微笑む人 の商品レビュー
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語り手である"小説家である私"が手がけた本、という形で進むストーリーが読みやすい。これにより事件の中心人物である仁藤の複雑すぎる人柄や過去、そして真相という闇が、読者に伝わりやすくなっていると考えられる。 禁忌の観念のズレ。恐ろしい。
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人当たりのいいエリート銀行マンが妻子を殺す。 そんなことでと思われる動機に不審を覚えた一作家が、彼の過去を追う。 関わりのある人を訪ねて幼少期まで遡る。 が、だからといってそれが腑に落ちるという結末ではなかった。
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ルポを書く小説家とのこと。 これからおもしろくなりそうだ!という時にあっさり打ち切られたようなちょっと中途半端な気持ちに・・・
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貫井さんの新しい本だ〜と飛びつきました。 本当に読みやすい。 主人公が追う「仁藤」の謎に引き込まれました。 けれど、肩透かしを食った気分。 それが作者の狙いなのかな。 いくつかのエピソードを提示して、それで終わり。 途中まで面白かっただけに、ガッカリしました。
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途中から引き込まれて一気読みしてしまった。 ・・・が、このラストはどうか? 話をすり替えられたような気がする。 非常に中途半端な気分。
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作品冒頭でも語られているように、本作はハッキリとした完結を持たない。 その上では、全ては読者に主題を放り投げられている。よって賛否両論となる作品ではあろう。 それでも「私たちは他人を理解しないまま、わかった振りをして生きている。自分たちがわかった振りをしていることすら、ふだんは忘れている。安心していたいからだ。わからないことを認めてしまえば、たちまち不安になるから」 この文章に全てが凝縮されているようでならない。 人間は形あるもの、確かなものでなければ、たちまち不安に陥るのだと、作者は言いたかったのだろう。
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【書評】微笑む人「貫井徳郎」 http://blog.livedoor.jp/ecwebjapan-books/archives/21486549.html
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妻と子供を殺害した容疑で銀行員の仁藤俊実という男が逮捕された。しかしこの男、誰もが口を揃えて「仁藤さんがそんなことをするはずが無い!」という程の人望があり、人格者であるという。しかし仁藤自身は妻子殺害の動機を聞かれ、あっけらかんと、なんでもないことのように言い放つ。――「本の置...
妻と子供を殺害した容疑で銀行員の仁藤俊実という男が逮捕された。しかしこの男、誰もが口を揃えて「仁藤さんがそんなことをするはずが無い!」という程の人望があり、人格者であるという。しかし仁藤自身は妻子殺害の動機を聞かれ、あっけらかんと、なんでもないことのように言い放つ。――「本の置き場所が無かったからです」。事件に興味を持った小説家の”私”は、事件を追い始める。 つかみがすごいからこそ、この結末は許せない。え?これ、当然続編あるんだよね!!?? 取材を重ね、仁藤は人格者であるという証言ばかりの中から100分の1パーセントくらいの仁藤のサイコパス的本性を証言する人を探し出し、大学、高校、中学、小学校・・・と辿っていき、いよいよ仁藤の人格形成の原点に迫る証言が・・・!というところでこれは本当に無い。証言者が虚言癖なのかニセモノなのかどうかとか、論点をずらされて、そのまま終わってしまった(--;)。騙されたかもしれない、”人はわかりやすいストーリーを聞いて安心する”、でもそういうストーリーがどうしても見つからない理解不能な仁藤のような人間もいる・・・それが結局この小説家の”私”が言いたかったことなんだろうか。
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「本が増えて部屋が手狭になったから、妻子を殺した。」 こんな殺人動機、納得できる人はどれくらいいるのでしょう? 常識で考えたならば、犯人は「嘘」を言っているか、 もしくは精神異常と判断されるはず。 その人が人当たりも良く誰からも好かれ、信頼される人物ならなおさらのこと。 殺人を犯...
「本が増えて部屋が手狭になったから、妻子を殺した。」 こんな殺人動機、納得できる人はどれくらいいるのでしょう? 常識で考えたならば、犯人は「嘘」を言っているか、 もしくは精神異常と判断されるはず。 その人が人当たりも良く誰からも好かれ、信頼される人物ならなおさらのこと。 殺人を犯すような人じゃない、冤罪だと叫ぶ人もいるでしょう。 ミステリーとは不思議な読み物で、 そこに事件があって、必ず筆者は理由を書きたがります。 (ま、当たり前ですよね。) 犯人が自分で殺人の理由を語る場合もあるし、 状況が語る場合もあるし、 名探偵がズバッと言い当てる時もあります。 たいがいの場合、納得する殺人の動機を与えられて、 読者は”常識の範囲内”であることに安心して、最後に本を閉じます。 が、しかし。 今回のような不条理な、到底納得などできない犯行動機を提示された場合、 読者は混乱します。私も混乱します。 だってこれは、いわゆる”常識の範囲内”ではないのですから。 彼の現在から過去にまで遡り、著者は子供の頃のエピソードまでも綴ります。 それでも、彼がなぜ殺人鬼と化したのか、結局答えを明かしません。 つまり、消化不良で終わるのです。 「いったい人は、他人のことををどれくらい理解できるものだろうか。 分かっているつもりで、本当は何ひとつ知らないのではないか。」 冒頭わずか4ページ目にいきなり登場するこの1文。 何だ、著者は始めもはじめに、この作品の本質をどーんと提示していたんじゃん。 つまり、自分は自分。他人は他人。 あー何たる皮肉。というか不条理。というか、やっぱり消化不良(笑)
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そこまでミステリーかよ! と言いたくなる。 今まで読んだことのない結末だったので、楽しめた。 しかし、モヤモヤは残ったまま。 サイコな人の人物像は、悪の教典よりも引き込まれる。
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