この世のメドレー の商品レビュー
「ぼくはなんか重大な使命を負ってる、なんて考えない方がいいよ。そういうのをね、袂君、教えてあげよう。自意識過剰、っていうんだよ。若い人に多いのだが、稀に、ごく稀に、君のような三十半ばを過ぎてもまぁそんなことを言っている人が居るんだ。多くは不幸な人生を送っている。」 「啓示という...
「ぼくはなんか重大な使命を負ってる、なんて考えない方がいいよ。そういうのをね、袂君、教えてあげよう。自意識過剰、っていうんだよ。若い人に多いのだが、稀に、ごく稀に、君のような三十半ばを過ぎてもまぁそんなことを言っている人が居るんだ。多くは不幸な人生を送っている。」 「啓示というと、なんか神からの重要なメッセージ、みたいな感じがしますが、余のようなアホバカ恩知らずの、脳髄がゼリー状に溶けて正常な状況判断ができなくなっている三文小説書きは、啓示るという言葉を口にするだけで罰が当たって死にます。」 「まさか。余のごときものが祝福されるはずがないじゃないですか。余は全人民に笑われながら六千億年苦しみ続けるのが確定済みのハナクソのできそこないですからね!」 『そうして心が狭いことをなんとかしなければならない、と心狭く思っているからこそ、そんなことを言うのであり、人間とはそもそも心が狭いもの、という事実を心広く受け入れている人間の方がよほど心が広いのである。』 『夢と現実の違いなんて、絹ごし豆腐と木綿豆腐くらいの違いでしかなく、どちらも潰れやすいのだよ。』 『そう人間は常に半分半分の気持ちを抱いて生きているのだ。 自分だけが助かりたい気持ち半分、身を捨てて人の役に立ちたい気持ち半分。 愛する気持ち半分、憎む気持ち半分。 そばを食べない気持ち半分、うどんを食べない気持ち半分。』 「ひとつきいていいですか」 「いいに決まってるじゃねぇか。俺たちは生まれたときは別々だけど死ぬときは一緒、って固く誓ったポコランポコランズのメンバーなんだぜ」 「いや、誓ってないんですけどね。」 「そうなんだ。要するにロックってのは生き様なんだよ。月水金とロックして、火木土は休む、とか、そんなパートタイムみたいなロックじゃダメなんだ。やっぱ、月火水木金、とフルタイムでロックしなきゃいけないんだよ」 「土日はどうすんだよ」 「土日は休みに決まってるだろ」 「休むのかよ」 「そんなことで怒りはしない、怒りはしないが、社会が、こういう若い人に対しては一定の教育的配慮を必要としていることを理解している。なので、自分自身を社会的な装置と見なして、人が怒ったときと同じ反応を示す、ということをする場合がある。それをいましているということですな。」 『余は超然者などではなかった。余はただのバカモノであった。 ほんと、シンプルにそれだけ。自分がいろんなことを説明するのが面倒くさいので、「ほんと、シンプルに塩と胡椒で、素材の味を生かして」とか言ってる料理家のように、シンプルにそれだけを認めよう。』
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超然として暮らしたいと思いつつ、結局一番世俗的なところが恥ずかしくって残念な人の話。相変わらずの文章力もあいまって一瞬で読んでしまった。本気でやって失敗するって苦痛だよね。できれば超然としてすべてを下に見ながら生きたいね。でも無理だよね。人の本気を笑うな!
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余と快君の屁理屈の嵐に爆笑。双方共にひねくれまくっているので論破するのは困難だろう(笑)どつぼ超絶の余シリーズ続編
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世界を睥睨し超然と生きよう。余を名乗り、生死を乗り越え、超然の高みに到達したはずだった。しかし超然境に浸る余を、ひとりの小癪な若者が、破滅への旅へ誘い出す。存在を賭した言葉の攻防。待ち受けるのは地獄か、それとも…。「どつぼ超然」待望の続編。
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高知大学OPAC⇒ http://opac.iic.kochi-u.ac.jp/webopac/ctlsrh.do?isbn_issn=9784620107868
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んんん、「どつぼ超然」の続編ということで、一も二もなく買ったのだが…。買ったのだが…。 第4章の「錯乱」からほんとに錯乱し始めて、ちょっと無理。 119ページのまずい料理の表現の応酬はおもしろいんだけどなぁ。
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ストーリーに興趣を見出すことは到底できなかったが、町田氏ならではの諧謔とテンポ・リズムにすっかり魅了された。つまらぬ虚栄とプライドに翻弄されるヨディーにいつの間にか自分を重ね合わせていた。身につまされる切実さがある。
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「どつぼ超然」の待望の続編。毎度のことながら、独特のビート、言葉をチョイスする才能に痺れます。町田康さんは別の本で、「人間の無意識を書くのが文学だ」とおっしゃっていたと記憶していますが、たとえばこんな個所。 「腹に穴があいたような顔をしてじとっとした雰囲気を醸成していた。腹の突き...
「どつぼ超然」の待望の続編。毎度のことながら、独特のビート、言葉をチョイスする才能に痺れます。町田康さんは別の本で、「人間の無意識を書くのが文学だ」とおっしゃっていたと記憶していますが、たとえばこんな個所。 「腹に穴があいたような顔をしてじとっとした雰囲気を醸成していた。腹の突き出たちょび髭をはやかした男が図面を手に俯いてじっとしていた。マラカイボ油田、という言葉が頭に浮かんですぐに消えた」(P30) なぜ、「マラカイボ油田」なんて言葉が突然出るのでしょう。でも、なぜか「ああ、こういうことってあるよな」と腑に落ちるんです。 凡百の作家にはとても出来る芸当ではありません。 ただ、何度も申し上げるように、著者には「告白」や「宿屋めぐり」のような長編を期待します。
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「どつぼ超然」の続編らしい。今回、超然たる“余”が流離うのは、なぜか沖縄。 生意気な若造を伴っての沖縄道中では、なんとロックバンドのヴォーカルを務めることになるのですが、そのバンド、ポコランポコランズの楽曲での歌詞が秀逸であります。 相変わらず言葉と思考のセンスに痺れる作品...
「どつぼ超然」の続編らしい。今回、超然たる“余”が流離うのは、なぜか沖縄。 生意気な若造を伴っての沖縄道中では、なんとロックバンドのヴォーカルを務めることになるのですが、そのバンド、ポコランポコランズの楽曲での歌詞が秀逸であります。 相変わらず言葉と思考のセンスに痺れる作品なのですが、特にこの歌詞のアホらしさにはうならされる。やはり、町田は詩人であります。
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前半の熱海駅前?のようなところで食事をしているシーンまでは、笑いっぱなしでしたが、那覇まで飛んでいってしまったあとは、しばらくおどろおどろしい展開でした。年齢を重ねても超然とするって、結構難しい。塵芥だよね、とは割り切れない金をはじめ、我々にはとらわれているものがありすぎだと思い...
前半の熱海駅前?のようなところで食事をしているシーンまでは、笑いっぱなしでしたが、那覇まで飛んでいってしまったあとは、しばらくおどろおどろしい展開でした。年齢を重ねても超然とするって、結構難しい。塵芥だよね、とは割り切れない金をはじめ、我々にはとらわれているものがありすぎだと思いました。
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