 今回は帝銀事件をベースに被害者、記者、刑事・・・と様々な人々の視点で事件が語られる。 読後感はまさに百物語を聞き終えた後の不気味さが残る。混沌とした占領下の日本を舞台にした怪談。 第一印象はすごく読みやすいこと。これまでのD・ピースのカオスな文章はやや控えめ。それに少々短い。今までの長編の半分くらいの長さなのではないかな。 それでも、D・ピースの魅力はガンガンに詰まった1冊でした。 おもしろかった。
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