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地の果て 至上の時 の商品レビュー

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6件のお客様レビュー

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2023/10/21

3部作の最後。 言葉の洪水に波に揺られ呑まれ、必死でたどり着いた物語の最後。大きな山を登り切った。 私はしがみつくのに必死だったが巻末の解説で、この3部作がいかに綿密に織られた物語かをしった。 言葉の洪水の渦の中に呑み込まれる快感、字に埋もれる快感に病みつきになる。

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2023/07/19

力強い文章、匂い立つような個性の主人公、それに相対して負けていない登場人物、加えて複雑な血脈の背景、「岬」「枯木灘」に続く三部作の最終巻は圧巻だった。 面白い、の一言。 書評では、フォークナーを彷彿とさせる土着的な小説、とあるが、個人的には、ガルシア・マルケスの「百年の孤独」とか...

力強い文章、匂い立つような個性の主人公、それに相対して負けていない登場人物、加えて複雑な血脈の背景、「岬」「枯木灘」に続く三部作の最終巻は圧巻だった。 面白い、の一言。 書評では、フォークナーを彷彿とさせる土着的な小説、とあるが、個人的には、ガルシア・マルケスの「百年の孤独」とか、南米文学を想起させた。 夏にぴったりな一連の作品。 ぜひ。

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2023/07/02

熱量のある小説でした。破茶目茶な部分もありますが、どのページを切り取っても矛盾がなく書ききれるところに中上健次の凄さを感じます。 『岬』、『枯木灘』に続く3部作の締め括りであり、これ以降、登場人物たちはどこにも行くことができない、寂しい。

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2022/11/18

確かに日本文学史上に残る傑作だ……。 神話の地であり噂が絶えず立ち昇る熊野で繰り広げられる、「蠅の王」浜村龍造と秋幸父子の愛憎劇。 山の緑、草を焼く炎、男たちの息。

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2019/07/15

芥川賞受賞作「岬」から始まる「(竹原)秋幸3部作」の最終作。先行する2作品は既読であったため、今回をもって壮大なサーガがようやく完結することになる。さて、中身についていえば、これが論じるのになかなか難しい。登場人物じたいが多いことに加え、みんながみんな揃いも揃って素行不良なので、...

芥川賞受賞作「岬」から始まる「(竹原)秋幸3部作」の最終作。先行する2作品は既読であったため、今回をもって壮大なサーガがようやく完結することになる。さて、中身についていえば、これが論じるのになかなか難しい。登場人物じたいが多いことに加え、みんながみんな揃いも揃って素行不良なので、あちこちを行ったり来たりしつつ、暴力や拳銃すら平気で登場する。ちょうど教室で不良の生徒が騒ぎまわっていたらなかなか授業が進められないように、物語も進むようで進まないような、独特の感覚がある。ただ、ひとついえるのは、登場人物たちは無秩序に動いているようにみえて、その実すべてが必然であるということ。それもこれも、もとはといえば「路地」が失われてしまいつつあるからだ。路地を失った彼らにとって、残された選択肢はこういう生き方しかなかったのだと思う。

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2013/12/07

「岬」「枯木灘」「鳳仙花」を始めとする多くの作品の中で「路地」を見つめてきた中上健次。 紀州サーガの最高到達点とも呼ばれるこの「地の果て 至上の時」で、彼はその解体を描き切りました。 小説の難易度としては比較的高い部類に思います。登場人物同士の血縁・人間関係を把握するのも容易...

「岬」「枯木灘」「鳳仙花」を始めとする多くの作品の中で「路地」を見つめてきた中上健次。 紀州サーガの最高到達点とも呼ばれるこの「地の果て 至上の時」で、彼はその解体を描き切りました。 小説の難易度としては比較的高い部類に思います。登場人物同士の血縁・人間関係を把握するのも容易ではありませんし(「岬」「枯木灘」の続編となるので、前2編を読んでいると多少把握しやすくなりますが)、「蠅の王」浜村龍造の行動には多くの「謎」が付きまといます。 一読ですべてを把握し尽くすことはかなり難しいでしょう。 しかし、難解であるにもかかわらず、ページをめくる手を止まらなくさせる魅力がこの小説にはあります。 一つは、秋幸と龍造の父子をめぐるストーリー展開です。 妾に秋幸を生ませ、自らは「蠅の王」として「路地」に暗躍し、それを破壊せんとする龍造。 「路地」に生まれ育ち、血のつながった父親である龍造を憎みつつ、自分と重なる部分も見いだしてしまう秋幸。 二人の関係ーーそれは主に秋幸の、実父に対する憎しみや葛藤という形で描写されているのですがーーを追っていくことはこの上なくスリリングな読書体験になると思います。 そしてこの物語を一層魅力的にしているのは、圧倒的な表現力です。 どんな場面においても、登場人物が全身で感じたことを巧みな比喩を駆使しながら描写しているので、読んでいる側も自然と全身の神経を活性化させていくような感覚さえ覚えます。 この、読みながら自らの五感が総動員されるのを感じるような、熱量まで伝わってくるような文体で重層的に織り上げられたこの小説は、そのテーマも相まって「神話」とさえ呼べるものになっています。 読み進めるのはそう簡単ではありませんが、その分たくさんのものを得られるような作品だと思います。

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