ぼくの住まい論 の商品レビュー
内田樹が、自宅兼道場をどういう考えで、どういうプロセスで建てたのか、を綴った本。 全く自分も、武道をやって、道場を建てたくなる。 建築材料については、国産材を使い、林業に対する言及があるのが嬉しい。
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「いいなぁ」と思うことがたくさんつまった本。家についての本かと思い、あまり期待していなかったが、少し余裕があったので購入した。確かに家ができるまでのことを書かれた前半は、家を建てる過程を文章にする人はみな同じような文章になりそうな材木や工務店の方の話であったが、家ができてからの使...
「いいなぁ」と思うことがたくさんつまった本。家についての本かと思い、あまり期待していなかったが、少し余裕があったので購入した。確かに家ができるまでのことを書かれた前半は、家を建てる過程を文章にする人はみな同じような文章になりそうな材木や工務店の方の話であったが、家ができてからの使い道の話が面白い。みんなで使うみんなの家。この小さな共同体で実践していることから日本全国へその活動を広げていけば、日本人の生活が変わり有機的なものなりそうな気がしてしまう。そんな内容が書かれている。文章は簡潔で読みやすくエッセイとして気軽に読める点もよい。
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元は2011年から2012年にかけての『芸術新潮』の連載ということで、語り口や想定読者のせいなのか、読みやすく楽しい。 前半は、自宅兼道場の凱風館を建てたときの話し。後半は、住みはじめてからの「住むこと」に関連したブログ記事の再録。 特に後半は「いつもの、例の話」なので、繰り返し...
元は2011年から2012年にかけての『芸術新潮』の連載ということで、語り口や想定読者のせいなのか、読みやすく楽しい。 前半は、自宅兼道場の凱風館を建てたときの話し。後半は、住みはじめてからの「住むこと」に関連したブログ記事の再録。 特に後半は「いつもの、例の話」なので、繰り返し読んでいる内容だけど、「住まい論」という軸で読むとまた面白い。私有財産について。アジールについて。教育について。母校=母港について。本棚【紙の本)について。能について。 (ここ1-2年の本や記事には納得がいかないことが増えてきたけど、この3-4年前はキレキレの魅力がある)
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
売れっ子思想家の住宅論。 この人、ほんとうになんでも本出すよなと思うけども、読ませる筆力がある不思議。 道場を内包した自宅なのだが、今風の木材に和洋折衷的な外観。ちゃんとした瓦葺きにしたらけっこう値が張るんだろう。 家は弱者のために、がんばれなかった人が戻る場所であるべき、という主張にはうなづく。が、林業の衰退はいくら生き残っている職人を褒めようがどうしようもない。昔のように国家事業で寺社仏閣、武家屋敷をどんどん建てていけば別だろうが。 写真が美しい。 が、道場に飾ってあるあの絵は評価がわかれそう。
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「凱風南より彼の棘心を吹く」(詩経)凱風とは南から吹く柔らかな風。転じて頑なな心を開くと解く。哲学と武道の学び舎「凱風館」の土地購入に始まり、間取りの設計、材木を入手し、職人と出会い、つくりあげて住むまでが綴られている。時折挿まれる写真が美しい。左官の現状、瓦の今、など、トピック...
「凱風南より彼の棘心を吹く」(詩経)凱風とは南から吹く柔らかな風。転じて頑なな心を開くと解く。哲学と武道の学び舎「凱風館」の土地購入に始まり、間取りの設計、材木を入手し、職人と出会い、つくりあげて住むまでが綴られている。時折挿まれる写真が美しい。左官の現状、瓦の今、など、トピック的な閑話も非常に良かった。とりわけ惹きつけられたのは貨幣は退蔵を嫌うの項。貨幣が好きなのは激しく流れ動いているところ。故に流れを止め溜池にひきこんだその瞬間から流れは死に腐ってしまう。著者はとにかく入ってきたら次にパスしてしまうとのこと。人間には限界がある。どんなに美食をしようが1日3食。美服にしても一度に着られるのは一着。豪邸であっても一夜に寝ることができるのは一軒。むべなるかな。貨幣を貨幣に流す愚は厳に慎みたい。
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内田樹さんの凱風館の建設に携わったたくさんの人と、どんな考えのもと家造りを行ったのかが紹介されています。 とても居心地が良さそうで、本を読んでいる側も伸びやかな気持ちになりました。
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『みんなの家』の施主からの視点。カラーの写真が多くてよかった。みんなの家のような場が、そばにあったらいいなと思った。 著者の他の本も読みたくなった。
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外部の脅威からプロテクトされるべき場を意図し、その空間は私的ではなく公的で公共的であって多くの人間を入れ込むことが出来る。こういった空間を内田氏は「アジール(逃げ込み場)」と呼び、内田氏の家であり道場でもある「凱風館」はそれを目標として作られた。とても羨ましいことだと思う。 余談...
外部の脅威からプロテクトされるべき場を意図し、その空間は私的ではなく公的で公共的であって多くの人間を入れ込むことが出来る。こういった空間を内田氏は「アジール(逃げ込み場)」と呼び、内田氏の家であり道場でもある「凱風館」はそれを目標として作られた。とても羨ましいことだと思う。 余談ではあるが、アジールというキーワードは最近読んだ中沢新一氏の「アースダイバー」にも出てきており、凱風館落成のパーティーには中沢氏も招待されていたことからも、両者は研究者としても私人としても近しい関係にあることが伺える。この偶然は本を読む者としては嬉しい。
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共感できることがたくさん書いてあった。 まず、土地を所有することに関して。 とか、家を建てるっていうのは自分の実家しか見てきてないから肩にはまって考えてたんだなぁ。と。 自分で生きれる術を持つ、 でもそれは孤立することともちがくて、相手に依存しきることとも違う あと、教育は出...
共感できることがたくさん書いてあった。 まず、土地を所有することに関して。 とか、家を建てるっていうのは自分の実家しか見てきてないから肩にはまって考えてたんだなぁ。と。 自分で生きれる術を持つ、 でもそれは孤立することともちがくて、相手に依存しきることとも違う あと、教育は出力過剰だって書いてあって、それでいいんだと、自分がしてることはそれでいいんだと思えた。
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後半までは凱風館のできる過程や、作ってくれた人の紹介が多かったので、内田樹ファンには楽しいと思う。 後半からのアジール、公共の家、母港、教育の目的はいつもの内田節で切れ味鋭いですね。
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