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災害と妖怪 の商品レビュー

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2012/09/27

昨年の大災害、東日本大震災をひとつの糸口として、柳田国男の「遠野物語」「妖怪談義」などを紐解きながら、いわゆる「災害伝承」というものを辿った一冊。 季節の移り変わりがはっきりしていて、雨や地震も多く自然災害の多い日本は、古来よりその自然の力をそれぞれに宿る神の力として畏れ、敬い...

昨年の大災害、東日本大震災をひとつの糸口として、柳田国男の「遠野物語」「妖怪談義」などを紐解きながら、いわゆる「災害伝承」というものを辿った一冊。 季節の移り変わりがはっきりしていて、雨や地震も多く自然災害の多い日本は、古来よりその自然の力をそれぞれに宿る神の力として畏れ、敬い、人々の経験や知恵を、ことわざや言い伝えとして残し受け継いできた。 そしてたとえば妖怪だとか化け物だとか、幼いころにおばあちゃんから聞かされたり絵本で読んだりといった「怖い話」の類には、多分に飢饉や干ばつ、洪水、地震など、人々が見舞われてきた災害に対する心構えや戒めの意味が隠されていることが多い。 河童や座敷わらし、天狗、ダイタラボッチ、一つ目小僧や地震を司るナマズなど、だれもが一度は見聞きしたことのある妖怪やそれにまつわる伝承内容がなかなか興味深い。 離れた地域でも、同じような中身が伝わっていることも少なくないそうだ。 科学の進歩によって、災害を未然に防ぐための様々なデータ収集、解析、それによる予知、また防災のための設備、土地開発計画、建物の増強など、現代の日本は昔より格段に災害に対して備えられているはず。 ただ結局は、何かあった時に行動するのは人間。 それぞれがどう心構えを持っているかが、結びつく結果に大きく影響することは明らかだ。 現代の科学から言えばバカバカしく思えるようなことも、その中身に込められた人々の思いを推し量り、言い伝えられてきたこと、戒めとされていることに耳を傾けるのも、ひとつ大切なことかもしれない。 どうでもいいことですが。 代田橋の「代田」がダイタラボッチのダイタだったなんてなあ~。断言されたわけではないが。由来してそう。

Posted byブクログ